レディ・ジョーカー 上 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 199
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101347165

感想・レビュー・書評

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  • 固有名詞をいちいち記憶しながら行きつ戻りつ読了。これを面倒がると、あとが面白くないと分かっているので。高村薫らしい、なにかがずっと熱く淀み続ける重さ。続きを早く読みたい。

  • このミス一位、そして、マークスの山がおもしろかったので、この本を手に取ってみました。
    会社、警察、新聞社の話が長く、読むのに随分飽きがきました。
    中下巻読むかが疑問です。

  • 表紙の並びを「レディ・ジョーカー」にしたかったので、
    普段と登録の順番を変えてしまいました(笑)


    感想は下巻まで読み終わってから。


    上巻は、最初はものすっごくつまんなくて(笑)
    最後まで読めるかなぁ、と不安になりましたが、
    真ん中ぐらいまで読み続けると、だんだん面白くなってきました。

  • 重く静かに始まるストーリー。モノクロ映画を見ているような感覚。執拗なまでに緻密に描かれるディティール。中巻以降の一気呵成の展開が予想されます。

  • 重厚な描写。事件が半分してから始まった、読み続けられるかな?

  • 『いいとも。気に入った。レディ・ジョーカーだ』

    毎日出版文化賞受賞。

    鬱屈とした社会の中で空虚な日常を送る5名の男達。
    競馬場で顔見知りになっただけの男達が、未曾有の歴史的な犯罪へと動き出す。

    巨大ビール会社の日之出ビール社長・城山を誘拐し身代金を手に入れるという
    普通なら成功する見込みのほとんどない犯罪が行われようとしている・・・

    最初の一章が特に読みづらいかもしれませんが、
    ここでやめてしまうのは本当にもったいないです。

    男達は何故犯罪に手を染めていくのか・・・
    歯車が回りだし、物語は少しずつ加速していきます。

  •  犯罪を犯すまでに至る経緯とは別に、加害者側の人物が詳細に描かれている。彼らに共通しているのは、将来に希望がもてず生活に疲れている点だ。薬局店主の物井は人生の終盤に差し掛かり、兄の岡村清二を亡くすことで、自分の中にある狂気に目覚める。日曜に競馬場で顔を合わせるだけの競馬仲間たちと、大企業を恐喝する犯罪を計画し実行に移すのだった。

     社会の底辺を這うように生きる人たちの、鬱屈した精神状態が痛いほどに伝わる。だからといって犯罪を犯していい道理はないのだが、なぜだか彼らの応援をしたくなる。悲しいのは、誘拐される大企業の社長も実はどこにでもいる小市民であることなのだ。誘拐犯にゆすられて小市民の社長が下した決断とは、引用文をご覧ください。

  • 巨大ビール会社の社長誘拐を誘拐して、身代金をせしめるという犯行計画の話。誘拐という、日本ではあまり成功確率の高くない犯罪の小説。話は、48年前に遡る。事件に絡む犯人達の関係がじっくりと語られていく。そして犯行。緊迫した展開がこれから進んでいく。

  • 雄一郎はオジ様キラーだなあ!いつまで白いスニーカーを履いているのか気になる・・・(笑)

  • 冷徹な文体で、綴る犯罪小説なのだけど。本一杯に詰まった閉塞感が重苦しい。

  • 面白かったが、上の部分が長く感じた。

  • 次から次へと色々な立場、生い立ちの人物が現れて混乱するかと思ったけど、どの人物も執拗に背景や立ち位置などが描写されるので案外平気だった。
    裏表紙の内容説明やネットの書評をあまり読まずに読み始めたので、事が動き始めるまで一体何の話なのか分からなかったくらい、長い序章のような上巻。
    全体的に鬱屈した空気が流れている。

  • 面白い面白くないを超えて圧倒的な凄みを持つ小説。

  • 引き続き合田君シリーズ。これは、照柿よりはるかに読みやすい。
    息詰まる感じは同じなんだけど、照柿はなんだろう、息苦しい感じだったから。

  • 話の題材は「グリコ・森永事件」です。
    江崎グリコを架空のビール会社「日之出麦酒」に置き換えて話は進んで行きます。

    この小説は、犯罪小説なのか、警察小説なのか、企業(経済)小説なのか・・・・

    一応主人公は刑事の合田と日之出麦酒の城山社長なんだろうが、その他の人物も非常に丹念に描かれている。

    しかし良くもここまで詰め込んだな・・・と思わせる内容です。
    本筋の犯罪・捜査の話以外に被差別部落、障碍者、在日朝鮮人、総会屋対策、仕手集団、経済ヤクザ 等々の問題が詰め込まれています。

    結末に近い部分が私の好みでは有りませんが全体的には面白かったです。

  • 会社のコーチャーに貸された。
    何で借りることになったのかは忘れたけど、何がしかの会話があって、
    「じゃあ今度かしてあげる」と言われて借りた気がする。

    最近は特に、この手の小説って読んでなかったから新鮮。
    本かしてくれるひと、紹介してくれるひとは嬉しい。
    *****

    競馬場の常連集まりという「香ばしい」面々が、
    きっかけと呼ぶにはささやかな「きっかけ」の積み重なりの上に、
    超優良企業であるビール会社からの大金巻上げを図る。

