還れぬ家 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 49
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (573ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101342160

作品紹介・あらすじ

十代で捨てた家だった。姉も兄も寄りつかない家だった。老父は心臓病を患い、認知症が進む。老母は介護に疲弊していた。作家は妻とともに親を支えることになった。総合病院への入院も介護施設への入所も拒む父、世間体と因襲に縛られる母。父の死後、押し寄せた未曾有の震災。――作家は紡ぐ、ただ誠実に命の輪郭を紡ぎ出す。佐伯文学の結実を示す感動の傑作長編。毎日芸術賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 少年だった。家族を捨てて家を出た。老いた父と母。震災。「還れぬ家」と題した作家になった少年の現在。生きている人間に時は流れる。読みながら、揺さぶられているのは、ぼくのなんだろう。

  • 『渡良瀬』にすっかりはまって、続きのような(私)小説を読む。

    前作は冷え冷えとした夫婦関係が印象的で、小説を彩っていたと同時に圧倒された。

    ところがこの『還れぬ家』によると、その後、主人公は離婚したのだった。
    新しい妻を迎えて、この度はなかなかいい関係なのである。
    (私小説だから前作の続きすると)

    「えっ!」

    しかも、
    若いときに家出した生家は父親が心臓病と認知症がからみ、母親が困窮している。
    それをこの夫婦は助けているのである。妻にとっては苦労と思いきや、
    妻は賢く、和気あいあいと、協力しているのである。

    「ええっ!こういう展開?」

    と考え込んでしまうが、人間味にあふれその描写が妙に好もしいのでもある。
    時代設定が2009~12011年、舞台が仙台なので東日本大震災にも遭遇する苦難もある。

    ほんとに私小説というよりも実録のように思ってしまう。
    とにかく私小説であって私小説でない気がますますしてくる。

    もちろん、文学であるわけで、普遍を描いている。
    だから私小説であるということは関係ないのである。

    筆力の凄さなのだと思う。

  • 認知症の症状がでてきた父親。
    同居の母も介護が難しくなっていく

    息子である著者はいろいろ複雑な体験をしていて兄弟もバラバラだったりしている

  • 夢の中の震災と父のシーンが強く印象に残った。

  • 文学

  • 160312

  • 認知症の父に向き合う、ひたすら日常を重ねた物語。仙台が舞台のため、東日本大震災の話も出てくる。
    特にドラマチックというわけではないのだが、何故か読まされてしまう。
    家というもの、家族というもの。
    これから直面するであろう現実をみたきがする。

  • 私小説である。まだ、こうした作品を生み出す作家が居たのかと驚いた。

    五十歳間近の主人公は十代で実家と疎遠になるのだが、父親の認知症により母親が介護で疲弊する姿を見て、再び実家、家族に寄り添っていく、といったストーリーである。そんな父親が亡くなり、直後に発生した東日本大震災…

    小説として面白いかと問われれば、全く面白くはないのだが、主人公と同じような年代には身につまされる内容だった。

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著者プロフィール

佐伯一麦(さえき・かずみ)
1959年、宮城県仙台市生まれ。仙台第一高等学校卒業。上京して雑誌記者、電気工などさまざまな職に就きながら、1984年「木を接ぐ」で「海燕」新人文学賞を受賞する。1990年『ショート・サーキット』で野間文芸新人賞、翌年『ア・ルース・ボーイ』で三島由紀夫賞。その後、帰郷して作家活動に専念する。1997年『遠き山に日は落ちて』で木山捷平賞、2004年『鉄塔家族』で大佛次郎賞、2007年『ノルゲNorge』で野間文芸賞、2014年『還れぬ家』で毎日芸術賞、『渡良瀬』で伊藤整賞をそれぞれ受賞。


「2019年 『山海記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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