ナイフ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 9756
感想 : 824
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  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349138

作品紹介・あらすじ

「悪いんだけど、死んでくれない?」ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。僕たちの世界は、かくも脆いものなのか!ミキはワニがいるはずの池を、ぼんやりと眺めた。ダイスケは辛さのあまり、教室で吐いた。子供を守れない不甲斐なさに、父はナイフをぎゅっと握りしめた。失われた小さな幸福はきっと取り戻せる。その闘いは、決して甘くはないけれど。坪田譲治文学賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 重松清の小説の中でも特に「いじめ」にフォーカスした短編集。さらっと読めますが、いじめの描写はやはりリアルで痛々しい。

    印象に残ったのは「エビスくん」です。どんなにいじめられても、強い子が好きだから、いじめっ子であるエビスくんが好き、という主人公キヨシには共感できませんが、、エビスくんには一度会ってみたい。
    最後のあとがきで、エビスくんは実際に亡くなった友だちがモデルになっていることを知りました。「どこにおるんや、エビスくん」というキヨシの最後のセリフは、切ないです。

    • アールグレイさん
      忙しい中、返信無用!
      忙しい中、返信無用!
      2021/10/09
    • アールグレイさん
      先程プロフィールをなんとなく見ました!
      終わったんですね!
      鎌倉うずまき案内所、短編集ですが、お薦めです。
      先程プロフィールをなんとなく見ました!
      終わったんですね!
      鎌倉うずまき案内所、短編集ですが、お薦めです。
      2021/10/09
    • かりうささん
      ゆうママさん、お久しぶりです!
      試験は無事終わりました。
      結果発表は11月末ですが…自分の力は出し切れたと思います(*^^*)
      実は時々本を...
      ゆうママさん、お久しぶりです!
      試験は無事終わりました。
      結果発表は11月末ですが…自分の力は出し切れたと思います(*^^*)
      実は時々本を読んでいましたし、ここも覗きに来てました。
      おすすめありがとうございます。鎌倉うずまき案内所、読んでみます!
      2021/10/09
  • どこかのサイトで紹介されてたので買ってみた一冊。

    いじめの話しの短編集だった。

    短編の話でも続けていじめの話しを読むのはなんとなく気が重くなる。
    結構えぐいいじめの描写もあったし

    この小説は20年以上前の話みたいだか、いじめの内容がけっこうえぐい。今も多分実際に同じような内容のいじめを受けている人はいるだろうし、これからもひどいいじめを受ける人はたくさんいるのだろうと思う。

    時代がすすんでもいじめはなくならないし、解決できない問題だと思う。
    この小説の話でも、いじめ問題は解決してない。

    どの短編もいい感じで話が終わってる感じがするが、根本的な所は解決していないように感じた。

    いじめについて改めて考えさせられた小説でした。





  • イジメをテーマに子供にも親にも焦点が当てられた短編集。

    本当に読み進めるのが辛いほど、リアルで酷いいじめの内容だった。
    その中でもこの子はどうなっちゃうのか?このまま親はどうしていくのか?を考えながらでどんどん読み進めることができた。

    この本の登場人物たちは自殺はしなかったが、こんな状態だったら自殺したくなるよなと思ってしまった。ニュースでも子供の自殺報道は度々報じられているが、それと重ねるくらいリアルな描写だったと思う。

    虐めている側はどんな気持ちなのだろうと、そちらの気持ちを示した小説もあれば読んでみたい。

  • すごい。
    小学生の子を持つ親として、とても苦しく辛い内容ばかりでしたが、しっかり読ませていただきました。

    小中学生のいじめの短編集。
    無視の標的にされる女の子や、ひどいいじめをされるが父親に負けるなと無理矢理登校させられる男の子など。
    いじめに関わる子供達、親達の心の弱さや葛藤、闘った末の自分の在り方など、涙なしには読めません。
    最後だけ母親達VS若い女教師の話だけど、こちらもなかなか感慨深い。

    特に【キャッチボール日和】【エビスくん】
    いじめの描写も特に激しい。
    変にぼかしたりせず生々しいが、決して美化などされるべきではない事実がしっかりと書かれている。
    本気で心が沈むので、影響されやすい私は朝からズシっときてしまう…
    でも、どの作品も読後は前向き。

    あとがきも納得。

  • イジメ題材の短編集

    少し前の作品ですが、今も昔も同じことが繰り返されて問題となりますが、何一つ変わらないんだなぁって思いました。
    ゲーム感覚だったり、些細なことがきっかけで行われる人の残酷さが怖いお話でした。

    子供の頃には今の気持ちを持てなかったのかなぁ...

