黄金を抱いて翔べ (新潮文庫)

著者 :
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レビュー : 395
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101347110

作品紹介・あらすじ

銀行本店の地下深く眠る6トンの金塊を奪取せよ。大阪の街でしたたかに生きる6人の男たちが企んだ、大胆不敵な金塊強奪計画。ハイテクを駆使した鉄壁の防御システムは、果して突破可能か?変電所が炎に包まれ、制御室は爆破され、世紀の奪取作戦の火蓋が切って落とされた。圧倒的な迫力と正確無比なディテイルで絶賛を浴びた著者のデビュー作。日本推理サスペンス大賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • そんなに大昔でもないのに時代を感じる。後半に力を入れるのではなく、強盗に入るまでに枚数を費やす過程にこの作家の力量を感じました。72

  • 友人のお勧めで読みました。髙村作品は「李歐」以来2作目。
    銀行から金塊強奪をたくらむ男達の、犯行に至るまでの綿密な計画と、各個人をめぐる人間模様を描いた作品。公安だの暴走族だの右翼だの北だの南だのが首を突っ込んできてややこしかった。さらに、立地が分かりづらく読むのに時間がかかりましたが、ラストの犯行シーンのスピード感は圧巻でした。また、犯行前の教会のシーンなど、静と動の対比もよかった。それにしても、爆弾や電気回線の知識がすごい。次は「リヴィエラを撃て」か「マークスの山」をお勧めされたので、読もうと思います。

  • 映画はまだ観てません。
    高村薫の作品を読むと、だいたいいつももっと早く読んでおけば良かったと思う。それくらい良い。好き。重厚かつ硬質な文章で人間の内面を抉る高村ワールドに夢中です。
    男たちのド派手な金塊泥棒を描いたハードボイルドクライムサスペンス!だと思って読むと肩すかしを喰らうと思う。たしかにそこへ向かって物語は進んでいくし、クライマックスの金塊奪取のシーンは派手でスリリングだけど、主題はもっと暗くてじめっとした別のところにある。泥棒仲間として組む六人の男たちの関係や、その中での感情の動き、それらが蒸し暑く猥雑な大阪を舞台に描かれている。とにかくすごく人間くさい。例えば国島殺害のシーンで「こういう成り行きになるとは、半日前まで考えてもいなかった。幸田の手も北川の手も、これまできれいだったのだが、半日前と今の自分らの間に何か落差が出来たということはなかった。飛躍はあっという間に起こり、ほとんど気付かないほど滑らかだった」(p,149)という心理描写もすごくリアルな人間くささがあると思う。人一人殺すのに、「飛躍」で済ましちゃうのか、との批判がありそうだけど、自分はこのあたりの幸田の気持ちにも妙に同調して悲しくなる。
    幸田とモモについては、彼らの孤独と、もう最初っから全て諦めてしまっているような虚無感がとにかく切ない。それらの諦めの所為なのか、幸田とモモはお互いに対してすごく純粋に見える。純粋で誠実だよね。初恋煩った中学生みたい。いや今時の中学生より純粋か。「世紀の大泥棒が駆ける日……」からラストまではもう涙なくしては読めませんでした。あんまり泣きすぎて一旦休憩挟んだ。
    ラストシーン、果たして幸田は死んでいるのか?と疑問に思ってちょっと調べてみたら連載当時の版では幸田は死んだと明記されていたみたいですね。文庫版の生死が曖昧な描かれ方もとても好きですが、ああやっぱり死んだのかと納得。
    こういう即物的な願望は「神の国の話がしたいと思う……心の話がしたいと思う」という二人には無意味かもしれないけど、せめて同じ場所に埋葬してあげてほしいと思わずにいられない。

  • 高村薫さんのデビュー作。やはり圧倒的な世界観でディテイルにこだわった描写がとてもリアル。舞台の肥後橋らへんで働いてたことがあるからあの辺はよく知ってるのでよりリアルだった。高村さんの作品を読んだのは「マークスの山」と「李歐」と読んで3冊目だけど、どれも主人公たちが排他的で孤独。「李歐」のときも思ったけれど、孤独な中でお互いを渇望してやまない男同士の友情というよりもっと濃密な関係が哀しいような、うらやましいような。映画化されたということで映画も観てみたいと思うけれど、はたしてこの世界観が表現しきれるのかどうか。

  • 大阪に本店がある、大手都市銀行(多分あそこ?と想像させる)の地下に眠る金塊を、厳重なセキュリティーを破り、単身で盗み出す青年の話。

    犯罪だが・・・、不可能に挑戦する青年の熱意と努力が、思いもせぬ味方を引きつけて・・・。
    最近、ドラマ化 or 映画化との話を聞いたように・・・。(汗!)

    かなり前に読んだが記憶に残るお話でした。

  • 罪が連鎖し闇は繋がる。犯罪に足を踏み入れるきっかけなんて、ほんの些細なものなのかもしれない。状況描写の細かさはさすが。破滅への疾走感が半端ない。様々な危険や思惑や想いを孕みながら進んだ先に見える光り輝く金塊。札束ではなく黄金。

    高村作品に共通するモチーフのひとつにキリスト教があるが、闇の世界を生きるしかない男たちの中に神の存在が見えることで、それが作品の一筋の光にもなっているんだと思う。

    堕ちゆく過程で出会う束の間の安寧に心ときめくわ。

  • 何で画像がないんだー!高村さんの中では一番好き。素敵な俳優さんでドラマにして欲しい…

  • 6人の個性豊かな男達がその手に金塊をつかむまでの心の葛藤や、出来事が細かく描写されていて、読む人の心を捕らえて離さない!。
    特に主人公の心理描写は素晴らしい。
    何度読んでも、またすぐに読みたくなる。
    金塊を手に入れるための手段が、いつ本当にこの作品を真似た事件が起きてもおかしくないほどのリアルさ、緻密さ。
    とにかく、圧倒。

  • 高村薫のデビュー作。
    昨今のような重苦しい感じはなくて、割とカラっとした筆致の犯罪小説。
    しかも「完全犯罪」が成ってめでたしめでたしという筋になっている。面白かったけど、あれっ? へぇーっ? という読後感。

  • やはりモモさんは逝ってしまった。一般小説の鉄板を感じた。映画もDVDレンタルで観た。妻夫木君とチャンミン良かった。

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著者プロフィール

高村 薫(たかむら かおる)
1953年大阪市東住吉区生まれ、現在大阪府吹田市在住。国際基督教大学教養学部人文学科(フランス文学専攻)卒業。外資系商社の勤務を経て、作家活動に入る。
1990年『黄金を抱いて翔べ』で日本推理サスペンス大賞、1993年『マークスの山』で直木三十五賞、1998年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞、2016年刊行の『土の記』では大佛次郎賞、野間文芸賞、毎日芸術賞をそれぞれ受賞し、新たな代表作となった。
『レディ・ジョーカー』を境として、重厚な社会派ミステリーから純文学に転向。織田作之助賞選考委員を務める。

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