冷血(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 209
レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101347257

作品紹介・あらすじ

クリスマスイヴの朝、午前九時。歯科医一家殺害の第一報。警視庁捜査一課の合田雄一郎は、北区の現場に臨場する。容疑者として浮上してきたのは、井上克美と戸田吉生。彼らは一体何者なのか。その関係性とは? 高梨亨、優子、歩、渉──なぜ、罪なき四人は生を奪われなければならなかったのか。社会の暗渠を流れる中で軌跡を交え、罪を重ねた男ふたり。合田は新たなる荒野に足を踏み入れる。

感想・レビュー・書評

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  • 第一章を読み終えるのに、毎日義務の様に読んで実に一週間かかった。読んでも、読んでも、ページを捲るのが身毒なって已めて終う。歯科医師一家四人殺害事件。犯人は2人の男。それだけは、嫌でも事前に情報が入る。

    高村薫なのだ。始まりは、事件一週間前の被害者の娘の一人称の述懐。そして、2人の犯人の夫々の述懐と続く。ここまで読んだならば、何が待っているかは容易に想像がつく。一般のミステリーではない。高村薫なのだ。一人称述懐タイプの描写は詳細を極める。被害者の娘、中学一年生の歩(あゆむ)は徒らに純粋で生意気で聡明だ。実際、数学オリンピックをを目指す子供はそうなのかもしれない。犯人たちは、あまりにも短絡的に犯行を繰り返す。次第と運命の日に近づいてゆく。最近のゲーム世代の小説家のように、大量猟奇殺人鬼をキャラとして描いたりはしないのだ。

    高村薫の粘菌のような描写が続く。読んでいられない。もう止めろ、と私の中の臆病が叫ぶ。もう辛抱が切れかけていた頃、突如スイッチが切り替わるように第二章「警察」に変わった。

    久しぶりの合田雄一郎。私は単行本の「太陽を曳く馬」も読んでいない。「新リア王」から「太陽を曳く馬」に続き合田雄一郎も登場するこれらの文庫本化を飛び越えて、高村薫は何故こちらの文庫本化を急いだのか?本書を読んだところで、雄一郎の捜査のように「答」がひとつ出てくる見通しは何一つ無いが、また何故この物語が2002年に設定されているのかも、何一つ見通しは立たないけれども、ひとつ事実としてあるのは、第一章にきっちり7日掛かった私は、第二章はきっちり1日で済ませたということだ。もちろん、雄一郎の因縁の元妻が2001年の9.11で亡くなっていたことなどを見逃す粗い読書はしなかった。義兄との関係は、進んでいるのか?いないのか?それはわからなかった。

    事件は、想定内の経過を経て犯人逮捕に向かう。これでやっと物語の半分。一切見通しは立たない。合田雄一郎シリーズ、いったい何処に向かうのか。

    2018年11月12日読了

  • 高村薫『冷血(上)』新潮文庫。

    文庫化されたので再読。合田雄一郎シリーズ。冒頭から幸せな四人家族の日常と二人の男の出会いから二人の男が無計画、無軌道に悪の道にのめり込んで行く過程が交互に描かれる。そして、二人の男による冷血無比な最悪の事件がクリスマス・イヴに発覚する。

    著者の狙いなのだろうか、まるでノンフィクションのような冷めた視点で極めて克明に事件の過程を描いているように感じた。それだけに読み手は現実に起こった事件であるかのような錯覚を覚えると共に、背筋に冷たい物を感じるような不気味さを覚えるのである。

    上巻では事件の発生に至る過程、事件の発覚から容疑者の二人が確保される所までがじっくりと、まるで今の時勢を俯瞰するかのような視点で描かれる。

    果たして……

  • とある事情で最新刊を読みたいと思ったので。

    読む順番を間違えたらしい。
    どおりで、合田刑事の元妻の死が唐突に語られたわけだ。
    といっても、多分、順序はあまり関係ないはず。

    求人サイトで出会い、犯罪を重ね、家族四人を惨殺した二人組。
    それぞれ逮捕され、取り調べをうける。

    被害者、犯人、警察と構成要素が単純化されており、
    詳細不明の警察の内部抗争や医療過誤の捜査が何のために加えられているのか不明だが、
    今までになく警察小説に近い。

    とはいえ、特に逮捕されて以降は、
    取り調べの記述が詳細を極めているが、何を意図されているのかわからない。
    貧困を原因としない、現代の犯罪の理不尽さだろうか。

    (下巻へ)

  • 前半の150ページが大変。頑張って読むとその後の展開につながってくる。

    最初は未解決の世田谷区の一家の事件のことだと思ったけど、違う内容。

    感想は下巻にて

  • 2019年読んだ本が300冊ぐらいになるなか、最も印象的だったタイトルここに落ち着きそうなんですけど、まずカポーティの財産を受けて書かれていること。
    そして、たぶんどんな時代に読んでも現実と作品の虚構がシンクロすること。
    って意味で、いま自分がどういうフィクションを欲しているのか、正月早々あからさまになってたんだねえ。てなこと思う師走かな。

  • レビューは下巻にて。

  • 救いもなにもない。小説なのだが、これが真実ではないかと勘違いしそうだ。
    聡明な文章に毎回シビれる。

  • 詳細な描写で、ドキュメンタリー映像を観ているかのようだった。

  • レビューは下巻へ

  • 高村さんの小説結構読んでいるけれど、どれも湿気が強く感じられる。
    何故なんだろうか、皮膚感覚の様に纏わりついてくる。
    快感でもあり、逃れられない。

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