行きずりの街 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 241
  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101345116

作品紹介・あらすじ

女生徒との恋愛がスキャンダルとなり、都内の名門校を追放された元教師。退職後、郷里で塾講師をしていた彼は、失踪した教え子を捜しに、再び東京へ足を踏み入れた。そこで彼は失踪に自分を追放した学園が関係しているという、意外な事実を知った。十数年前の悪夢が蘇る。過去を清算すべき時が来たことを悟った男は、孤独な闘いに挑んでいった…。日本冒険小説協会大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 〇ザ・ハードボイルド。男前の主人公が十数年前の謎に挑む
    地方の街で塾講師をやっている波多野は、教え子が失踪したと彼女の伯母から相談を受け、上京し、行方を調べていた。教え子の名は広瀬ゆかり。彼女のアパートの周辺を調べていると怪しいものもうろついており、失踪には何らかの事件性も考えられる。マンションの管理人や以前の同居人に話を聞いていると、どうやら角田という男が絡んでおり、あるサパークラブで会ったのだという。そのクラブに行くと、昔高校に勤めていた時に職を追った大森たちがいて、職を追われる原因となった教え子であった元妻・雅子のバーを紹介される。雅子は変わっていなかったが、会ったことに後悔もした。
    翌日以降もゆかりを探しにあちこちへ電話したり訪問したりする。角田が学園につながっていることと学園で起こっている問題にも関係があると知った波多野は、昔起きてしまった事件も含め真実を探ろうとして・・・

    学園内の対立や抗争、人間関係や利害関係が複雑に絡み合っていて、それを昔のことを思い出しながら解決に導こう、ゆかりを助けようとする波多野の姿が頼もしい。波多野は将来を嘱望された教師であったにも関わらず、なぜ学園を去らねばならなかったのか。ただのスキャンダルでは終わらないこの事件の深さには、驚かされる。波多野の回想シーンには感情がこもっていて、リアリティがある。波多野の結婚当時の葛藤や後悔がまざまざと感じられる。

    東京を舞台にして、結局事件はどうなるのか、ゆかりと波多野の関係は、雅子との関係は。ワクワクとドキドキがページをめくる手を止めません。

  • どこに焦点をあてて何を期待して読み進めればいいのかを最後まで見つけ出せなかった。あらすじ読んだ限りではもうすこし恋愛色の強いミステリなのかと思ってたけどそうでもないし、主人公が追放された大学のもめごとにどんどん関わって行って謎を追うみたいなストーリーなんだけど、こっちが謎を楽しむ間もなくひょいひょいと解決されてっちゃったのがイマイチ。

    「人間のくずと父親は両立できる」というセリフがよかったな。
    これを含む池辺の生き方が書かれていなかったら☆2だったと思う。

  • 小説なのに、ころころ変わる場面設定についていけなかった。
    主人公の勝手な思いで物語が進んでいき、彼に共感もできなかった。
    描写もだらだら長く、退屈。

    一応読み切ったけど、久し振りに読むのを辞めようかと思ったほどつまらなく感じたな。

  •  後輩からのプレゼント本、ありがとう!
    この作家にちょっとした縁があり選んでくれたとのこと。
     もっと時間を有効に使わねば!反省反省。

     この手のジャンルは何と言うんだろう・・・ハードボイルド?ミステリー?アクション?恋愛?とにかく色々入ってます!

     主人公の波多野和郎、普通の中年男なんだが、ブルース・ウィリスばりのダイ・ハード感ありあり、ボロボロになりながらも目的のために邁進して行く・・・このガッツは素晴らしい!

     初めて読んだ作家だけど、楽しめました。
     ガッツで行こう!
     TVドラマ化、映画化もされているみたいなので機会あったら観てみよう!

  • 主人公の波多野和郎は、教え子だった広瀬ゆかりが行方不明になっていることを知り、東京へとやってきます。ところが、ゆかりの手がかりを求める彼の周りに、かつて敬愛女学園の教師をしていた波多野を学園から追放し、現在は学園の理事の座についている池辺忠賢(いけべ・ただまさ)の影が散らつきます。池辺は、かつて波多野が教え子の手塚雅子との交際を汚らわしいスキャンダルに仕立て、学園を牛耳ることを企てたのでした。

    やがて波多野は、学園の事務を一手に引き受けていた角田良幸という男とゆかりが行動を共にしていることを知ります。角田の跡を追っていく波多野の前に、学園にまつわる深い闇がしだいに明らかになっていきます。

    「志水節」「シミタツ節」と称される文体がストーリーとあいまって、ハードボイルドな作品世界をつくりあげています。

  • 率直に、内容云々というよりどうも文章の相性が悪いのかもしれない。
    それはページをめくり始めて早々に感じてしまった。
    様々な賞を受賞している作品なので、あくまで個人的な相性なのだろうが。
    ある大きな学園の事業拡大に伴う様々な事件や取引を、かつてこの学園の教師だった波多野が真相を究明していく。
    ミステリーというよりもサスペンスドラマといったほうが伝わりやすい気がする。

  • シミタツ作品で一番エントリー数多いなぁ・・・。シミタツ読者としてはこれを読んでシミタツを解ったように思って欲しくはないのだが。
    『このミス』1位の宣伝文句は単に購買意欲をそそっているだけで変な先入観をもたらしているだけ。非常に邪魔だ。
    主人公に都合の良すぎる展開や身勝手すぎる登場人物たちという声が多く、それについては同意する。私の中でも本書はシミタツ作品10本の指に入っても上位ではない。もっと面白い作品があるのでこれに懲りず、もっと手を出して欲しい。
    しかし文庫の表紙の絵は、不倫の香りがするなぁ・・・。

  • ブックオフ。古い本ですが、名作ということで読んだ。この手のハードボイルド系は割と好きな方。出だしから、有栖川公園のくだりがあって、浪人時代を思い出す。さて、この話、主人公が、行方不明になった塾の生徒を探す…がメインテーマではあるものの、かつての教え子であり結婚していた妻、それが理由で追放された学校とその関係者などなどが複雑に絡みながら最後は見事に収束。さすがの本でした。

  • お世話になっている学園理事長に薦められたので読んだ。プロットの上手さで持っていくが、「やられた」という感じはしない。ある意味王道の勧善懲悪である。

  •  ウィスキーを金と権力と女で割ったような男くさい物語。 情景描写や台詞にもしばしばウィスキーの香りが漂っているようなところが、この小説の面白さ。 そもそも題名が「行きずりの街」だもん。
     この手の小説を読んで、男は男ならではの夢見がちな性質を誇らしくも自嘲するのだろう。
     でも「夢見がち」と自嘲する時ほど、「夢」という言葉が色褪せた響きを持つことは無い。
     その時に「夢」と呼ぶものは、たんなる「欲」のことなんじゃないだろうか。 手に入らなかった、もしくは手に入れようともしなかった、ごくありふれた「欲」。

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著者プロフィール

1936年、高知県生まれ。雑誌のライターなどを経て、81年『飢えて狼』で小説家デビュー。86年『背いて故郷』で日本推理作家協会賞、91年『行きずりの街』で日本冒険小説協会大賞、2001年『きのうの空』で柴田錬三郎賞を受賞。2007年、初の時代小説『青に候』刊行、以降、『みのたけの春』(2008年 集英社)『つばくろ越え』(2009年 新潮社)『引かれ者でござい蓬莱屋帳外控』(2010年 新潮社)『夜去り川』(2011年 文藝春秋)『待ち伏せ街道 蓬莱屋帳外控』(2011年新潮社)と時代小説の刊行が続く。

「2016年 『疾れ、新蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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