ぬるい眠り (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339238

作品紹介・あらすじ

半年間同棲していた耕介と別れても、雛子は冷静でいられるはずだった。だが、高校生のトオルとつきあっていても、耕介への想いはじわじわと膨らんでゆく。雛子は、大学四年の夏、かけがえのない恋を葬った(表題作)。新聞の死亡欄を見て、見知らぬ人の葬式に参列する風変わりな夫妻を描く佳編、『きらきらひかる』の十年後を綴る好編など全九編。著者の魅力を凝縮した贅沢なオリジナル短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 江國さんの若い頃の作品集。短編9編。
    地に足がついていない感じの女性達が主人公。
    作品の中で、恋人にどこでもいいから褒めてと甘える女性に、「感覚的で自由なところ」と答えていた。小説もそういう感じ。

    • 土瓶さん
      新潮の100冊。
      課題制覇にきましたね^^
      新潮の100冊。
      課題制覇にきましたね^^
      2023/07/15
    • おびのりさん
      夏彦も読んでるのよ。一日100ページ。10日もかかるわー。
      夏彦も読んでるのよ。一日100ページ。10日もかかるわー。
      2023/07/15
  • 「これはお別れの電話なの。だからもう、夢に出てきてくれなくてもいいわ。」
    表題作「ぬるいねむり」、確かこんな一文があったはず。

    あなたが夢に出てきた、とたまに言ったり言われたり。
    好きと伝えられるよりよっぽど信じられる告白だなぁと思う。

  • 出てくる女性、ローランド並の自己愛

  • 江國香織さん、久しぶりに読んだな。

    『きらきらひかる』の10年後を描く作品が乗っているということで読んでみたいと思って読んだけれど、何故それを読みたいと思ったのかを覚えていない。
    『きらきらひかる』は、随分昔にドラマをやっていて、「きらきらひかっています。」というセリフがなぜだか印象に残っていた。果たして本当に言っていたのかどうか定かではないけれど…。小説も読んでないし。

    まぁ、それはそれとして、不思議な話が多かったな。
    印象深いのは、「清水夫妻」
    なんだろうと思う内に始まって、なんだろうという間に終わった。というのと、清水という友人がいるので。

    「夜と妻と洗剤」
    これはものすごく短い話だったけれど、何だかオチが平和だなって。こんな夫婦こそ、上手くやっていくのかなぁ。

  • きらきらひかるの続編があると聞き、読みました。
    題名のとおり、とろとろ、うとうと眠くなって読み進めるのに苦労した(笑)

    どの短編も自己愛がキツイ女ばかりで、もっと相手のことを考えられないのかなぁと思った。

  • 江國 香織ファンならとりあえず読むか感覚の短編集。
    他人には特にお薦めないかな。。
    まとまってなかった単作を単にまとめてもらったそう。
    だいたいは20代前半に書かれたもので、そうでもしないと広く読まれない作品があるわけなので仕方ないですが。
    この中では恋愛ものじゃないのが面白かった。
    葬式に行くのが趣味の「清水夫妻」と中年母娘のおかしな会話がツボの「奇妙な場所」と大学時代の友だちとの会食に小さな幸せを感じる「放物線」が好きかな。
    恋愛ものは相変わらず少々うっとうしかった。
    このうっとうしさに今は食傷気味。
    恋愛小説を読みたくない気分だったらしい。
    じゃあ江國香織を読むなと突っ込まれそうですが。上手だし安心だし、サクッと入り込めるので、つい。

  • 江國さま初期の短編集。のちの長編への息吹が感じられるが、青かったり生々しかったりでそれがまた魅力。他人の葬式に行くのが好きな夫妻に魅入られる『清水夫妻』は大正時代あたりに書かれた時代感。寡婦のママとふたりの年寄り娘がただ年末の買い物を盛大にするだけの『奇妙な場所』の空気もいい。細部の描写に神が確かに宿っているよ。それとも恋愛が出てこない話が好きなのか、私w

  • 『嫉妬というのは相手をしばるものかと思っていた。とんだかんちがいだ。嫉妬にしばられてがんじがらめになるのは自分なのだ。』

    『その言葉は私の耳元で、夏の日のカスタードみたいに甘く崩れた。』


     短編集で、最も印象が強かったのが「災難の顛末」です。私の中で江國さんといえば特別な事件がクローズアップされるよりかは、日常の一瞬を切り取った連続のようなお話を書かれるイメージです。が、災難では初っ端からある種事件が起きます。主人公は、91ヶ所もノミに右足を刺され、「はちはちに腫れて」しまうのです。
     以降、主人公の生活は一変します。通院し、肌を出さない服を着て、愛猫のシャンプーをいい香りのものから海藻の匂いのするものに変え、ノミ対策に明け暮れます。それでもなんと今度は左足がはちはちに腫れるのです。
     主人公は当然結婚まで考えていた彼とスキンシップどころでは無くなり、なんなら電話すらろくにできなくなります。仲の良かった友人がどんな言葉をかけてくれまいが行動してくれようが(ノミのことは黙っている)、陳腐で膜の外側のことのように感じ、原因となった猫、また動物は愛していたはずなのに恐怖の対象でしかなくなってしまいます。
     このお話、江國さんの実体験なのか聞いた話を基にしたのかあるいは想像なのかわかりませんがもう恐怖です。文章を生業にしてらっしゃるので当たり前に描写がうまく、もうグロテスクなほどだし、主人公がノミに刺されたことから生活の全てが一変し果てに憔悴する様子がリアルすぎます。『他のすべての人たちも、みんなみんな憎くて死にそうだ、と思った。みんな憎くて死にそうだ。』

     恐ろしいので、明日は大掃除をします。

  • 誰かのことを大切に想って生きる人、自分のことを大切に生きる人、それぞれの生き方があって、重みがあって、二人でいるのってバランスが難しい。どんな関係でも、"こう在るべき"ではなく、自分が"こう在りたい"と思う形で生きる方に進めば、清々しく生きられるのかな。江國さんの小説の登場人物は、誰にどう思われるかなんてお構いなしに、ちょっと身勝手なんじゃないかと思うくらい自分の欲望に正直で真っ直ぐに生きているなと思う。真っ直ぐな故の強さとか危うさとか、脆さとかが人間らしくて、ずるくなくて、ちょっと羨ましくなる。

  • 江國さんの書くお話しに登場する女性は、私にはない感覚を持った人ばかりが登場するのでいつも、とても新鮮な気持ちで斬新だなぁと感じながら読む事が出来ます。
    理解できるか?と言われると、毎回理解できるわけではないけれど。
    でも、人間らしい感覚と言うか傷ついた後のもがく感じは
    表に現さなくてもわかるというか、そういう所が好きです。
    せつないお話も入った短編集でした。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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