行きずりの街 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
2.87
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本棚登録 : 1896
感想 : 255
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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101345116

作品紹介・あらすじ

女生徒との恋愛がスキャンダルとなり、都内の名門校を追放された元教師。退職後、郷里で塾講師をしていた彼は、失踪した教え子を捜しに、再び東京へ足を踏み入れた。そこで彼は失踪に自分を追放した学園が関係しているという、意外な事実を知った。十数年前の悪夢が蘇る。過去を清算すべき時が来たことを悟った男は、孤独な闘いに挑んでいった…。日本冒険小説協会大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!そもそもどんな枠組みの話かも分からない中でどうなるか?と最後まで一気に。
    とても面白い小説でした。

  • 内容
    女生徒との恋愛がスキャンダルとなり、都内の名門校を追放された元教師。退職後、郷里で塾講師をしていた彼は、失踪した教え子を捜しに、再び東京へ足を踏み入れた。そこで彼は失踪に自分を追放した学園が関係しているという、意外な事実を知った。十数年前の悪夢が蘇る。過去を清算すべき時が来たことを悟った男は、孤独な闘いに挑んでいった…。日本冒険小説協会大賞受賞作。

  •  後輩からのプレゼント本、ありがとう!
    この作家にちょっとした縁があり選んでくれたとのこと。
     もっと時間を有効に使わねば!反省反省。

     この手のジャンルは何と言うんだろう・・・ハードボイルド?ミステリー?アクション?恋愛?とにかく色々入ってます!

     主人公の波多野和郎、普通の中年男なんだが、ブルース・ウィリスばりのダイ・ハード感ありあり、ボロボロになりながらも目的のために邁進して行く・・・このガッツは素晴らしい!

     初めて読んだ作家だけど、楽しめました。
     ガッツで行こう!
     TVドラマ化、映画化もされているみたいなので機会あったら観てみよう!

  • 主人公の波多野和郎は、教え子だった広瀬ゆかりが行方不明になっていることを知り、東京へとやってきます。ところが、ゆかりの手がかりを求める彼の周りに、かつて敬愛女学園の教師をしていた波多野を学園から追放し、現在は学園の理事の座についている池辺忠賢(いけべ・ただまさ)の影が散らつきます。池辺はかつて、波多野と教え子の手塚雅子との交際を汚らわしいスキャンダルに仕立て、学園を牛耳ることをくわだてた人物でした。

    やがて波多野は、学園の事務を一手に引き受けていた角田良幸という男とゆかりが行動をともにしていることを知ります。角田の跡を追っていく波多野の前に、学園にまつわる深い闇がしだいに明らかになっていきます。

    「志水節」「シミタツ節」と称される文体がストーリーとあいまって、ハードボイルドな作品世界をつくりあげています。

  • 〇ザ・ハードボイルド。男前の主人公が十数年前の謎に挑む
    地方の街で塾講師をやっている波多野は、教え子が失踪したと彼女の伯母から相談を受け、上京し、行方を調べていた。教え子の名は広瀬ゆかり。彼女のアパートの周辺を調べていると怪しいものもうろついており、失踪には何らかの事件性も考えられる。マンションの管理人や以前の同居人に話を聞いていると、どうやら角田という男が絡んでおり、あるサパークラブで会ったのだという。そのクラブに行くと、昔高校に勤めていた時に職を追った大森たちがいて、職を追われる原因となった教え子であった元妻・雅子のバーを紹介される。雅子は変わっていなかったが、会ったことに後悔もした。
    翌日以降もゆかりを探しにあちこちへ電話したり訪問したりする。角田が学園につながっていることと学園で起こっている問題にも関係があると知った波多野は、昔起きてしまった事件も含め真実を探ろうとして・・・

    学園内の対立や抗争、人間関係や利害関係が複雑に絡み合っていて、それを昔のことを思い出しながら解決に導こう、ゆかりを助けようとする波多野の姿が頼もしい。波多野は将来を嘱望された教師であったにも関わらず、なぜ学園を去らねばならなかったのか。ただのスキャンダルでは終わらないこの事件の深さには、驚かされる。波多野の回想シーンには感情がこもっていて、リアリティがある。波多野の結婚当時の葛藤や後悔がまざまざと感じられる。

