ナイフ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 7403
レビュー : 753
  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349138

感想・レビュー・書評

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  • 5編からなる短編集。
    それぞれの短編は独立しており、一編は100頁前後の長さ。
    もっと早く読むつもりだったのが、この一冊を読むのに一週間近くかかってしまった。
    なぜか?
    イジメを描いたこの短編集、一編を読んだだけで気分がドヨ~ンと沈んでしまい、続けて次の物語を読む気力が削がれてしまったからだ。特に文庫本の最初の三篇は、胸が悪くなるようなイジメの描写だ。こんな内容のものを読んだら、続けて次の短編を読む気力が...。作者の重松さんとは同世代だけど、子供の心理、親の気持ち、痛いぐらいに描ききってるなぁ。

    自分が中高生の頃もイジメはあったけど、今時のイジメって、何なんだ?こんなに陰湿なん?
    自分らの頃と比べて、あまりの違いに憤りさえ憶える描写だ。

    ・ワニとハブとひょうたん池で
    私立の女子中学でのお話。ハブと言うのは、村八分から転じた言葉だ。周りから徹底的に無視されることなんだが、無視だけならまだしも執拗な嫌がらせ...。両親の前で健気に振舞う主人公と親の苦悩。読んでいて辛かったなぁ。独身の自分でさえこうなんだから、同じ年代の子供を持つ人が読んだら耐えられないんじゃないか...。

    ・ナイフ
    気の小さい男子中学生と臆病な父親。こちらもイジメの描写はキツかった。子供を守るために小さなナイフを握りしめる父親。自分だったら、相手を切り刻んでやるところだが...。この物語でも少年はイジメのことをハッキリと親に言わず、助けを求めていない。少年のこの時期に特有の「親が出てくるのことは何よりも恥ずかしいこと」という心理、よく分かる。分かるだけに読んでいて辛いのだが...。

    ・キャッチボール日和
    本書の中で一番のお気に入り。中学でイジめられているダイスケ。とうとう不登校になってしまう。だけど逃げる事を良しとしない父親。両方の気持ちが分かるんだよなぁ。ここに描かれているような超陰湿なイジメなんかされたら、誰だって不登校になるだろ。だけど、自分の息子には強くあって欲しいという父親の気持ち...。
    子供のためを思って教室に乗り込む父親、その前で嘔吐してしまうダイスケ...。幼馴染みの女子中学生の視点で語られていて、イジメを見ても傍観者で居ることに悩んでる心情もよく分かる。最後、この幼馴染みの行動は、エライ!って拍手したくなったな。

    ・エビスくん
    こちらは男子の小学生、ひろしのお話。ある日、エビス君が転校してきたが、理由もなくエビス君にイジメられるようになってしまう。しかし、ひろしは重い病気で入院している妹のために、ひたすら耐える。自分が耐えることで神様にご褒美がもらえると信じて...。五編の中で唯一のハッピーエンドと言える結末。

    ・ビタースィート・ホーム
    こちらは父親の目線でのお話。元高校教師の妻と小学生の娘、幼稚園に通う息子の四人家族。この物語の特徴は、教師VS保護者の構図だ。教育熱心な小学校の担任と、それに反発する母親たち。ここで出てくるような担任ってのは自分の時代にも居たし、教育熱心なのは分かるけど、評価は難しいよなぁ。ここに出てくるような母親たちも、まわりの同級生の母親連中の中に居たしなぁ。担任の言葉でこういうのがあった。
    「はっきり言って、親のエゴに振り回されるのって、もううんざりですよ。こんなの、いじめと同じじゃないですか」
    学校の先生も大変なんだな...。

    子供の居ない自分だけど、「へ~、そういうものなのかな?」って思った台詞。
    「息子の生まれた父親って、キャッチボールするのが夢だってよく言うだろ。俺みたいに昔野球をやってた奴じゃなくても、ぜったいにキャッチボールなんだよ。それ、なんでだと思う?」
    「さあ・・・」
    「キャッチボールは、向き合えるからだよ。そういうときでもないと、父親が息子の顔を正面から見るのなんてできないじゃないか」