    巻き込まれるビール会社側、それに刑事、マスコミなど各所の語り手として準主人公的な存在感の面々がいて、群像劇の体を成している。
    (それらをつないでいく工夫として、事件発生後の場面では面々が時計を見て、細かく時間を刻んでいく手法をとる)

    主眼は、誘拐事件を巡る推理・犯罪劇というより、
    誘拐事件をおこすに至った「搾取される側」の意識と、
    彼らから見れば「搾取する側」に属しながら、資本家でもなければ理想に燃えた経営者とも呼べないサラリーマン社長の葛藤とが主軸。

    構造に対する積み重ねられた違和感、鬱屈が社長誘拐→ビール自体を人質にとっての恐喝事件として放出する。
    *****

    すごく説明的にまとめたな・・・
    面白いです。なんていうか小説っぽい。

  • 通勤時間に読むと、駅について階段上がって改札出るくらいの間、妙に足取りが重くなる。。。読んでいる時は面白いんだけどなぁ。
    昔読んだ時より、明らかに彼らの社会人としての矛盾がわかって、なんか切ない・・・。組織ゆえの理不尽さとか、わかってるからもういいよ、って何度も思った。

  • 空虚な日常、目を凝らせど見えぬ未来。五人の男は競馬場へと吹き寄せられた。未曾有の犯罪の前奏曲が響く―。その夜、合田警部補は日之出ビール社長・城山の誘拐を知る。彼の一報により、警視庁という名の冷たい機械が動き始めた。事件に昏い興奮を覚えた新聞記者たち。巨大企業は闇に浸食されているのだ。ジャンルを超え屹立する、唯一無二の長篇小説。毎日出版文化賞受賞作。


    話が進むにつれてだんだん面白さが増してくる。登場人物の個性が強く面白い。
    ただ、個人的に高村さんの文章が遠まわしな表現に感じてしまいやはり好きじゃない。ので、この評価。

  • 高村薫『レディ・ジョーカー』(新潮文庫、2010年4月)税別705円、743円、629円

    ※上中下3冊あわせてのレビューです。
    単行本は1997年に毎日新聞社より刊行されたということなので、13年前の作品の満を持した文庫化ということになる。

    評者が単行本を地元の図書館で借りて読んだのが2000年頃だと記憶しているが、それからもう10年も経っているのかと、改めて思う。その当時夢中で読み耽っていた『我が手に拳銃を』『リヴィエラを撃て』『神の火』といった高村作品の中でもとくに重厚な作品群に比べれば、本書は読みやすかったが読み応えという点ではいま一歩か、と当時はぼんやりとした印象を持っていた。

    正直に白状すれば、この文庫本を手に取るまで大まかな粗筋以外はすっかり忘れてしまっていた。しかし、ページをめくる度に10年前の記憶がつい先日のようにフラッシュバックしてくる。これも作品の持つ力だろう。

    そして10年前には今ひとつ面白味が感じられなかったが、2010年の今になってみれば、他の高村作品に一歩もひけをとらない傑作だと確信できるようになった。

    業界シェアトップの老舗ビール会社の社長誘拐に端を発する企業テロというド派手な事件を軸にしながら、そんな喧噪は作品の遠景でしかない。高村の筆は常に東條人物の内奥にピントがあわせられている。

     企業、警察、マスコミ、犯人グループの主要登場人物たちは、各々のおかれた立場は違えど皆心の底に人間不信という大きな岩を抱え、その巨岩ですら憤怒・絶望という通過点を経て「諦め」という底なし沼に飲み込まれていく。

    この小説は「レディ・ジョーカー」という不条理に対して「諦める」ことを選択した男たちの物語である。

  • 告発の手紙、バラバラに紹介される個々のキャラクター、そしてタイトルでもあるレディー・ジョーカーとは何か、それらがどうつながっていくのか全く見えない序盤はなかなか苦しい。時間軸があっちこっちするので一気に読まないと世界観に浸れないのだが、一気に読むにはネタが重たい。初高村作品として選ぶのはやめた方が良さそう。
    事件の背景の描写や、人物の造形が緻密(言ってしまえば”ねちっこい”)で、視線の先にあるのが、部落問題だったり、障害者だったり、反社会勢力だったり、企業悪だったりするところも高村作品ならでは。それらをマイナスに描く、隠そうとするのでも乗り越えていこうとするのでも、解決することもなく、しつこくしつこく積み重ねてそのままさらけ出すところが読んでいて痛快。
    まぁ。好み、だと思うが。
    合田・加納カップリングのBLと思ってしまうと、真面目に読んでいるつもりがついついニヤニヤが止まらなくなって困る。高村作品はその要素なしでも十分読み込ませるのに、どうもそういう妄想が止まらなくなってしまう。男性読者はどのあたりどういう風にとらえるのか知りたい気がする。

    上中下、3巻にて完結。

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著者プロフィール

●高村薫……1953年、大阪に生まれ。国際基督教大学を卒業。商社勤務をへて、1990年『黄金を抱いて翔べ』で第3回日本推理サスペンス大賞を受賞。93年『リヴィエラを撃て』(新潮文庫)で日本推理作家協会賞、『マークスの山』(講談社文庫)で直木賞を受賞。著書に『レディ・ジョーカー』『神の火』『照柿』(以上、新潮文庫)などがある。

「2014年 『日本人の度量 3・11で「生まれ直す」ための覚悟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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