    東京を舞台にして、結局事件はどうなるのか、ゆかりと波多野の関係は、雅子との関係は。ワクワクとドキドキがページをめくる手を止めません。

  • どこに焦点をあてて何を期待して読み進めればいいのかを最後まで見つけ出せなかった。あらすじ読んだ限りではもうすこし恋愛色の強いミステリなのかと思ってたけどそうでもないし、主人公が追放された大学のもめごとにどんどん関わって行って謎を追うみたいなストーリーなんだけど、こっちが謎を楽しむ間もなくひょいひょいと解決されてっちゃったのがイマイチ。

    「人間のくずと父親は両立できる」というセリフがよかったな。
    これを含む池辺の生き方が書かれていなかったら☆2だったと思う。

  • 小説なのに、ころころ変わる場面設定についていけなかった。
    主人公の勝手な思いで物語が進んでいき、彼に共感もできなかった。
    描写もだらだら長く、退屈。

    一応読み切ったけど、久し振りに読むのを辞めようかと思ったほどつまらなく感じたな。

  • 本屋さんで読む本探していたら目に入ったのがこの本の帯、『91年度このミス第1位』。
    ということで手に取ったわけだけど、2週間ほど前の朝日新聞の書評欄によると、私と同じ人間が多いみたいで、この本、売れてるんだって。
    おとといの新潮文庫の広告には、梅田の紀伊国屋で第1位だとか。
    本って、売る気になれば、昔の本でも売り出すことが出来るということですね。まあ、作品に一定以上のクオリティがある前提でしょうが。
    で、この作品、田舎町で塾講師をしていた男が、失踪した教え子を探しに、かつて仕事をしていた東京に再び足を踏み入れたところから始まる物語。
    田舎から上京し東京で暮らす、そして訳あって田舎に引っ込んだものがかつて住んでいた東京を歩き回る。
    『東京はすでにわたしにとって過去の街となっているにもかかわらず、一方ではどこよりも刺激的で、魅惑的で、官能的であることを少しも失っていなかった』。
    東京という街に対する屈折した思いと激しい嫉妬。これは同じような境遇でないと分かりにくいと思うけど、この話のベースにあるのはそういう感傷です。
    その上で昔の妻との恋の物語。『男ほど感傷的で、独りよがりで、依頼心が強くて、空想的な思考しか出来ない生きものも少なかった。これではリアリストの女に勝てるわけがない』。
    男の人ならこの感じって良く分かりません?例えば、昔の彼女に偶然でも会った時に、こんな思いを持ったことあるとか。
    そうした男と女の情念が、微妙にほぐれていく様の描写が、また読ませます。
    カテゴリーとしたら冒険小説というかミステリーということなのでしょうし、それはそれで面白いのだけど、それ以上に上に書いたような部分の余韻が残る作品で。

  • スキャンダルで辞めさせられた元教師が
    塾の生徒が行方不明になり行方を追ううちに
    過去のことやその時の人たちが生徒の行方不明に
    絡んでいるらしく・・・
    まぁ淡々と読みました

  • 約30年前の作品のためか、ただただ相性が悪いのか、読むのに時間がかかった。学園経営をめぐる組織内抗争、高度経済成長期における価値観、私生児....。最後はちょっとあっけないご都合主義に収束するのだが、波多野をめぐる女性陣との絡みを中心に読んだ方が面白かったかもしれない。
    「すると私生児として育った人間は、みんなお前のような視野の狭い、狂信的な人間にならなければならないのか?」

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著者プロフィール

1936年、高知県生まれ。雑誌のライターなどを経て、81年『飢えて狼』で小説家デビュー。86年『背いて故郷』で日本推理作家協会賞、91年『行きずりの街』で日本冒険小説協会大賞、2001年『きのうの空』で柴田錬三郎賞を受賞。2007年、初の時代小説『青に候』刊行、以降、『みのたけの春』(2008年 集英社)『つばくろ越え』(2009年 新潮社)『引かれ者でござい蓬莱屋帳外控』(2010年 新潮社)『夜去り川』(2011年 文藝春秋)『待ち伏せ街道 蓬莱屋帳外控』(2011年新潮社)と時代小説の刊行が続く。

「2019年 『疾れ、新蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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