- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101341095
感想・レビュー・書評
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【本の内容】
戦火に十代を奪われた育子に、遅まきながらの青春が訪れた。学習院女子短期大学への入学。
同人誌と少女雑誌に小説を発表する傍らで、やがて彼女は大学文芸部で出会った圭介のプロポーズを受ける-。
新進気鋭の三島由紀夫や文壇のリーダー的存在だった丹羽文雄、同人誌仲間の瀬戸内晴美らに触発されながら、夫である吉村昭と共に作家としての自立を目指した日々を描く自伝的小説。
[ 目次 ]
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「私は目の前で、彼が“自決”するのを見てしまった……」
作家、吉村昭の最期を、夫人で作家の津村節子さんが「お別れ会」で語ったのは、昨夏の終わりだった。
結核の闘病、戦争、両親の死……。
若き日から人間の生と死を見つめ、最期は覚悟の死を選んだ吉村さんと、その死をみとり、言葉で表現する伴侶の津村さん。
その姿は、ただただ壮絶であり、凛(りん)としたものだった。
今月刊の本書は、この二人が大学の同人誌で出会い、結婚、作家への道を模索していたころを描く自伝的小説である。
合評会で自分がほめられればうれしいが、夫の手前、手放しで喜べない。
そして、夫がほめられれば、共に喜ぶが、自分は焦って自信喪失する。
「夫婦で小説書くなんて地獄だなあ」と若き日の二人に語ったのは作家の八木義徳だが、本書からは壮絶さと同時に、文学に賭ける二人を中心とした人々の熱情、青春の華やぎが伝わってくる。
新進気鋭の三島由紀夫、酷評にめげず書き続ける瀬戸内寂聴、作家の卵を見守る丹羽文雄……。
育児に追われ、生活に追われながらも不屈の精神で書き続ける夫婦の姿は、たくましくも美しい。
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お二人ともどもが作家という地位を築いた、同志であり、好敵手であり、何より「夫婦」であることの日々。
こういうものが生き生きとするのは、やっぱり女房の視点からでしょうね。