日曜日の夕刊 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2296
レビュー : 229
  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349145

作品紹介・あらすじ

日曜日、お父さんがいてお母さんがいて「僕」がいて、お兄ちゃんとお姉ちゃんは恋人がいて-。ある町の春夏秋冬、日常の些細な出来事を12の短編小説でラッピング。忘れかけていた感情が鮮やかに蘇る。夜空のもとで父と息子は顔を見合わせて微笑み、桜の花の下、若い男女はそっと腕を組み…。昨日と同じ今日なのに、何故だか少し違って見える。そんな気になる、小さな小さなおとぎ話。

感想・レビュー・書評

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  • 久々の重松清。

    「卒業ホームラン」は教科書にも取られているんだけど、フルで読むとまた違った味わいになる。
    切り取らなくては時間に収まらないのも分かるし、家族というものをバランスよく考えた短縮の仕方なんだけど、作品を切り出す行為って本当に本当に難しいと思う。

    個人的に「桜桃忌の恋人」はミラクルヒット。
    太宰治好きのややこしい女の子と、ミーハー文学部男子。(に、「徒然草」推し友人)
    絶妙すぎる話題に、何回吹き出したか。
    こういういじくり方は、好き。

    「寂しさ霜降り」では、離婚して自分勝手に出て行った父が、ガンになって余命数ヶ月を宣告され、娘にもう一度会いたい!という話。
    よくあるパターンだけど、父がいなくなり、激太りした姉と神経質な妹の二人が、それぞれに痛みを背負う所が切ない。

    必死で痩せてあの頃を見せようとする姉。
    傷を負った上に、まだそんな健気な一面を見せる姉に耐えられない妹。
    どちらの気持ちも、よく分かる。

    どの作品も、なんだかぴーんと真面目なんだけど、鮮やかな心理描写に引き込まれる。
    さすが、な一冊。

  • 今思うと、出会うべくして出会った本。

    自分だけの気持ちで言ったら、『桜桃忌の恋人』『後藤を待ちながら』が最も心震えた。

    『桜桃忌の恋人』は、著者の文学に対する愛着が伝わってくる作品だった。
    (私は文学好きな人に憧れを抱いている。)
    ラスト3ページにかけては秀逸だった。
    思わず、声に出して読み返してしまったほど。
    走り出す衝動の描写は、私の胸を高鳴らせた。

    『後藤を待ちながら』は、涙腺を刺激された。
    子供のころの私は、いじめられる子供の目線しか持っていなかった。
    この作品を読んで、いじめられる子供の親も、愛するわが子を傷つけられた身として、子供と同じように、もがき苦しむということを知った。
    「子供が寂しいときは、親だって寂しい」という言葉は、『さかあがりの神様』のものだが、この作品にも通ずるものがあった。

    どの作品も、心が温まるラストであった。
    ごく普通の人たちが生きていて一度は抱いたことがあるであろう、愛情とプライドの狭間にあるもやもやとした、素直になれない感情をうまく切り取って代弁してくれていた。
    ありふれた日常が、温かみのある文章で、美しく鮮明に描かれていた。
    著者はどのような経験をしてきたのだろう、どうしたら、このような温かい言葉を紡ぎ出し、心を丸くしてくれる文章を織りなすことができるのだろう。

    重厚な作品に浸かり、自己を見つめる作業は人生において必要不可欠だが、忙しい日常の中で読むのに、この作品はちょうど良かった。

    私がこの本を読んで得られた一番の収穫は、「子供が悲しいときは親だって悲しい」という視点である。
    今まで無性に孤独に思える日もあったけれど、私が両親から生まれてきたという事実がある限り、私は一人で悲しいのではないのだろう。
    私にこう思わせてくれる素晴らしい両親のもとに生まれたことを幸運に思う。
    そして私も必ずや、両親のような親になりたい。

  • どの話も少しいい方向に成長できる短編集。

  • 2019年2月23日読了。
    2019年23冊目。

  • 本人曰く「ホンモノの日曜日にはありえない物を使う」
    それで、「日曜日の夕刊」なのか
    12編からなる短編集ではあるが、重松清だなぁと思わせる小説ばかりである。

  • それぞれの、物語りの中に共感できる自分の心情に気づかされる、ほっこりする作品でした。相手の心情を重松さんの作品の主人公のように優しく想像したいものだなと思う。

  • 読書感想文を求められて選んだ本。桜桃忌の恋人で感想文を書いたよ。感想文でびっしり書いたからもうここでは書くまい。良い思い出だ。

  • 日曜日、お父さんがいてお母さんがいて「僕」がいて、お兄ちゃんとお姉ちゃんは恋人がいて?。
    ある町の春夏秋冬、日常の些細な出来事を12の短編小説でラッピング。
    忘れかけていた感情が鮮やかに蘇る。
    夜空のもとで父と息子は顔を見合わせて微笑み、桜の花の下、若い男女はそっと腕を組み…。
    昨日と同じ今日なのに、何故だか少し違って見える。
    そんな気になる、小さな小さなおとぎ話。 

    ・・・単純に面白いというよりは、それぞれの話の中に、ココロがチクっと痛んでしまうような一節が必ずあったり。
    どのお話も、目には見えないそれぞれの思いやりがテーマになってるように感じた。 
    慣れ親しんだ恋人でも家族でも、いつまでも思いやりを忘れたくない。 
    ・・・それを思い出させてくれた一冊でした。 

  • 高校時代・・・。入院してた時に部活の顧問の先生がくれた本!(^^)!

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著者プロフィール

重松 清(しげまつ きよし)。1963年、岡山県生まれの小説家。早稲田大学教育学部卒業。
出版社勤務を経て、フリーライターとして独立。ドラマ・映画のノベライズなどを手がけたのち、1991年『ビフォア・ラン』で小説家デビュー。
1999年『エイジ』で山本周五郎賞、2000年『ビタミンF』で直木賞、2002年『流星ワゴン』で「本の雑誌年間ベスト1」、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。
山本周五郎賞、講談社ノンフィクション賞選考委員を務める。2017年、早稲田大学文化構想学部客員教授に就任。
『とんび』、『青い鳥』、『流星ワゴン』をはじめ、多くの代表作がドラマ化、映画化されている。

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