号泣する準備はできていた (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 9081
レビュー : 687
  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339221

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  • ・前進、もしくは前進のように思われるもの
    「あなたのことがわからないわ」
    あのときも弥生は夫にそう言った
    「なぜすべてわかろうとする?」
    前進、もしくは前進のように思われるもの

  • 江國香織さんの直木賞受賞作。12この短編。
    いずれも号泣する直前の、まさにその準備ができた女性たちの一瞬の姿が捉えられている。
    あまりに繊細で敏感な日常からふと立ち昇る、不穏な気配と、一筋の絶望。
    江國さんは決して見逃すことなく、間違いのない言葉でそれらを小説にしてしまうのだ。

    初デートがちっとも楽しくない思い出となってしまった17歳の少女の話が良かった。「じゃこじゃこのビスケット」という比喩の感触がめちゃくちゃよくわかる。じゃこじゃこのビスケットのようだった日々は、大人になってもそっくりそのまま残っている。
    そのかけがえのなさが、ほろ苦くも微笑ましい。

    あとは「どこでもない場所」。子持ちの人妻と、異国から帰ってきたばかりの女友達との、夜のバーでのお洒落な会話の応酬。異国でめちゃくちゃに恋をした話。肉欲に溺れた話。

    どれも読んだそばから忘れてしまうような物語なのだが、それがむしろ心地よい。心に何かがひっかかった、その感覚だけがいつまでも残る。

  • 自分より大人の女の人たちの話だった。

  • 日常の中のささやかな幸福と絶望。
    ー悲しみを通過するとき、それがどんなにふいうちの悲しみであろうと、その人には、たぶん、号泣する準備ができていた。
    タイトルから素敵。誰かの感想に、「号泣する準備をするということは、準備の仕様のないものを準備するということで、それは最大の防御であり、同時に攻撃でもあると思った。」というものがあった。たしかにそうだ。

    好きな話
    ・前進、もしくは前進のように思えるもの
    ・熱帯夜
    ・溝
    ・手
    ・号泣する準備はできていた
    ・そこなう

    主人公はみな愛や恋を持った生活をしていたのにそれが失われ、いろんな理由で満たされていない人々ばかり。
    愛なんて永遠ではないのだろうか、それならずっとしたいと思っていた結婚とはなんなんだろう。そんなことを思わされて、先が暗いと思ってしまった。

  • 解説:光野桃、直木賞
    前進、もしくは前進のように思われるもの◆じゃこじゃこのビスケット◆熱帯夜◆煙草配りガール◆溝◆こまつま◆洋一も来られればよかったのにね◆住宅地◆どこでもない場所◆手◆号泣する準備はできていた(直木賞)◆そこなう

  • 面白かったです。
    泣きたくなるような短編集でした。
    恋を失っても、生活は続いていくし続けていかなくてはならないけど、ふとした時によみがえってくる痛みは今でも少しあります。
    ましてや、その相手が今でも時々やってくる、となると。。辛い。
    わたしの心の一部分も死んだままです。
    でも、江國さんの描く女性は強くて孤独で好きです。

  • 一番好きな作家。言葉の一つ一つが秀逸。皮肉めいていて、けれど真実を映していて、心に響いて深く沈んでいく感じ。恋の物語だけれど、これは人生の物語たち。淋しさ、孤独、頼りないぐらいまっすぐな純情。

  • タイトルに惹かれて買った本。
    読んだのは2回目。1回目は大学生のとき。私が読むにはまだ早いかなと思って、時間あけて読んでみた。言葉では表せないけど登場人物の心の機微が感じとれるようになったかな。

  • 江國香織の独特の緩い暖かさがライトに味わえる短編集。
    不倫カップルの温泉旅行の話が好き。女性の不安定さがどこか共感できる。

  • タイトルに惹かれた。美しい描写!!

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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