マークスの山(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.79
  • (66)
  • (118)
  • (81)
  • (16)
  • (4)
本棚登録 : 1074
感想 : 78
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101347202

作品紹介・あらすじ

勤務先の病院を出た高木真知子が拳銃で撃たれた!やがて明らかになってゆく、水沢裕之の孤独な半生。合田はかつて、強盗致傷事件を起こした彼と対面していたのだった。獣のように捜査網をすり抜ける水沢に、刑事たちは焦燥感を募らせる…。アイゼンの音。荒い息づかい。山岳サークルで五人の大学生によって結ばれた、グロテスクな盟約。山とは何だ-マークス、お前は誰だ?-。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • “夢中”を味わった。

    下巻はとにかく読まされていく、そんな魅力のある作品だった。

    あっという驚き、予想外が仕掛けられた展開も良いけれど、小さな一つ一つの点が次第に繋がり線になり…という地道な過程を描いていく作品はやっぱり好き。

    真実を秘めたマークスという山が近づく、真実という山頂に一歩ずつ近づく時間は合田刑事の白いスニーカーと共に心に“夢中”という足跡を残していく感覚を味わった。

    彼ら二人の世界、明暗の山に抗えない人生。
    それらが虚しさとせつなさのかけらとなって最後は一気に静寂と共に心に降り積もった。

    読んで良かった、そう思えた作品。

    • あいさん
      こんばんは(^-^)/

      私、この映画は見てるんだよ。
      でも改変されていたからか、あまり評価よくなかったような。
      あ〜白いスニーカ...
      こんばんは(^-^)/

      私、この映画は見てるんだよ。
      でも改変されていたからか、あまり評価よくなかったような。
      あ〜白いスニーカーあった!
      あまり覚えてないけどスニーカーすごく印象的だった。
      2019/12/04
    • くるたんさん
      けいたん♪こんばんは♪
      さすが!超有名作品だよね♪♪
      山のシーンは映像で観てみたいなって思ったよ。WOWWOWでやらないかな。

      そう、白い...
      けいたん♪こんばんは♪
      さすが!超有名作品だよね♪♪
      山のシーンは映像で観てみたいなって思ったよ。WOWWOWでやらないかな。

      そう、白いスニーカーが印象的だよね(笑)
      しかもこまめに洗ってるとこが微笑ましかった(๑>∀<๑)♥
      2019/12/04
  • 下巻の、特に後半からぐいぐいと読まされました。
    最後の情景はとても美しく切ないものでした。

    ただしかし、
    ・「黄金を抱いて翔べ」でも思ったが、やはり作者の文章の独特の言い回しが苦手
    ・登場人物を覚えるのに難儀した。ニックネームも「ペコさん」「チュウシンの竹内」「十姉妹」ってなんじゃそりゃ
    ・水沢の犯行に至るまでの動機の形成過程がいまいちよく分からなかった。読み手の想像力不足と言われてしまえばそれまでだけど。。
    という感じで、なかなか肌に合わない部分も多くありました。

    もう一度読み直す時が来るとしたら、バラバラに散りばめられた伏線の一つひとつを舐めるように読んでみたいなとも思いました。

  • ずっと前から読んでみたい本だったので、お篭り年末年始にピッタリだとチョイス。
    雪山の話かと思いきやガッツリ警察小説。
    これは、かなり難しい本だった。
    文庫本でさらっと終わるかと思いきや、密度が濃いすぎて全然進まない。
    少しでも気が散りっていると全く頭に入らない不思議な小説。
    必死で読了。お陰で年末年始どこにも出掛けてないのにぐったり疲れました。

  • 父の本棚で見つけて手に取ったのが出会いで、
    一気に高村薫氏の虜になりました。
    私にとっての最初の作品です。

  • 「李歐」から入って「黄金」と続いたので、警察サイドの話は新鮮。面白かった……が、やや不完全燃焼。はたして水沢の動機は?″福沢諭吉″を夢見たときに出会った『MARKS』が(脅しやすさに)標的になっただけ?ここははっきりさせてほしかったなあ。あとオチね。ラスト、水沢が死んだらまずいと騒いでいたのに、あのあと一課はどうなったんだろう。
    そして蛇足。例によって文庫落ちにあたり加筆修正の嵐だったようですが、加納さんの涙と事件後のエピソードを削ったのはえぐい。

  • 上下巻読了。

    幾つか納得し切れない結末。
    木原が野村を殺そうとした動機。そこまでリスクを負う?
    水沢の犯行に至るまでの過程やら、マークスの人格形成過程。浅野の遺書を読んだだけで?

    全体としては非常に面白かった。登場人物や地名が複雑に絡み合っているので、新しい気付きを求めて、時間を置いて再読してみようと思う。

  • 面白かった
    上巻は話全体の進みが遅く、読むのが結構辛くてちまちま読んではやめてを繰り返してたけど、下巻から一気に話が進んで上巻とは比べ物にならないスピードで読み終わった

    小説として良い終わり方だなあと思うのと同時に、普段読むサスペンスは事件の解決まで描いているものばかりだったからこの後どうなるの!?林原たちは!?となっている

    この人がかく男は良くも悪くも漢を書いてる感じがすごく好き
    加納と合田の何と形容したら良いのかわからない関係性がすごいな、と

    林原たちの心理も濃密に描かれていてすごい重厚な小説だと思った

    文章の密度がすごくて疲れることも多いけど、これだけ日本語を操れる(知っている)のってすごいなとしみじみ思った
    言い回しが直接的でないから、私の理解力が足りず時折これはどういうこと?となることもあった

    山や警察組織のとんでもなく緻密な描写すごい

  • 面白かったです

  • 高村薫の作品では二作目の読了。リアリティや心情の精緻な描写はさることながら、犯人の登頂で終わる物語のおさまり方はとても気持ち良い。そのただ、上下巻に分かれていることもあって、中盤は警察・その他官僚の圧力(クソすぎる)と真実の追求のぶつかり合いが長く感じた。それでも、山という自然と権力の闇という対立テーマは見応えがあってすごく良かったも思う。
    この話の中で一番好きな関係性は「合田・加納」かな。髙村薫が描く男同士は、こういうどっち付かずで宙に浮いた関係性が一番美味しい。こういう関係性をじっくり読ませてくれないし、味合わせてくれないのも、作者の特徴であり魅力だ。

  • 刑事モノの長編を読んだのは初めてなせいか所々用語が分からずのめり込めなかった。同じ形容動詞が繰り返されるのも読み進める中で気になった点。合田雄一郎の主人公としての存在感がいまいち薄く感じるのは普段純文学ばかり読んでいるせいかな。

全78件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

●高村薫……1953年、大阪に生まれ。国際基督教大学を卒業。商社勤務をへて、1990年『黄金を抱いて翔べ』で第3回日本推理サスペンス大賞を受賞。93年『リヴィエラを撃て』(新潮文庫)で日本推理作家協会賞、『マークスの山』(講談社文庫)で直木賞を受賞。著書に『レディ・ジョーカー』『神の火』『照柿』(以上、新潮文庫)などがある。

「2014年 『日本人の度量 3・11で「生まれ直す」ための覚悟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高村薫の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×