炎の回廊 満州国演義四 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 177
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (655ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101343235

作品紹介・あらすじ

溥儀を皇帝に祭り上げ、帝政へ移行した満州国。だが楽土の風はそよとも吹きはしない。抗日連軍に参じた中国人や金日成を奉ずる朝鮮人がゲリラ戦を仕掛ける。蒙古、ロシア、ユダヤ、インド、民族の野心が地に蟠る。歴史の最前線で、敷島四兄弟はそれぞれの闇に抗いながら日々を重ねてゆく。遥かなる帝都を震撼させた二・二六事件。その報に揺れる大陸の日本人たちを描く、第四巻。

感想・レビュー・書評

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  • 長かった。思いのほか読むのに時間がかかった(苦笑)。

    けれども、物語への引き込まれ感は既読の3冊を上回る。四兄弟の運命の歯車がまた1つシフトチェンジした感じと、狂気へ向かって走り始めた軍部の動向とが、読み手の心を揺さぶり始めた。

    ★4つ、9ポイント。
    2017.04.27.新。

    ※巻末解説文にある通り、それぞれの「正義」が誤った方向へ進み出て二度とは戻れない時代の荒波へと押し流されていく過程が描かれているというのがよく分かる一冊だった。

    ※筆者が登場人物に語らせた一言、「正義が何かを解決したことがありますか?むしろ逆に・・・」という台詞が、胸に刺さった。

    • ことぶきジローさん
      船戸与一はその昔、ゴルゴ13の脚本に参加していました。それをノベライズした三作が先月から来月まで文庫化されます。こち亀は大沢在昌の新宿鮫との...
      船戸与一はその昔、ゴルゴ13の脚本に参加していました。それをノベライズした三作が先月から来月まで文庫化されます。こち亀は大沢在昌の新宿鮫とのコラボしか知りませんでした。『鮫島の貌』という短編集に収録されています。
      2017/06/15
  • 第四巻。帝政に移行した満州国を舞台に民族対立の最前線に身を置く敷島四兄弟。

    船戸与一の遺作となった歴史冒険小説。図らずも歴史の波に翻弄される敷島四兄弟の各々の立場、信条の違いの対比が非常に面白い。

    この先の展開で興味があるのは、敷島四兄弟のうち、誰が生き残り、己れの信条を全う出来るのかということと、間垣徳蔵の正体である。

  • 昭和の闇を深めるもの、それは軍部だけではなかった。人も、国家も、時代が狂想を奏でる中で何かに必死に抗う、それが歴史の闇だったんだ。4兄弟が見事にそれを活写する。

  • 1928年~1945年の17年間の満州の歴史。登場人物4兄弟の視点で語られる。満州事変から第二次世界大戦終結までの流のなかで、南京事件、張鼓峰事件、ノモンハン事件、葛根廟事件、通化事件と有名な事件が次々と起こり、4兄弟それぞれの立場で事件と向き合う様子が描かれる。満州の歴史を詳しく知らなかったので、勉強になった。何が正しくてなにが正しくないのかなんてだれにもわからないと感じた。

  • 著者:船戸与一(1944-2015、下関市、小説家)

  • 敷島四兄弟が満州国にみな絡んでくる面白さは興味がつきない。第四巻では、天皇という「最高の虚構」が完成され、二・二六事件の渦中をこえて、次は破滅に向っていく。

  • 帝政へ移行した満州国。
    五族共和の理想にはほど遠く、阿片にたよる経済。
    そして、二・二六事件が発生。

    満州の歴史を目撃する役目を与えられた敷島兄弟は、これから何を見るのだろう。

  •  「天皇は日本人が産み出した最高の虚構なんだよ!」
    卓見である。本書は、ここが最大のキーポイント。
    今後の敷島兄弟の運命は、続巻が待ち遠しい。

  • 大河小説ようやく4冊目。満州国ができ226事件が起き、世のなかがどんどんキナくさくなっていく。それに翻弄されて四兄弟の人生も足踏み状態のような、よくない方向に向かいかけているような……。
    解説で髙山文彦が「現代の視点から見れば大日本帝国は明らかに超カルト国家であり、どこまでも生身の人間であったヒトラーを信奉したドイツ国民にくらべても極めて異常な国民、国家であった。」(p.652)というのに同感。

  • 2016年4月11日読了。

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