号泣する準備はできていた (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339221

感想・レビュー・書評

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  • 江國さんの短編集。読みやすいです。熱帯夜が個人的に好きですが、江國さんらしく、どれもさらっと繊細に描かれております。

  • 何かに対して、なんとなく心にある不安や別れの予感を持つ人達。
    悲しみが不意に訪れても、きっと大丈夫。切り抜けられるものよ・・・と
    そんなメッセージを含んだ短編集でした。
    この本を読んで、「穏やかにじわりじわりと広がる不安と切なさ」
    「不意にやってくる別れ」に、どこか空しさというか
    人間て結構悲しみも流していけるものよね(´Д`)どこかで引きずる部分も
    あるだろうけどさ・・・と、励まされると言うよりは
    切ない気持ちになっちゃいました(=_=;

  • 私はたぶん泣きだすべきだったのだ。そんな暗喩にみちたみたいな夢を好きな男がみただけで胸を塞がれるが、それをそんなに真正面に、やさしい声で説明されるなんて大惨事だ。「号泣する準備はできていた」江國香織 読了。 久しぶりの江國ワールドを堪能。

  • 今年6冊目。
    2013年始めに読んだ本。
    江國香織の直木賞受賞作。短編集。

    表題でもある
    「号泣する準備はできていた」
    というフレーズは綺麗で意味深で印象的で、
    実際に本文中に出てきた時には鳥肌が立った。

    だけど,何回読んでもどういうことか解釈ができなかった。

    江國香織の作品て女性らしくて詩的な感じがして、
    なんだかピントの合わない、
    おしゃれ気なお話だなぁというのが正直な感想で
    読み終わった時点ではいまいちに感じたのだが、
    あとがきを読んで合点。
    そういうことだったのかと、また鳥肌が立つ。

    "喪失の前には必ず所有がある。"
    だから、

    そのときにはすでに、"号泣する準備はできていた"のだ。

    今が過去になる覚悟って人は少なからずしているもの。


    そういう、細やかな感覚や、その表現力。
    なのに、ここでさらっと使うのか…と、
    作家の力と自分の愚鈍さを改めて感じた。

  • 江國香織はなんだか、シャレオツな感じ。登場するのは、きれいな、清潔感のあるスラリとした女性を思わせる。
    だからか、自分との違いからか、最近は読んでなかったけど、やっぱり文章がよいですなー。

    『号泣』とタイトルにある、衝動的な、激しい感情表現ではなく、悲しみや、喪失や、葛藤や、様々な感情を受け止める準備をしている、静かに待っている姿の人々を描いた短編集って感じ。既に存在している感情を受け止めようとしている。しんと静かな文章から感じる。
    著者あとがきより引用。
    いいなと、思った文章。

    “たとえば悲しみを通過するとき、それがどんなにふいうちの悲しみであろうと、その人には、たぶん、号泣する準備ができていた。喪失するためには所有が必要で、すくなくとも確かにここにあったと疑いもなく思える心持ちが必要です”

  • 「かつてあった物たちと、そのあともあり続けなければならない物たちの、短篇集になっているといいです。」とあとがきにあった。
    なっていたと思う。
    何故かとても落ち込んでしまった。

    読んでいる間は、静かな物語の中の憂鬱にぷかぷかと漂っているような心持ちだった。
    泣き出したくても、泣く勢いはなくなってしまったような寂しさだと思った。
    『号泣する準備はできていた』というタイトルが、激しい感情を伴った言葉という印象から、号泣出来なかった女性のつぶやきのような弱い印象の言葉に変わった。
    とてもいいタイトルだなという感想は変わらないけれど。

    • takanatsuさん
      あ、いえ、あとがきを読む限り江國香織さんが言葉に込めた意味は違うと思います。
      読み終わった時に感じていたことを無理やり言葉にしたので、読み...
      あ、いえ、あとがきを読む限り江國香織さんが言葉に込めた意味は違うと思います。
      読み終わった時に感じていたことを無理やり言葉にしたので、読み流してください…。
      2012/06/22
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「読み終わった時に感じていたことを」
      印象は読んだ時の気持ちで変るかも知れませんね。人目を憚らず号泣して仕舞える人、上手に泣けなくても気持ち...
      「読み終わった時に感じていたことを」
      印象は読んだ時の気持ちで変るかも知れませんね。人目を憚らず号泣して仕舞える人、上手に泣けなくても気持ちの整理が出来る人。どちらの人も、このタイトルから何かを感じそうですね。
      2012/06/25
    • takanatsuさん
      「どちらの人も、このタイトルから何かを感じそうですね。」
      なるほど。泣けるかどうかもその時の心の状況で違ったりしますよね。
      大したことないっ...
      「どちらの人も、このタイトルから何かを感じそうですね。」
      なるほど。泣けるかどうかもその時の心の状況で違ったりしますよね。
      大したことないって思っていても本当は苦しくて、涙が出てそれに気づいたりすることもありますし。
      2012/06/26
  • 特に仲良くもない知り合いから延々とオチのない恋愛武勇伝を聞かされているような気持ちになった笑
    【熱帯夜】って話は空気感がちょっと好き。


  • 今の私はマイナスなことばかり感受してしまってる。
    美味しいものを食べても食べ過ぎたことを恨み、楽しい飲み会でも1人になると喪失感を覚えたり、
    今後の人生を考えて不安になったり、
    本当に些細な、飲み物を少しこぼしたことですら、涙が出るほど嬢な気持ちになる。
    幸せを感じる部分が鈍ってしまってるのだろう。
    お風呂に入る瞬間、本を読み終えた瞬間、掃除し終わった瞬間、新しいシーツに入る瞬間。少しずつでいいから幸せに気づけてまた前向きな自分に戻りたい。

    “悲しみを通過するとき、それがどんなにふいうちの悲しみであろうと、その人には、たぶん、号泣する準備ができていた。喪失するためには所有が必要ですくなくとも確かにここにあったと疑いもなく思える心持ちが必要です。”

    最後のあとがきの、この言葉が本質を捉え過ぎていて。今の自分すぎて。
    悲しみの訪れは突然のものもあれば予感するものもあって。
    でもどちらにせよ、号泣するつまり受け入れる準備ができているもの。
    悲しみは蓄積されるものじゃなくて通過するもので。
    その悲しみを乗り越えた先に確かに光はあって、強くなれること。
    長い人生で何度も悲しみを通過すること。
    ふと思い出したときにその悲しみと向き合うきっかけがいつか訪れるかもしれないこと。
    通過しても、悲しみの片鱗は意外にも自分の中に残ること。
    読み終えたこの感情は前向きではないものの読む前とは確実に何か違う感覚になっているな。

  • 自分勝手で、等身大の女性の恋愛についての物語
    基本的に今いる相手とは
    違う方を思う恋愛ばかりなので
    個人的に私の恋愛観には当てはまらず
    読んでて共感できず窮屈でした

  • 生活の一部を切り取り感想を書く。前後の問いも疑問もなく意味がなく終わる超短編。特に自己嫌悪、自己満足、相手との感情錯覚など読者の創造力に期待を持った小説なのだろうか。私にはどうも理解不能・消化不良のままである。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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