ぬるい眠り (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 4490
レビュー : 505
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339238

感想・レビュー・書評

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  • ひさしぶりの江國香織さん。ずっと買ってあったんだけどなかなか読む気がしなくてほったらかしてあったもの。最近なんとなくタイミングな気がして再び手にとってみた。ら、おもしろくするする読めた。

    短編集です。
    短い話から長い話まで、いろいろ。

    表題作がいちばん好きかなあ。「ぬるい眠り」。読みながらずっと不安で、最後にきちんと決着がついたことにひどく安心した。とらわれて抜け出せないことって苦しいよなあ。新しいものが目の前にあっても、自分が可能性を捨てない限り、ずるずると引きずられてしまうっていうこと、ある。
    あと「とろとろ」。恋人がいるのに他の人とも関係をもつ女性の話なんだけど、この浮気の考え方が面白い。

    「私は信二にとろとろになり、はじめて浮気をする人の気持ちがわかった。誰も大きな声では言わないけれど、人間は浮気をせずにはいられない生き物なのだ。誰か一人に全身全霊でとろとろになったまま、平気でいられるはずなんてない。」

    他の人がこんな気持ちで浮気をするのかは知らないけど、この感覚はわかるなあ。好きすぎるとその人だけになってしまうのが怖くて、なんか違うものに少しでも逃げたくなる。

    最初の感想は「自由な人が多いなあ」だったけど、感想書いてるうちに「苦しんでる人が多いなあ」に変わってしまった。奔放とか身勝手とか理解不能とか、世間的常識から少しずれてる行動も、彼女たちが少しでも自分の苦しさから逃れようとしてのことなのかなあ、と思うと、共感と同時にどこかせつなさも感じる一冊であった。

    (20090924)旧ブログより転載

  • なんか突発的に読みたくなった。ちょい艶っぽい気分になったとき、あたまに浮かんだのが江國作品で、未読の文庫を本屋の棚から引き抜いた。(さすがにスパイ小説を読んでいてはいけない気がした。)当たり。良い、良いです。いまの気分にぴったり。きれいすぎないでちょっぴりはすっぱで、だけど品があって、食とか美とかに貪欲で、じぶんの感覚をとぎすます。だいじにする。

  • 笑子がやっぱりすごく魅力的だなあ。すごく好き。きらきらひかる、が好きなのも笑子に惹かれるからだきっと。
    あとはちなみの弟も好き。
    お葬式の、死者に対して偲ぶ気持ち、当事者ではない立場から、故人の死を偲ぶ気持ち

  • 久しぶりの江國香織。比較的初期の短編がまとまっている。
    1編めはちょっと外したかなと思ったけれど、2編めの表題作、「ぬるい眠り」はとても親しみ深く読んだ。
    あと、「とろとろ」も。いつかの自分を重ねる。
    そして、こころの底からとろっとしたものがあふれてきそうな。
    これを書いた頃の彼女は30前で、ああ、そうか、と思ったり。

  • きらきらひかる、のその後が入っている短編集と聞き、わくわくしながら読みました。短いけれど、非常にいい。何度も読み返し、ほっこりし、幸せな気分に。

    他の短編は、相変わらずの江國さんらしい、ちょっと感情移入するのは難しい、でもだからこそ魅力的な女性たちのお話でした。表題作でもある、ぬるい眠り、が好きだったな。

  • 江國香織の本は、ホリーガーデンが好きなんだけれど、東京タワーに続き、ダメ。私にとって、吉本ばななが輝きを失っていったように、作家というものは、デビューした直後の作品が一番瑞々しく、その瑞々しさは失われると戻ってこないものなのだろうか?

    作品が全体的に、沼のように停滞してて、重く、つまらない。

    災害の顛末という作品は、すごく気持ち悪い。
    ある日、愛猫にうつされたダニで、足が腫れて、眼が覚める主人公。
    それ以来、取りつかれたようにダニ駆除を始め、結婚を前提だった婚約者にもその腫れた体を見せるのが嫌で距離をとり、愛猫も虐待し、思いつめていく様子を描く。
    そして、それでもいいという婚約者の言葉に対して、自分が好きなのだと気づき、婚約者は傷つきさっていく。
    不幸なループが途切れることない状態で終了。
    これって、ペット愛護精神から言ったら、問題がありそうな作品な気もします。。。

  • 『きらきらひかる』の続編が入ってるということで購入。紺君…と笑ってしまった。
    『とろとろ』『清水夫妻』がお気に入り。

  • 短編集。

    『ラブ・ミー・テンダー』
    年老いた両親が離婚すると言う。なんとエルビスプレスリーをこよなく愛す母が、エルビスプレスリー本人から毎晩のように電話がくるといいだしたのだ…

    意味一番幸せな愛のかたちかも。何歳になっても可愛くていい。きっと奥さんも気づいてるんだろう

    『災難の顛末』
    起きると足が腫れていた。ふくらはぎ一面の赤くて小さいおでき…ノミとの戦いが始まった

    これはやばかった一番インパクトありてかきもちわるい!こわい!主人公くらいの状況になったら人嫌い、ペット嫌いになりかねないがまじ、引っ越すし
    そして自分を守るための人間の思考の奥深さは深い

    『清水夫妻』
    新聞欄をみて他人の葬式にいくのが趣味の清水夫妻と出会い、自分も葬式の魅力にとりつかれていく…

    アイデアは凄い。それにしても江國さんは知らない人の葬式にいって荘厳さを感じたことがあったのかな自分がどうかんじるか気にならされた作品。まあいきたくないが…

    そして
    『きらきらひかる』の続編
    ぶっちゃけ紺と笑子たちの続編がみたかった郎はべつにいーや…
    というかやはり続編は本編ほどよくは決してならないというのがわたしの意見です

    あとがきを見て
    江國かおりの本を読むと残る違和感の理由を発見。
    彼女はわたしにとって『好きだけど友達にはなれない』考え方の持ち主だと思う。

  • 一番印象に残っているのは、「清水夫妻」。
    目黒の邸宅に住み、遺産暮らしなところが羨ましい。

  • ラブ ミー テンダー/ぬるい眠り/放物線/災難の顛末/とろとろ/夜と妻と洗剤/清水夫妻/ケイトウの赤、やなぎの緑/奇妙な場所

    短編集。
    書かれた時期が違うせいか、どこか統一性を感じられないチョイスでした。私は『ケイトウの赤、やなぎの緑』が読みたくて手にしたので、その一編だけでもよかったのですが。

    でも、やっぱり江國香織先生の作品は好きです。

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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