金門島流離譚 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (487ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101343198

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  • 澳門向かいの金門島は行政の空白地帯。主人公は密貿易で生計を立て、事件に巻き込まれる。併録「瑞芳霧雨情話」台湾で強姦事件に巻き込まれる。霊媒師 が不気味。2019.7.27

  • やはり船戸与一である。「琥珀色の液体をなめ」、煙草を「銜え」て、「紫煙が燻らせる」のである。

    このハードボイルド感が、なぜか少し薄まっているような気がする。台湾をとりあつかっているからだろうか。もと商社マンということで少し硬さがとれているのだろうか。

    金門島は台湾といっても特殊な地域だ。中国大陸に寄り添う島でありながら、「主に」台湾本島に属しているのだ。その地域の特殊性に着目してストーリは展開していく。

    知り合いが大陸あるいは台湾本島の殺人者に殺されていくことで、金門島におけるビジネスも終焉か?とおもったところで新たな展開が。

    金門島の特殊性を最大限に生かしたストーリー展開は新鮮な気持ちにさせてくれた。

    しかし、金門島の魅力やどういった人々が住んでいるのかといった特殊性以外の側面は触れられていない。
    また、結局最後の展開に向かっていく際に、ストーリ展開のみに主眼が移ってしまい、何故?とかどんでん返しのような起伏はかんじられなかった。少し中途半端感あり?

  • 台湾と中国の政治的な狭間にある金門島を舞台に描かれる、ダークな話。大手商社を辞め、妻子を日本に残し、金門島に流れ着いて、密輸商売で巨万の富を築く藤堂。ビジネスはうまくいってるように見えたが、親友の裏切りを知り、抗争にまきこまれ、政府ににらまれ、恩人からは距離をとられ、出来の悪い息子に荒らされ、ついには昔の自分の行いが追いかけてくる。破滅、まさに破滅。金門島という特殊な政治的な地位にある場所、台湾の歴史については、興味深く知ることができたが。併録の話も、台湾本島の九?を舞台にした話。こちらは、少し、無理やりにでも破滅に持って行こうとするきらいがあるように思えたが。特に、太平洋戦争後のエピソードが興味をひかれた。

  • 霧雨情話がよかった。事件現場は映画の舞台で観光名所ですよね。日本がからむこんな過去があり、こんなドラマが作られるとは。さすが。共産党が世論を動かすために学問のない鉱山労働者の死体の山が欲しかったんだ!とは凄まじい話。

  • 金門島―。ここは、かつて人民解放軍と国民党軍の激戦の最前線であった。元商社員の藤堂は、“現代史が生んだ空白”であるその島で密貿易を行ない、したたかに生きていた。だが大学時代の友人が殺害され、血が血を呼ぶ狂騒曲が始まる。アジアのさまざまな病巣を露呈された事件の結末とは...。鄙びた観光地で、日本人と台湾人のカップルを襲った悲劇、「瑞芳霧雨情話」を併録。

  • 主人公が自分の息子に言った、いつか罪を犯した苦しみがお前を壊す、という言葉が印象的だった。

  • 台湾、中国に興味がある方、読んでみては如何?

  • 台湾と中国の間にある金門島で、偽ブランド品を商売にするもとエリート商社マンの物語。 わるになりきれない主人公に感情移入できず。

  • 表題作と「瑞芳霧雨情話」。こちらの方が良かった。

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