会長はなぜ自殺したか: 金融腐敗=呪縛の検証 (新潮文庫 よ 23-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101348315

感想・レビュー・書評

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  • 1997年3月に始まった東京地検特捜部による、第一勧銀本店への立ち入り捜査は、大きな驚きをもって迎えられた。総会屋事件に端を発した当局の捜査は、想像を超える広がりを見せ、逮捕者45人、辞任83人(三塚大蔵大臣、松下日銀総裁等)、処分214名 そして自殺者6名(第一勧銀元会長、日銀理事、大蔵省取引管理官等)という展開。事の発端は、第一銀行と三菱銀行の統合に反対した第一銀行の経営(のちに、第一勧業のトップとなった方)が、意に染まぬ統合を潰すため総会屋を巻き込んだことが背景にあるようです。この本店立ち入り捜査から24年を経て、三行統合もあり、第一勧銀は、みずほフィナンシャルの一部となりました。が、何か祟りのように、いまだにシステム運用に苦闘する ‘みずほフィナンシャル‘ を見ていると、何らかのお祓い等も必要なのでは、と思ったりします。(これは余計なお世話か)★三つであります。

  • 新井将敬については最終章で触れているだけだが、なかなかインパクトがあった。
    いわゆる「表の顔」は今でもたまに話題になるけど、「裏の顔」のほうは、もはやあまり話題にならないから。

  • 野村証券の総会屋への利益供与事件が発端となり、東京地検
    特捜部の調べは第一勧業銀行へ飛び火した。

    しかし、事件は拡大の一途をたどる。第一勧銀だけは終わらず、
    火の粉は日本銀行、大蔵省にまで降りかかった。

    1990年代後半の一連の金融不祥事は、リアルタイムで事件報道を
    見ていたはずなのに、私の記憶に残っていたのは大蔵省の偉い人
    が金融機関に接待され、行った先がノーパンしゃぶしゃぶだった
    ことだった。

    経済オンチが経済事件に接しても、この程度の認識しか残らない
    のね。私の頭脳には。でも、ノーパンしゃぶしゃぶはインパクト
    があったのよ。

    さて、本書である。総会屋への利益供与や、大口顧客への損失補填
    は当時の金融業界にあって「社会通念」だったのだろう。社内で
    連綿と引き継がれて来たことだから、誰も「これはまずいのでは
    ないか」とも思わずに続けられて来た。

    それがある日、「ちょっと話を聞かせてもらおうか」と東京地検
    特捜部が乗り込んで来る。証券会社も銀行も、寝耳に水だったの
    だろう。

    そうして捜査が進むと、第一勧業銀行元会長や政治家であった
    新井将敬ら、6人が捜査の過程で自ら命を絶っている。

    新井将敬の自死については謀殺説も根強いようだが、改革派という
    表の顔の裏で証券会社に「儲けさせてくれ。損失補填しろ」とやって
    いたのだから逮捕目前での自殺は不自然ではないと思うんだよね。

    ただ、6人もの自殺者が出たことで、東京地検特捜部の捜査自体が
    批判の対象になってしまったのは残念である。

    新井将敬だけではない。幾人もの政治家が新井将敬と同じように、
    証券会社へ利益を強要していた。もし、新井将敬が自殺せず、
    事件がどんどん政界にも波及していたらどんな政治家の名前が
    浮上したのか興味が湧く。

    本書では第一勧業銀行事件をメインに据えているので、その病巣
    がどこにあるのか。歴代の会長・頭取からどのようにして悪癖が
    引き継がれて来たのか。総会屋とはどのような存在なのかが平易
    な言葉で分かりやすく書かれている。

    この一連の事件から大蔵省は解体され、金融部門と財政部門が分離
    され、財務省が誕生した。

    それで浄化されたかと問えば、否なんだろうな。モリカケ問題の
    発生源は財務省だものな。そろそろ財務省も解体しますか?

  • 最近の金融機関の不正問題でよく引き合いに出される事件です。公民の授業すら受けてない子供だったためにイメージが沸かなかったので読んでみました。
    産経新聞のまとめ
    http://search.sankei.jp.msn.com/search/article?searchstring=%E3%81%BF%E3%81%9A%E3%81%BB%E5%95%8F%E9%A1%8C&x=0&y=0

    雑誌記事
    http://biz-journal.jp/2013/10/post_3075.html

    表題の第一勧業銀行総会屋利益供与事件だけではなく、そこから派生したMOF担-旧大蔵省および道路公団等の癒着事件、国会議員による証券会社への利益(損失補填含む)強要など、現在の金融規制の元となった「教訓」が描かれています。若干時系列上の重複は気になりますが、いまや当時のことを現在の解釈で色を付けずに我々の世代が知ることのできるメディアは限られていると思うので勉強になりました。

    その後の話として気になるのは、第一勧業銀行の「4人組」はその後、会社員として満足いく処遇を得られたのかどうか、という点です。

    インプリケーションとして:
    有能なトップを戴いた組織でも、それ以前の時代のマネジメントの欠陥や判断ミスが(時代の変化の結果遡及法的に断罪されるものも含めて)有能なトップを引きずりおろす結果となり、結局マネジメント不在は繰り返され、後任が未熟であるゆえに当該組織のマネジメントレベルが劣後するという負の循環が固定化するんじゃないかという仮説に行き当たったんですが、そこのところ、果たしてどうなんでしょうか。

    余談ですが、90年代と比べると、「自殺」に対する感覚が現代は麻痺しているように感じました。(企業規模の大小を問わず)経営者や一般人の自殺に対する「慣れ」が起きるほど、その後の日本の約15年間は壮絶だったのでしょうか。

  • 呪縛を新聞社サイドから見た心象、悪くは無いんだが・・・

  • 4101348316 330p 2002・5・25 8刷

  • 金融腐敗を歴史に学ぶ。アマゾンの中古で購入。

  • 彼らを追い詰めたものはいったい何だったのか。政・官・金融界の癒着、「総会屋」という日本独特の存在など、日本企業社会の歪みを徹底的に暴いた記念碑的ルポルタージュ。

  • 面白かったです。
    呪縛つながりで。僕は映画から入りましたけど。

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