神様のボート (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 1217
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339191

作品紹介・あらすじ

昔、ママは、骨ごと溶けるような恋をし、その結果あたしが生まれた。"私の宝物は三つ。ピアノ。あのひと。そしてあなたよ草子"。必ず戻るといって消えたパパを待ってママとあたしは引越しを繰り返す。"私はあのひとのいない場所にはなじむわけにいかないの""神様のボートにのってしまったから"-恋愛の静かな狂気に囚われた母葉子と、その傍らで成長していく娘草子の遙かな旅の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 骨ごと溶けるような恋をした。
    必ず帰ると言った「あの人」に慣れてしまったから、「あの人」のいない日常、他のものには馴染めないと引っ越しを繰り返す母と、現実を生きようとする娘の話。


    ーーごめんなさい。
    ーーママの世界にずっと住んでいられなくて。(p.224)

    という言葉がとても切なかった。

  • 一度出会ったら、人は人をうしなわない。

  • "希望というのは未来にある何かではなくて、いまここにある何かなのだ。たぶん。"
    私たちは今を生きている。
    思い出の中で生きている葉子。
    だんだんと、葉子の思い出から飛び出して現実を生きる草子。
    過去でも、未来でもなく、自分は今を生きているんだと、改めて確認した。

  • わたしはどうしても草子ちゃんに想いを馳せてしまったけれど、終端では葉子さんの気持ちが手に取るようにわかった。それはきっと江國さんの文章があってこそなのだけれど。
    草子ちゃんはあまりに大人びていて羨ましく思うばかりだった。
    葉子さんの話す恋は私の胸をも蕩けさせてくれた。すてきだとおもう。

  • 全体の透明な雰囲気がとても好き。読んでいる時間が幸せだった。甘くてキレイで、どこか危険な物語。

  • この親子はフィクションらしいなあと思いながらも、どこかにいそうとも思える。
    不快なことはなく、静かに流れていく映画みたいだ。

  • 骨ごと解けるような恋をした母親と、その娘の物語。

    所在知れずの夫(草子にとっては父)を愛している葉子を、成長するにつれて次第に過去に閉じ込められているだけ・現実に目を背けているだけように感じる草子の想い。
    けれど葉子にとって夫は例え側にいなくて生死が分からない状態だとしても、過去ではなく、現在だし、未来なのだと思う。

    葉子は、葉子にとっては明確な航路(夫が探し出してくれることを信じて、どこにも馴染まないように転々とする)を進んで生きているつもりだが、それははたから見ると狂気でしかない。夫との繋がりである草子にそれを指摘され、草子が離れていく物語の終盤は、葉子の心もとなさが伝わり胸が締め付けられる。

    また、この作品でも居場所について言及がある。
    葉子は夫の側以外は自分の居場所ではないと言い切っている。「冷静と情熱の間」のフェデリカの言葉にも通じる。

    物語冒頭のシシリアンキスのエピソードの甘美さが物語の導入としてとても好き。
    江國さんの影響で、私はアマレットが好きになった。

  • 骨ごと溶けるような恋
    一体どんな感じなんだろうね

  • 愛する人と母子の話。海を散歩したり雰囲気が素敵でした。全体的に切なく後半の親子の会話はうるっときました。骨ごと溶けるような恋ってしてみたいw

  • あぁ、この瑞々しい透明感とか細い描線をなぞるような繊細さ。独特の世界観に思春期どっぷりハマったのを思い出した。

    孤独な母娘の物語。後半の中学生時代が、微妙なことばと心の揺れに共鳴し、読み応えあった。

    終幕の唐突感は否めないけれど、そのままでいたい気持ちと、年月の積み重ねに応じて変わる気持ち。この感覚を私も日常にもう少し取り込みたい。

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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