    変わらないかも知れませんが、考えるきっかけになれる本だと思いますので、沢山の人に読んでもらいたいです。

  • 「いじめ」がテーマの短編4編と「家族」がテーマの短編1編が収録された小説。
    「ナイフ」「キャッチボール日和」のいじめ描写が特に読んでて辛かったが、最後まで読み切ってよかったと思う。些細なことでいじめは行われる、加害者は軽い気持ちなのかもしれないが、いじめられる側だけではなく、その家族も辛い思いをすることを忘れてはいけない。
    作中に荒木大輔や長嶋茂雄の引退の話が出てるのが、一昔前、二昔前の作品って感じだが、いじめの根本はいつの時代も変わらないんだなと実感。是非多くの学生、教師の方に読んでもらいたい作品。
    立場の弱い人にフォーカスする重松清さんの作風がやっぱ好き。

  • 坪田譲治文学賞受賞作の「ナイフ」を読みました。
    5編からなる短編集ですが、最初の4編が「いじめ」、最後の1編が「家族」についてでした。
    いじめの表現がとてもリアルに書かれています。
    現代の子供の社会の恐ろしさを感じます。
    すごく力のこもった作品ばかりでした。

  • いじめに関する5つの物語を収録した短編集。読んでいて胸が苦しくなりましたが、目を背けるわけにはいかないと読了しました。名著ですが、心が弱っているときにはおすすめしません。

  • いじめをテーマにした4つの短編では、こうしたテーマの時には必ずと言っていいほど、「教諭」に対する憎悪でイライラしてしまう。(例え教諭が出てこなくてもだ)けど、あとがきでの重松さんの「相棒」話でイライラが少し中和出来たみたい…。

  • いじめを受ける子供と、その家族のお話。
    いじめは子供が最も辛いけど、側で見守る親も辛い。親の立場になった今なら分かる。
    助けてあげたい、毎日一緒に学校に行ってやりたいと思う。大事に大切に思う自分の子供がいじめに合うなんて悔しい。
    親の感情が如実に伝わる話ばかりだった。
    短編「ナイフ」が1番親の気持ちで読めた。

  • いじめの回は入り込みすぎて自分がいじめられてれている気分になってしまった

  • 「父親を、お前は超えろ」
    大学時代、父親を超えるというのはどういうことかという話の中で、自分を超える子供を育てて初めて父親を超えたと言えるのではないかという意見に感心したのが思い出される。

  • いじめに関する物語5つ。

    「エビスくん」が特に印象に残った。
    自分は我ながら負けん気が強い人間なので、もしも同じ状況だったら、とっくにどこかでブチギレてると思う。
    どうして主人公はやり返さないのか当初は分からなかったが、読み進めていくうちに何となく理解できた。
    家庭環境もあると思うけど、優しい子もいるもんだな。
    物語として、とても綺麗な終わり方で後味が良かった。

  • 重松さん好きだけどあんまり刺さらなかった。
    いじめの描写が結構苦しかった。
    もやもやした感情を持つ家族の話ならビタミンF、ちょっとしたすれ違いを描いた話なら日曜日の夕刊、ふとした時に思い出して読みたくなるのはロングロングアゴーです。この本はイマイチって人にはそちらをおすすめします。なんか最後の話のオチが同じ作者の別の作品で読んだような気がして残念でした。

  • ヤダこれもうステキ大好き。

    な感じの、大人向けのこども話。まぁ現役のガキやら子どものいない大人やらには伝わるまいよ、この気持ち。要するに酸いも甘いも噛み分ける大人が子どもに対して持つ感傷やら苦痛やらやるせなさやら何やかんやと思う気持ちをすべてぶつけるような、要するにマスターベーションに他ならないのであって、そういうセンチメンタルに夢見がちなオッサンこそが読むべきではないか。オッサンのはそういうのが必要なわけですよ。分かってチョンマゲ。

  • この本を手元に置きたくないなと思った。読んでいて本当に辛かった。いじめの加害者がたくさん出てくるが、彼らは特に制裁を受けず、被害者が重い傷を背負うのを横目にのうのうと生きるのだろう。それが辛い

  • 夫の友人からお借りしました。

    いじめをテーマとした5作品が収録された短編集です。
    今まで、温かい涙を誘うようなほっこりした気持ちの読後感の作品しか読んだことがなかったので、著者が書いたものでこんなにつらいいじめの描写があるなんて思いもよらず、衝撃を受けました。
    ラストはほんのり希望のみえる作品もありましたが、とにかくいじめの描写が鮮烈過ぎて今も憂鬱な気持ちから立ち直れません。これが今のリアルないじめなのでしょうか・・・
    それは私には知りえないことですが、ただ、読んでいてハッキリわかったのは、いじめられている側はそれを周囲に隠したがり、心配や同情も嫌うんだなっていうこと。
    大人にSOSを送れば心配かけちゃうしカッコ悪いし、という子供なりのプライドも大事にしてあげたくなりました。
    でも。
    それ以上に大切なのが、心や命なんだよ、と教えてあげたい。
    小説では父親が悩みながら奮闘する姿に救いをみましたが、実際にはどうなんでしょうか。

  • しんどい話や描写が多く、
    親・子・幼なじみ様々な人物と視点でその狂ったいじめの世界と向き合っていく話。

    最後の家族の話にほっと救われるところを含めて良い作品です。

  •  1998年度第14回坪田譲二文学賞受賞作。
     表題作『ナイフ』を含む5編を収めた短編集。小学生や中学生のいじめを中心とした構図の作品が多い。いじめについて誰かに打ち明けたいのだが、口に出すとなんとなく負けた気になってしまい、家族の前ではついつい明るく振舞ってしまう。家族もその変化に気づいてはいるのだが、なかなか声をかけにくい雰囲気が漂う。そのあたりの心情を巧みに掬い取っている。残酷さと同時に温かさも伝わってきて「生きることは悪くない」と思う。みんないろいろな思いを抱えて生きているんだなと実感する作品集である。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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