東京タワー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.31
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本棚登録 : 5822
レビュー : 621
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339214

作品紹介・あらすじ

人妻と関係を持つ二人の大学生が、世界の全てだと考えて、彼女と過ごせる時を途方もなく幸福だと感じる人と、本名の彼女がいます。それでも人妻との関係を辞められない人が、会えない時に彼女の好きな音楽や本を読み聴きしています。
19歳の大学生と人妻が冷静で朗らかです。正直に生きていると、楽しいことがあるという東京タワーの物語です。

感想・レビュー・書評

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  • 恋はするものじゃなく、おちるものだ。

    年上の詩史と過ごす甘くゆるやかなひと時―大学生の透の世界は満ちたりていた。一方、透の親友である耕二は女子大生の恋人がいながらも、蠱惑的な喜美子との肉体関係に夢中だった。夫がいる年上の女性と大学生の少年。東京タワーが見守る街で、二組の恋人たちが繰り広げる恋愛を描く。

    私が本棚にずっと置いておきたい一冊。夜の間だけ暗闇にぼんやり浮かび上がる東京タワーの灯りのように、幻想的で儚い二組の恋人たちの物語が綴られている。詩史も喜美子も夫がいるのだが不倫の泥沼感は全く感じられず、むしろ純粋な感情(喜美子と耕二は感情と言うより欲望)で恋をしている。夫がいるが故にどちらの恋人たちも、いつかこの関係に終わりが来ることを感じながら寄り添っている。物語は情熱的な一方、終末の寂しさを常に漂わせている。さらに著者の静かな文章と絶妙な言葉選びで、ため息をついてしまうくらいに美しい物語に仕上がっていると思う。

    「恋はするものじゃなく、おちるものだ」という言葉の「おちる」は「堕ちる」にも通じているように思う。透も耕二も、不覚にも恋愛にどっぷりと浸かっていく。有り余る時間は学生の特権である。しかし透にとって詩史が全てであり、その有り余る時間で部屋にこもり、彼女からの電話一本をひたすら待ち続ける。詩史がいない場所には興味を持てず、どこにいても何をしていても詩史のことを考えてしまう。透の世界が徐々に詩史に染まっていく様が、恋愛の静かな狂気を感じさせる。そして読者もまた、東京タワーの下で繰り広げられる恋愛模様に惹き込まれ、心を奪われていくだろう。

    • 大野弘紀さん
      このレビューを読んで、読んでみたくなりました。
      このレビューを読んで、読んでみたくなりました。
      2019/01/16
  • 登場人物がそれぞれ魅力的。
    本全体としてひんやりしててその空気感が好きな1冊。
    何回読んでも飽きひんのやけど、何故か結末が印象に残らない。不思議。
    多分ストーリーより空気を味わっているからやと思う。それでいいんちゃうかなー…

  • 映画から知った作品。
    そもそもの設定の危うさと、詩史の洗練と美しさ、喜美子の無邪気さと激しさにどきどきしながら読み進めた。

    透の、詩史からもたらされる不幸はそれですら彼にとっては幸福と感じる感覚。
    初めて読んだ時、その感覚を危険だと思いつつ、どこか分かってしまう自分がいて心の中を垣間見られた気がした。

  • 年の差もあるのに互いに依存してしまっていて、冷静に考えれば普通じゃない関係だと思う。しかし、この物語は、こんな関係でさえ美しいと思わせるほど、主人公のピュアな感情を綺麗に描いていて、まるで刃物の持つ魅力のような危なさがあり、とても引き込まれておもしろかった。

    • なつこさん
      映画で観ましたよ。好きなものが似てる気がしたのでフォローさせていただきます♪
      映画で観ましたよ。好きなものが似てる気がしたのでフォローさせていただきます♪
      2019/02/19
  • やっぱりあんまり好きじゃない。おばさんの妄想(しかもかっこつけの)っぽくて痛痛しいと感じた。

  • 年上で既婚女性である、詩史・喜美子、同じ大学に通う透・耕二の2組の恋愛と合わせ、同世代の男女関係をスパイスを加えて描かれる恋愛小説。
    年上の女性には、大人な事情と強かさ、年下の男性には素直な情熱が垣間見られ、途中の細かな心理描写が面白く読めた一冊。時間が許せば再読したい。

  • 「ここで、終わり??」というのが、正直な感想。

    大学生の青年二人と年上の既婚者の女性との恋愛。

    主人公の透は、母の友人でもある詩史との
    恋にどっぷり浸かっている。
    透の友人の、耕ニは悪魔のような喜美子に夢中になる。

    二人のカップルは、対照的な関係だと思う。
    透&詩史は、透の精神的な純粋さと繊細さがあり
    とても清潔な感じがする。
    詩史の、年上のズルさはあるが・・。

    耕ニ&喜美子は、欲望に満ち溢れた少しドロドロしたように感じる。
    透から見れば、耕ニは
    「本当に人を好きになったことは無い」

    二つの恋愛の行先は、関係性同様に対照的。
    最後は書かれていないので、気になる。
    また、少し大人になったら読んでみよう。

  • 何度も読んでいるけど。うつくしい話。映画を見たので岡田くんと松潤が想起されるのも良い。

  • 恋愛が難しいのは、
    合理性との矛盾だと思う。

    例えばスポーツとか勉強だったら、
    それが好きでたまらないほど、夢中になればなるほど、
    有利であるし成功にも繋がる。『合理的』だ。

    しかし恋愛においては時に
    相手を好きであればあるほど、好きであるからこそ
    それが相手との確執を生み、時には別れという事態を招く。


    愚直なまでに1人の女性を思いつめ、
    最後には1つの形を成した透。
    何もかもを手にいれようと策を弄し、
    結果としてすべてを失った耕二。

    2つの若い恋愛の形は
    読者に何を語りかけるだろう。


    ちなみにどちらに共感するかと問われれば、俺は断然「耕二」だなー。
    単に読んでてそっちのが面白い説もあるけど。

  • 若い男性二人の目線で描かれた、それぞれの、年上の女性と不倫のお話。
    透明感のある文体で、生々しいような場面でもどこか浮遊感のようなものが感じられて、あまり人間臭くない。
    江國さんらしい。

    この恋の行方、気になるところ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      やっと、石田衣良「眠れぬ真珠」を書き終えました。
      書いてから暫く放置していたのですが、これ以上上手く書けないので、、、

      「若い男性二人の目...
      やっと、石田衣良「眠れぬ真珠」を書き終えました。
      書いてから暫く放置していたのですが、これ以上上手く書けないので、、、

      「若い男性二人の目線で描かれた」
      この本も、歳の差かぁ~
      2012/06/18
    • pponさん
      nyancomaruさん、
      実は、リリー・フランキーさんの「東京タワー」がたまたまなくて、読み比べてみるつもりでゲット!
      ストーリーで選ん...
      nyancomaruさん、
      実は、リリー・フランキーさんの「東京タワー」がたまたまなくて、読み比べてみるつもりでゲット!
      ストーリーで選んだわけではないのですが、またこんなテーマのお話でありました!(汗)&(笑)
      2012/06/18
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「リリー・フランキーさんの「東京タワー」が」
      早く書棚に戻って読めると良いですね。。。
      「またこんなテーマのお話でありました!」
      私も読んで...
      「リリー・フランキーさんの「東京タワー」が」
      早く書棚に戻って読めると良いですね。。。
      「またこんなテーマのお話でありました!」
      私も読んでみようかな、、、
      2012/06/18
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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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