マークスの山(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.79
  • (66)
  • (118)
  • (81)
  • (16)
  • (4)
本棚登録 : 1074
感想 : 78
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101347202

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 三浦しをんさんのエッセイ読んでいたら、そういえば合田シリーズは人気高いようなのに読んでいない、と思い。

    上巻はじめの方の、マークスの精神異常っぷりから来る行動のおかしさを読んで、始めの感想が
    「これ、うちの親は嫌いなタイプの小説だわ」
    だったことに、自分でも驚いた。
    『黄金を抱いて翔べ』も、好みじゃなかったって言われたのが残っていたのかも知れない。
    そして、マークスという人物の設定に関しては、なんというか……この作品の登場人物たちが抱える業のせいか、誰も彼もが精神的におかしな箇所を抱えているような、通常ではない反応を返すので、苦手だった。
    ご都合ではなく、それだけみんな、山の秘密に歪められてしまっているのだろうけれど。

    私の理解の浅さで、警察内部の人間関係や足の引っ張り合いの泥臭い部分について、あっさり書かれていると、また彼らの考えている縄張りや自尊心や意地について読めなくて、難しかった。
    「確信犯」という単語が二回出てきたけれど、この単語を法的に正しい意味で用いている小説には初めて出会った気がする、というのが、素直に驚いたこと。

    救いもなく、人の業のぶつかりあいで終わって、なんともやり切れない。
    まち子がとても哀れな女に思えた。裕之が、最後に富士山を向いて、彼の心の中ではまち子と一緒に見ていたのだとしても。

    合田シリーズは私には向いていない。
    とは思うけれど、とにかく合田三部作らしい三冊だけは読んでみる。

    →画伯が、「単行本を読め!」と。
    単行本と文庫本は、リライトでまったく違うらしい。
    単行本の方が、「ハマりたてのわくわく感で突っ走る」ような感じで書かれていて、作りこみは文庫より粗いけれど、心情的にも表現的にも美しい。
    特にラストは、いいと。
    よ、読むのか……

  • ちょっと不完全燃焼感が残る。

  • 全ての伏線が回収されたと思えず、もやもやが残らないといえば嘘ですが、最終章の怒濤の展開は圧巻です。
    少々固い文体(私は好きです)も、ここまで読み進める価値があります。
    やはり推理小説ではありません。
    登場人物も多過ぎると思います。
    それでも楽しく読めました。
    合田警部補は他の本にも登場する様ですので、また読みたいと思います。

  • あああ

  • 終了日:2012・5・27、はんぱないなぁ、もう!
    えっ、合田が義兄に留守電入れるシーンなんてあったっけ!
    あんなファックスあったっけ?!
    あと、登山道具を取りに戻ってきて義兄と鉢合わせになるの。「一杯やろう」って、うわぁ!!!

    林原は何度読んでも忘れるんだが、あんな終わり方だっけ?
    佐伯もあんなあっさり死ぬんだっけ。佐伯宅に押し入らなかった?
    マークスは最後、看護婦の制服と、サンダルを持ってたんじゃなかったっけ?サンダルだけだっけ?
    (手元に文庫本と単行本が無いのが悔やまれる)
    そしてあのエンディング…警察、関係者になんのclosureも与えない、寄せ付けない、はねのける孤高の自然、そして孤独。でもこれほどまでに山の恐ろしさと美しさを感じさせるエンディングはあるだろうか。
    ハードカバー版の、奇声を上げたくなるような義兄とのやり取りをもう一度読みたい。あれはまた、講談社文庫版を先に読んだ身としては驚いた…
    でも講談社文庫版から今回の新潮文庫版への細かい修正は流石に覚えてないな。
    だがしかし、最高であることに変わりはない。

    結論:やっぱり文句なしに面白い。合田が若い。何度読んでも損なし。

  • もっとマークス視点で読みたかった。
    テーマや隠された秘密など、特に遺書が見つかるシーンなんかのハラハラ感は面白かったのですが、だからこそ終盤のマークス、あるいは裕之の心情がどんなものだったかを見たいと思いました。

  • 再々読了、やはり傑作。
    解説で「ドストエフスキーというよりバルザックあるいは藤村」なるほど。

    ラスト「天空に浮かぶ富士山一つの姿を、今、見ていた」

    作者はおそらくこの一文を目指して書き紡いだのでしょう。

  • 山とは何だ…。というのを私も考えさせられた。
    何者にも曝け出されることのない暗い山はこの世の中に頑然と存在する地下茎のなんたるかみたいなものを感じたが、明るい山もあってそれが同時に存在するのが人なんだろうと思ったりもしました。
    恐怖や麻痺と共にある至福感。
    なんでこんなやるせない気分になるんだろうか。
    唯一の救いとすれば、「可笑しいな。なんでこんなふうなんだろう」という元義兄弟の間柄だけど、登山靴を磨く加納に声をかけることで、最後なのではなくまた始めればいいのだという少しだけ前向きな感情を垣間みれた気がしました。

  • マークスの山 下巻に突入。
    謎は深まるばかりです(^^;;

  • 続きが気になって読むのを途中でやめられず、結局一晩で読了してしまった。
    息もつかせない展開を祈るような気持ちで読んだ。どう転んでも後味の悪いオチかと思っていたがそれなりに綺麗な締め方で満足した。

    精神異常の犯罪者や学生運動や山など自分にとって取っ付きやすい事柄で組み立てられていたので、初めての刑事ものを挫折することなく、むしろ予想以上に楽しく読めた。

    直木賞作品で映画にもなってるくらい有名なら、もっと早く読んでおくべきだったかもしれない。

全78件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

●高村薫……1953年、大阪に生まれ。国際基督教大学を卒業。商社勤務をへて、1990年『黄金を抱いて翔べ』で第3回日本推理サスペンス大賞を受賞。93年『リヴィエラを撃て』(新潮文庫)で日本推理作家協会賞、『マークスの山』(講談社文庫)で直木賞を受賞。著書に『レディ・ジョーカー』『神の火』『照柿』(以上、新潮文庫)などがある。

「2014年 『日本人の度量 3・11で「生まれ直す」ための覚悟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高村薫の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×