レディ・ジョーカー 中 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 128
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  • Amazon.co.jp ・本 (574ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101347172

感想・レビュー・書評

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  • (上巻より)

    しかし、個人的にはかなり忍耐力が必要な作品であることに変わりはない。
    新聞記者のウエイトを軽くした方が
    バランスがとれたのではないか。
    とにかうく、独白をする人物が多すぎる。

    合田刑事が誘拐された社長の、
    警護という名の間諜を務めたのは面白かったが、
    犯人を追い詰めるのに脅迫状を送るという手段はいかがなものか。

    そして最後の対決でどう追い詰め、追い詰められるのかと思えば、
    ナイフで刺すという暴力的な解決。
    しかも、何も日の下には明らかにされない。

    (下巻へ)

  • ギリギリと音を立てて回る歯車は、ときに人を挟み込み破裂させる。

    (以下抜粋)
    ○日ノ出の古い体質のなかでは、人事面での評価はむしろ低かった。
     早くから、業務上のトラブルやクレームの対応に率先して当たってきた経歴が、
     不当に作用した面もあっただろう。(P.71)
    ○もちろん、そうは言っても今日の利益をあげる者がいなければ、明日の変革もない(P.72)

  • 複数巻の長編を平行に読破しよう月間。うーん、厚い本ばっかりだから、消化が遅くていかんな。

    「ジョー」と書かれているが、中巻。前作の犯人側(?)の視点から一転して、日の出ビール側を主として、新聞社と警察が描かれる。メインとなる事件の成り行きと、マスコミの内情、株などの色々な話題が、これでもかと詰め込まれているのもあり、それほど複雑な話でもないはずなのに読みにくい。失速というよりは、上巻同様に読ませる勢いは今ひとつ欠ける。

    上巻から読みにくいと感じていたのは3点。あちこちに視点を飛ばしすぎる。専門の話に説明が無く、業界スラングや専門用語をそのまま表記する。最後に、主語がなかったり、言葉を発した人間へのフォーカスがない。

    業界スラングなどは、作者の慣れなのか、資料を集めてきたときのそのままなのか知らないが、ちょっといただけない。

    宮部みゆきなどの、集めてきた資料列挙というスタイルではないが、女性作家ならではの不親切さは目につくものの、同じエピソードを繰り返し書いたりすることでフォローにはなっている。

    さて、「グリコ森永事件」を下敷きにした本作。グリコ森永を知っている人なら知っているようなエピソードが続き、「いつ囮が捕まるの?」「現金入りカバンを高速道から投げないの?」と、うがった読み方をしてしまっていけない。

    かなり事件に近い展開になっている点は、リアルなんだけど散漫で、普通の小説が都合が良すぎるのかもしれない。本作も、警察の部分は都合良すぎるが。

    そんな中、もう一つ気になるのが、架空の企業や車の名前などが投げやりで「毎日ビール」とかイカンやろ?出てくる名称が、中途半端に現実の他業種だったりするのは、読者を混乱させる。この辺は発想力がたりていない。そのくせ実在する企業や車種も出てくるんだからよくわからない。本作の一番いけてないところは「レディ・ジョーカー」というタイトルに有るのではないかと思い始めた。

    人物などの系統樹は長編ならではというか、破綻が少なく良く出来ているとは思う。都合が悪くなったら自殺させるのはどうかと思うけどね。

  • (^^)

  • 日之出ビール社長、城山はレディ・ジョーカーチームによる監禁から無事解放される。

    しかし、城山の苦悩はそこからはじまる。ビールへの薬物混入で会社の業績は悪化。さらに、犯人から指示された裏取引に加えて、過去の総会屋との関係や差別による就職内定取消など、城山は難題を1人抱え込む。

    そんな城山の警護担当になったのが、主人公合田。城山の行動に疑惑を持ちながらも、真相解明のためには信じるしかないという複雑な葛藤で、合田もまた孤独感を強める。

    似たもの同士の2人は次巻で分かり合えるんだろうか。

    ところで、レディ・ジョーカーチームが城山への連絡する方法を解明するところが、この作品、唯一の推理小説っぽさ。

  • 重厚で、読んでいてもたれる感じがする。

    社長の城山はレディージョーカーとの裏取引を決意する。

    警察はレディージョーカーの指示が要領を得ず、鬱憤がたまり、解決策の糸口が見つからない

  • 中巻に入って面白くなってきた。先が知りたくて一気に読んでしまった。新聞記者のパートが好き。さぁ、下巻だー!しかし一巻一巻が本当に長い!2012/147

  • 合田は、外部から見ると爽やかで、自分の中では悩み苦しむという評価、それがどうも女性には色っぽく見えて人気らしい。という説を理解した巻。
    今のところ、照柿はなんだったんだというくらいにさわやかに進行。
    誘拐事件があってさえさわやかに感じられるという、虐げられた末の飴に喜ぶような読者に……
    しかし、兜町の株式操作の話、難しい。

  • 中巻。上巻よりはスムーズに読めたかな?合田刑事、城山社長、新聞記者が主。合田刑事と義兄の関係〜気になるなぁ。

  • 警察、新聞社の行動が詳細に描かれており、情景が思い浮かぶようでした。中巻ではレディジョーカーの側面が描かれていませんでしたので、下巻にかけて楽しみです。

著者プロフィール

●高村薫……1953年、大阪に生まれ。国際基督教大学を卒業。商社勤務をへて、1990年『黄金を抱いて翔べ』で第3回日本推理サスペンス大賞を受賞。93年『リヴィエラを撃て』(新潮文庫)で日本推理作家協会賞、『マークスの山』(講談社文庫)で直木賞を受賞。著書に『レディ・ジョーカー』『神の火』『照柿』(以上、新潮文庫)などがある。

「2014年 『日本人の度量 3・11で「生まれ直す」ための覚悟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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