- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101339221
感想・レビュー・書評
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たぶん、たぶんだけど、僕は江國香織さんとわかりあえることはないんだろう。
解説には、「肉食」という言葉が出ているけど、ずいぶん的を射ているなぁと思う。求道的で巡礼的な、冷たい草を食む草食動物のイメージとはまったく重ならない。むしろ傷つくことも、傷つけられることも恐れない、絶対的な捕食者ではない、でも暖かい肉と血液を求める獣、そういうイメージが先にたつ。そのくせ、本能で思ってもないことを、必要だから、という理由で儀式的に行う、小賢しい獣。
僕はそれを冷たいメスで切り開いて、心臓や、神経をつまびらかにみようとする事に心血を注ぐような人間で、たぶんきっと相容れない人種なんだろう。
そうして捉えた獣に喉笛を噛みきられて、きっと命を絶つのだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
再読。
短篇集。短いのばかりで読みやすい。
特に「手」がすき。
「どこでもない場所」もすき。
江國さんの本はタイトルが素敵なものが多いなあ、と思う。 -
【本の内容】
私はたぶん泣きだすべきだったのだ。
身も心もみちたりていた恋が終わり、淋しさのあまりねじ切れてしまいそうだったのだから―。
濃密な恋がそこなわれていく悲しみを描く表題作のほか、17歳のほろ苦い初デートの思い出を綴った「じゃこじゃこのビスケット」など全12篇。
号泣するほどの悲しみが不意におとずれても、きっと大丈夫、切り抜けられる…。
そう囁いてくれる直木賞受賞短篇集。
[ 目次 ]
[ POP ]
旅先で出会った男と女は、激しく、心も体も満ち足りるほど濃密に愛し合った。
そして一緒に暮らした部屋に、今、女が1人暮らす。
あんなにも輝かしかった日々を喪失し、痛みとさびしさに打ちのめされながら、それでも強く強く乗り越えようとする女……。
表題作のほか、様々な悲しみや甘美な感情を通り過ぎるときの、人それぞれの、様々なドラマを描く短編集。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
平凡な生活に、ひたひたと迫りくる悲しみ。幸せのその先には、必ず悲しみが訪れる。そんなことを暗示しているかのように思う。
ある程度生きてきたら、良いことばかり続かない、一方で悪いことばかりも続かない、とは身をもって感じる。
いろんなことの組み合わせで、最後には良い塩梅になるのかな。 -
中学生の頃に初めて読んで、何度目かの読了。
ストーリーは、今だにあまり共感できずもやもやした気持ちが残りますが、文章が好き。ふとした時に読みたくなります。
「熱帯夜」がお気に入り。 -
これと神様のボート、真昼なのに昏い部屋を読んだけれどこの二つと比べたらいまいちだった 分かり易い起承転結がない作品が多いので私的にすっきりしなかった
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子供に、死神をすももの木の上にとどまらせるというような話をしてはいけないと教えてくれる話。死神がすももの上にとどまると、死にそうな病人や、死にたい人たちが死ねずに、一層苦しむことになるのだ。ところで、「どうしてー」とか「けちー」と、語尾を伸ばす大人はばかか、優しいかのどちらかなのだということも、この本に教わった。
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短編集。どの話も、登場人物の心情が細かく描かれていて、感情移入しながら読みました。恋愛や結婚の話が多いのですが、いずれも満足していない状況の人々。読み終えて、幸せを求める過程そのものが、幸せということなのかなと思いました。
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泣ければよかったのかな
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やたら有名な作家さんの有名な本なので、なんとなく敬遠して読んでいなかったのだけど、珍しく図書館から借りていた積読の山がなくなったので、自宅の本棚を漁ってみたら、いつ購入したんだか、積読の山に紛れていましたw
最初のうち、どこがいいのか(人気なのか?)よくわからないなぁと思いながら読んでいたのですが、後半はわりとよかったです。
きっと、この本の良さがわかるのが、大人の女性というものなのでしょう・・・w -
私にはあまり理解できなかった…まだまだ人生経験が少ないのか、共感できるところがなく、想像するのも難しかった…もう少し年齢を重ねて、もう一度読んだら違うのかもしれない。
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最近論理でがっちりかためられたミステリばっかり読んでいたので、久しぶりにこういう感情主義的な女性作家の小説を読むとなんだかもの足りないような気がしてしまう。というか江國香織がタイプでないのかもしれないと思った。
「私たちは、一切の策を弄さずに愛し合いたかった。また、もしいつかどちらかが気持ちを変えたら、無条件に赦して手を離せると信じたかった」(p.201) -
浮気あり同性愛あり青春あり。様々な女性の恋愛のかたちを書いた短編集。
溝という作品の最後の台詞が怖かった。狂気を感じた。
江國さんの作品は難しくて、歳をとるごとに読み返したくなる。
表題作が好きでした。五ページ目の、隆志をがどうしようもなく好きというのを表しているとても長い一文が印象的でわすれられない -
悪くはないんだけど、退屈。中年女性の気持ちって、やっぱりまだよくわからない。
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私にはまだ(?)わからない世界
共感できる部分が少ない
オチがはっきりしてない -
直木賞。悪くはないんだと思う(多分)。ただいかんせん自分は男であり、長編が好きなことが惜しまれる。
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じたばたしない女たちの物語に、読んでいる私がうろたえた。
焦点をずらしピントを合わせないまま、刹那のような永遠(または、その逆)を、意思をもってただよう短編集。 -
初、江國香織作品。短編集でした。麻雀をする描写が、2つもあるのに、驚きました。
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境遇が似ている主人公があまり出て来なくて、自分と重なる部分が少なかった。共感はしにくかったけど、生々しく痛々しく想像できる表現がたくさんあった。
小説家って、面白い話を書けるというより、情景や心情を切り取る能力に優れた人なのかもしれない。 -
年を重ねるごとに好きになる。
昔は『こまつま』が好きだったけど、いまは『そこなう』も好き。 -
私の拙い文章力では、とても表現出来ませんが、江國香織の男女関係に関する世界観の一つの集大成だと思う。
否定しつつ肯定しながら表現される感情は、男性よりも女性の方が分かるのかな? -
失恋した後に読んだから、全部が染みた、心に。
この痛みはみんなが経験することなんだなー
こうやって痛みを痛みでなくして強くなれるのかなー
なーんて思ったよ -
「冷静と情熱のあいだ」以来の江國作品
ガッツリ号泣する準備して臨んだけど、何か肩すかし?!モヤモヤのまま読了↓↓↓
私…色んな意味で「まだまだ」のようです(;´Д`) -
超短編で入れないものはいれない。
まっとうに恋愛する人も、曲がって恋愛する人も恋愛するときはいろいろぐだぐだ考えていいなぁと思っちゃうよね。
恋愛からかけ離れているとそんなよくない感情でさえうらやましくなっちゃうのが悲しい。
ところでかなり前に読んだから -
全体的に文章が綺麗で
読んでいて退屈というわけではなかったけれど、
共感だとか、ドキドキだとか、わくわくだとか、
心を動かされる感じがなかった。