1000の小説とバックベアード (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101345529

感想・レビュー・書評

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  • 図書館から借りて読了。
    子供たち怒る怒る怒るに続けて佐藤友哉の本に挑戦。
    『子供たち怒る怒る怒る』個人的には好きだった。
    テーマありきで書かれていたから唐突な展開も楽しんで読めた。

    もし一言で説明するなら
    「小説に携わる全ての人のために書かれたような本」

    小説を愛する人も
    小説を嫌う人も
    小説を崇拝する人も
    小説を馬鹿にしてる人も
    みんな読むといい
    何かしら得られるはず。

  • なんて不思議な文体。

    デンデラも読んだけれども、ぜんぜん違う。
    こっちのほうが真骨頂なんだろうか。

  • 小説を読む人、小説を必要としない人、小説を書く人、小説が書けない人、小説を書きたい人、小説によって人生が潰された人……とにかく様々な小説に関わる人たちが出て来た。登場人物の、というよりは佐藤友哉自身の小説に対する熱が伝わってくるような小説でした。「作家の読書道」で佐藤友哉のインタビューを読んだ後だったから余計そう思ったのかも知れませんが。
    しかしp12~13に挙げられている小説で私が読んだことあるのは『アクロイド殺し』、『こころ』、『絵のない絵本』くらいだということに何故かショックを受けました…全部読破してみたい。

  • 片説家をクビになった青年が、妹が失踪したので助けを求め訪れた女に出会い、事件に巻き込まれていく。
    文章がざっくり書かれているので、途中で分からなくなり何度か読み返したが謎な部分が多い。
    佐藤友哉さん独特の、表現の仕方はやはり面白い。また主人公はやはり卑屈なので(佐藤さんの本の主人公は卑屈なのが多い気がする)少しイライラするが、同意してしまう部分もあった……

    好き嫌いが分かれると思う。途中までよく分からないことが多いが、終わりかたは好きだ。

  •  「片説家」という、依頼を受けて個人に向けて文章を書く、小説家とは似て非なる職業が存在する世界で、片説家をクビになった主人公が小説家を目指す物語。

     「片説家」という世界観がリアルで面白かったです。
     小説には、日々の生活の精神的な支えになってくれる要素が少なからずあると思います。要は、簡易のカウンセリングみたいなもので、僕らは薬局で風邪薬を買うような感覚で、本屋で小説を買っていると喩えることができるはず。
     では、選ぶべき薬が分からない場合、あるいは重症の場合はどうするのかとなると、医者に見せようということになります。おそらくは単にいい薬を薦めてくれるだけでなく、より自分に合うようアレンジして処方してくれるはずで、それがまさしくこの「片説家」。そんな職業が実在しても全くおかしくないなと思います。

     ただ、内容自体はリアルに攻めるというわけではなく、「言語」と呼ばれる能力があったり、「地下図書館」と呼ばれる収容施設があったりと、ファンタジー色が色濃く書いてあるのが、個人的には残念。最後まで無駄にリアルに抑えつけて書いて欲しかったです。ファンタジックな世界観を押すなら、もっとライトノベルらしく書いてしまった方が燃えて良かったような気がします。

     書き口が不躾というか、ヒネているという印象なので好き嫌いが分かれるかもしれません。

     小説に限らず、創作的な活動を趣味として持っている人にとっては、共感できること、異論を唱えたくなることなどが数多く詰まっていて、等身大で楽しめる作品だと思います。

  • 『Story Seller』を読んだとき佐藤友哉さんの独特な文体が、妙に印象に残り読んでみました。この作品もその独特な感じは変わってなかったです(笑) 
    ジャンル的には純文学のようなファンタジー?
    小説をテーマにした物語でこの作者の小説や、小説家についての思いや考えが所々でてるのかな?という印象を受けました。
    自分にはよく分からないところもありましたが…それでもなかなか楽しめた作品でした。

    第20回三島由紀夫賞

  • 小説を愛してる人が「1000の小説」などという概念を信じるのだろうか
    (絶対的価値観に流されながらの読書に喜びはあるか)

    忘れられた小説家を一般人と比較することになんか意味あるのか
    (ああいうのは小説家に負けたのではなく、自分に負けたと言うのではないか)

    物語としては面白く読んだのだけど
    どうも色々釈然としない

  • 内容を知らずに読みはじめたが、純文学だった。なんだか日々作家さんってこんなこと考えて小説書いてるんかなぁと、ちょっと赤裸々な感じがして私には新しかった。ノれる文体だから読み出すと入り込めてスピード上がるんだけど、一回休んじゃうと「続きが気になる」とは思わなかったらしく、読破するのに普通よりかなり時間がかかった。一ノ瀬さん主役の話も読んでみたい。

  • 『他人の本を読めなくなったのは、いつからだったか。』

    三島由紀夫賞受賞作。小説家、片説家、やみ、バックベアード。気が狂いそうなくらい露骨であり、涙が出そうなくらい琴線に触れる陰喩を用いて「小説」について描く。なるほど、こうくるかと。主張の根底にあるのが、風刺なのか、弁護なのか、はっきりとはわからないけれど、行き着く先は同じであり、とにかく絶妙すぎると感じた。

    人はいつだって安全な場所にいたがる。でも、そこに居続けることは、内的な要因からして難しい。だから取り込む。そして、ふとして消化仕切れなくなった時に吐き出す。果たしてその原因は、消化不良なのか、胃潰瘍なのか、それが問題だ。主体的な動機付けで吐き出すことができる人間でありたい。

  • 独特のテーマで読みやすいし面白いんだけれど、最後がよく理解できなかったな。
    所々の言い回しに笑った。

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著者プロフィール

1952年北海道釧路市生まれ。
1974年に北海道教育大学札幌分校特設美術課程卒業(美学・美術史専攻)。1976年に北海道教育庁北海道新美術館建設準備室の学芸員、翌年には北海道立近代美術館学芸員となる。1985年北海道立旭川美術館学芸課長。1990年からは北海道立近代美術館に戻り、2004年同館学芸副館長。2012年から2022年まで札幌芸術の森美術館館長を務める。この間、それぞれの美術館で数多くの北海道ゆかりの作家の個展や現代美術展を企画開催。
現在、AICA国際美術評論家連盟会員、北海道芸術学会会員、北海道美術館学芸員研究協議会会員。また旭川市中原悌二郎賞、札幌市本郷新記念札幌彫刻賞、ニセコ町有島武郎青少年公募絵画展、北海道陶芸展などの審査員を務める。

「2023年 『北の美術の箱舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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