東京タワー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 8822
感想 : 780
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339214

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物がそれぞれ魅力的。
    本全体としてひんやりしててその空気感が好きな1冊。
    何回読んでも飽きひんのやけど、何故か結末が印象に残らない。不思議。
    多分ストーリーより空気を味わっているからやと思う。それでいいんちゃうかなー…

  • 恋はするものじゃなく、おちるものだ。

    年上の詩史と過ごす甘くゆるやかなひと時―大学生の透の世界は満ちたりていた。一方、透の親友である耕二は女子大生の恋人がいながらも、蠱惑的な喜美子との肉体関係に夢中だった。夫がいる年上の女性と大学生の少年。東京タワーが見守る街で、二組の恋人たちが繰り広げる恋愛を描く。

    私が本棚にずっと置いておきたい一冊。夜の間だけ暗闇にぼんやり浮かび上がる東京タワーの灯りのように、幻想的で儚い二組の恋人たちの物語が綴られている。詩史も喜美子も夫がいるのだが不倫の泥沼感は全く感じられず、むしろ純粋な感情(喜美子と耕二は感情と言うより欲望)で恋をしている。夫がいるが故にどちらの恋人たちも、いつかこの関係に終わりが来ることを感じながら寄り添っている。物語は情熱的な一方、終末の寂しさを常に漂わせている。さらに著者の静かな文章と絶妙な言葉選びで、ため息をついてしまうくらいに美しい物語に仕上がっていると思う。

    「恋はするものじゃなく、おちるものだ」という言葉の「おちる」は「堕ちる」にも通じているように思う。透も耕二も、不覚にも恋愛にどっぷりと浸かっていく。有り余る時間は学生の特権である。しかし透にとって詩史が全てであり、その有り余る時間で部屋にこもり、彼女からの電話一本をひたすら待ち続ける。詩史がいない場所には興味を持てず、どこにいても何をしていても詩史のことを考えてしまう。透の世界が徐々に詩史に染まっていく様が、恋愛の静かな狂気を感じさせる。そして読者もまた、東京タワーの下で繰り広げられる恋愛模様に惹き込まれ、心を奪われていくだろう。

    • 大野弘紀さん
      このレビューを読んで、読んでみたくなりました。
      このレビューを読んで、読んでみたくなりました。
      2019/01/16
  • 年上の彼女と少年達の恋愛。ありそうできっとないだろうこの妙な物語がリアルでいつのまにか目が離せなかった。言葉の選び方がとても好き。“恋はするものじゃなく、おちるものだ”

  • 何度読んでも味わい深い
    男の子に読ませて人生狂わせたいと思った。
    本当に何度読んでも色褪せない、人生を考えさせられる。


  • 「人と人はね、たぶん空気で惹かれ合うんだと思う」いつか詩史がそう言っていた。「性格とか容姿の前にて、まず空気があるの。その人がまわりに放っている空気。そういう動物的なものをね、私は信じてるの」

  • 透ーーーーーー!!!!俺だーーーー!!!!
    結婚してくれーーーーーーーーー!!!!!

  • 耕ニは由利ちゃんに振られても傷ついてる感じがしなくて私が由利ちゃんで耕二の本当の気持ち聞いていたら辛いなって思った
    詩史が透に「孤独ぶりたがりのティーンエイジャーとは違うから、私はもう一人ではいたくないの」って言葉一人ではいたくない?うーわからない

  • 江國さんの描く女性は、現実離れしていて風景みたいに素敵

  • 大好きな1冊になりました。
    透詩史の関係性、2人が作り出す時間、空間、全てに惚れた。透の気持ち痛いほどわかるし、詩史さんのような掴みどころのない女性になりたいと思った。


    恋はするものじゃなくて、おちるもの。

    幸福かどうかは重要じゃない。詩史さんに与えられる不幸なら、他の幸福よりずっと価値がある。

    待つのは苦しいが、待っていない時間よりずっと幸福だ。


    あと、青椒肉絲麺と天津麺美味しそうだなあと思った

  • 僕からすると透も耕二も十分に満たされている様に感じましたが、何処かで孤独を感じているんだなと考えさせられました。それは詩史や喜美子にも言えることで…

    どこかで自分の気持ちに歯止めをかけないと求めれば求めるだけ孤独に近づいてしまうのは今の人々を表している様にも感じました。

    最後は耕二だけが悲しい結末に終わってしまいましたが、透はどうなったのでしょうか… 1番になれない中でこの先も満足できるのか気になる最後でした。

著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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