虫眼とアニ眼 (新潮文庫)

  • 新潮社
3.71
  • (167)
  • (261)
  • (278)
  • (40)
  • (10)
本棚登録 : 2734
感想 : 266
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101340517

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 人間社会の他にもたくさんの世界がある。人間関係以外のところで自分の世界を持っていい。

  • NDC分類 778.77

    「小さな虫の動きも逃さず捉えて感動できる「虫眼の人」養老孟司と、日本を代表する「アニメ(眼)の人」宮崎駿が、宮崎作品を通して自然と人間のことを考え、若者や子供への思いを語る。自分を好きになろう、人間を好きになろう、自然と生きるものすべてを好きになろうという前向きで感動的な言葉の数々は、時代に流されがちな私たちの胸に真摯に響く。カラーイラスト多数掲載。」

    目次
    養老さんと話して、ぼくが思ったこと(宮崎駿)
    『もののけ姫』の向こうに見えるもの(対談1 1997;対談2 1998)
    『千と千尋の神隠し』をめぐって(対談3 2001)
    見えない時代を生き抜く―宮崎アニメ私論(養老孟司)

    養老 孟司(ようろう・たけし)
    1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。

    宮崎駿
    アニメーション映画監督。1941年東京都生まれ。学習院大学政治経済学部卒業後、東映動画(現・東映アニメーション)入社。「ルパン三世 カリオストロの城」(1979)で劇場作品を初監督。1984年には「風の谷のナウシカ」を発表。1985年にスタジオジブリの設立に参加。

  • 2日で読了
    2023年の大晦日に最後に心地よく読み納めをもう一冊おかわりがしたいと本作を手にする

    ブレてブレて軸が根本からもげているであろう自分のような人間には、
    このお二人から発せられる竹のように反り返った芯のある言葉がとても心地良い

    私には見えない私の頭の後ろに何が書かれているかを、代わりに読み上げてくれるような安心感があるからだ

    世界や自然や家の外で起きる情景や出来事を観察する感性とその機会を逸した今、
    持て余した両目の顕微鏡で私達は人間関係ばかりをズームにして見つめ続ける

    ストンと腑に落ちる
    もっと人や人類以外に興味を持とう、
    せっかく持って生まれた自分の中の顕微鏡なのだから、
    それを隣人や属する組織の人間関係だけに使い続けるのはあまりにももったいない

    果たして来年の私は森を見ることができるだろうか
    木すら見えていない現状ではほとほと遠い目標ではあるが

    善き気付きと、竹のように澄んだ音が返ってくるような綺麗な日本語を読めて大満足

  • 宮崎駿と養老孟子の対談を収録した本。知的な会話が延々と続くこともあってか、会話の内容は高尚なテーマばかりで、一度読んだだけでは内容は理解できないと思った。しかし、本文を読んでいくうちに、両者ともに自然に対する畏怖と素晴らしさを説いており、人工物がない、ありのままの世界の良さが伝わる。幼いうちに、多くの自然に触れることで、自然に対する理解力が養われる。家にこもってないで、外で遊ぶことを繰り返し主張してる。

  • おもしろい"じじい"2人の20年以上前の対談。

    現代社会の問題点を痛快に切り捨てる様子が非常におもしろい。しかも的を得ている。

  • 題名の通り、お二人の視点を対談を通して理解できた。
    21世紀になる直前か、なった直後かにもかかわらず、お二人は世界が見えている。環境へのことも子どもへのことも、視聴者のことも。大作を作り、大衆に何かを気付かせる作品を生み出す人はそういう人なのだろうと思った。
    人間なのに人間らしく生きていこうとしていないのは今もそうで、先がわからず不安になってるのは今もそう。
    昔も今も変わらないけど、より人間らしくなくなってきているのはその通りだろう。

  • 巻頭のカラー10ページ分くらいの宮崎駿の妄想が素晴らしい。保育園はほぼ実現したと言っていいんだろう。あとは街ですね。あんなふうに子どもと年寄りが幸せに暮らす街ならばいいけども、ただただジブリが好きな人ばかりが集まると微妙やろうなぁ。
    対談もおもしろいけど、だいたい他でも読んだことあるような話が多いか。

  • 戦後、高度経済成長と共に、日本人が失ったものは何か?取り戻さなければならないものは何か?という大切なメッセージが込められた養老孟子と宮崎駿の対談本。

  • 内容の全てを理解はできなかった。
    嫌味もあり説教くさく感じるものだった。
    ジブリは小さい頃から何度も見た。セリフも暗記していたくらいには好きだった。
    子供が大好きで慈愛に満ちていてジブリを愛し愛されたいという人柄じゃないのがよかった。

  • ☆2023年5月☆

    ジブリの宮崎駿氏と解剖学者の養老孟司氏の対談。
    初版から20年経つのに古さを感じない。それだけ当時の社会課題が未解決のまま来てしまったとも考えられるし、2人の問題意識がかなり深いところを見ていたとも考えられる。


    特に環境問題、教育問題に関する話は興味深い。
    以下、印象に残ったフレーズを引用。


    ☆環境問題☆
    養老氏「ある日気がついたら、その滑川に弁慶蟹が一匹もいなくなっている。」

    宮崎氏「昔だったら、たとえばトンボなんかでも、こどもにとっては一匹一匹値打ちが違っていたでしょう。」

    養老氏「(教員に新任研修について)なんどその話題が、いじめをなくすとか、落ちこぼれを作らないとか、全部人間関係に終始している」

    ☆教育問題☆
    養老氏「イジメが深刻になっちゃう根本には、人間事にしか関心が向かない狭い世界があって、昔からあったことが、実は拡大されてしまった。」

    宮崎氏「なんでこんなに未来、未来って言うのか。子どもの未来はつまんない大人って決まってるんですよ。」

    ☆感想☆
    全体を通して言えるのは、人間を中心に置く(脳化、都市化)という傾向が過去から通して人類の中には存在し、現代はもっともその弊害が大きくなっているという事。「こうすれば、こうなる」という最適解がいつも存在すると私たちは思い込んでいて、自然というものがいかに複雑なディテールで成り立っているのかをあまり見ようとはしていない。子どもに関しても、子どもは「自然」なのだが、「こうすれば、こうなる」という発想で接するから、反発であったり、摩擦が生じる事になりよ思われる。
    じゃあどうしようか、というと決して答えのあるものではないが、まずは「身体性」を取り戻す、ということが有効なのではないか。養老氏のいう「参勤交代」というのは前から魅力的な案だと思っている、実現してくれないかな・・・。

全266件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

養老孟司の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×