    父親とキャッチボールした記憶が蘇ってきたなぁ。

    ☆4個

    背表紙~

    「悪いんだけど、死んでくれない?」ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。僕たちの世界は、かくも脆いものなのか! ミキはワニがいるはずの池を、ぼんやりと眺めた。ダイスケは辛さのあまり、教室で吐いた。子供を守れない不甲斐なさに、父はナイフをぎゅっと握りしめた。失われた小さな幸福はきっと取り戻せる。その闘いは、決して甘くはないけれど。坪田譲治文学賞受賞作。

    自分に息子か娘が居たら、強く育って欲しいよなぁ、とつくづく思った。でも、もし弱い子供だったら、誰かにイジメられてたら、全力で守るんだろうな...。

  • いじめ描写がキツイ。子を持つ親として色々考える。

  • どの話も各々の問題があって
    しかし実際どこかで誰かに起こっている現状で、
    痛々しい…というのはあまりにも
    第3者の無責任な言葉でしかなくて
    情けないやらなんやら

    当たり前だけれど
    答えは載っていなくて
    こうしたらいい、ああしたらいい、
    書いてあったらどんなにらくちんかー
    でも答えなんてなくて

    救われることもあるし、
    はたまたなんだか
    自分がその年齢で降り掛かっている問題だったら
    心の行き場がわけがわからなくて
    破りたくなってしまうことも
    あるんじゃないかなと思ったり

    もんやり…!

  • 中学生のころの推薦図書。
    いじめに関する短編集だけど、暴力シーンなどが苦手なほうなので、ややトラウマ

  • 子どものいじめ問題を取り上げた短編 半世紀前に遡ってみるといじめそのものは存在していたが、命に係わるような事態はなかったと思う 自分の子どもたち世代にも多少マスコミが取り上げていた記憶がある 3年もすれば、孫世代が当事者になる可能性がある(いじめる側かいじめられる側)子どもが親としてどう立ち向かうのか気になるところ

  • いじめの正しい解決方法はきっとないんじゃないかと思う。いじめられる側、親、友達、先生、あらゆる視点からいじめをみるが、やはり、子どもと大人の壁を感じる。そうじゃないんだよな、と思う気持ちも共感できる。しかし、もし自分の子どもがいじめを受けていたら自分はどうやって向き合うべきなのか、今はまだわからない。

  • 涙が止まらなかった。子供たちのイジメの話。でも、どうしても親目線で読んでしまう。親として、どう対応してあげられるのか。
    最後の、ビタースイートホームにも泣けた。
    後悔、葛藤。とても共感できた。もどかしくて涙が止まらなかった。

  • 読後の重苦しさとやりきれなさ。心情に理解できないことも多かった。読んで後悔。

  • いじめ、独ぼっち・・・がテーマ?最後の「ビタースウィートホーム」が良い。

  • 2015.12.20
    親として、教師として読んだ。描写がリアルすぎて目を背けたくなる事もあった。
    「ビタースイートホーム」の妻の言葉に救われた。

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著者プロフィール

重松 清(しげまつ きよし)。1963年、岡山県生まれの小説家。早稲田大学教育学部卒業。
出版社勤務を経て、フリーライターとして独立。ドラマ・映画のノベライズなどを手がけたのち、1991年『ビフォア・ラン』で小説家デビュー。
1999年『エイジ』で山本周五郎賞、2000年『ビタミンF』で直木賞、2002年『流星ワゴン』で「本の雑誌年間ベスト1」、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。
山本周五郎賞、講談社ノンフィクション賞選考委員を務める。2017年、早稲田大学文化構想学部客員教授に就任。
『とんび』、『青い鳥』、『流星ワゴン』をはじめ、多くの代表作がドラマ化、映画化されている。

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