ビタミンF (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349152

感想・レビュー・書評

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  • 第124回直木賞受賞作品。
    家族をテーマにした7編からなる短編集。
    40前後の中年男性を主人公として、家族の物語が描かれれています。

    ■ゲンコツ
    おやじ狩りを恐れている中年サラリーマン。
    仮面ライダー、正義の味方にあこがれ。
    同じマンションの不良中学生に対してとった行動..
    なんとも、ほんわかしちゃいます。

    ■はずれくじ
    妻の入院を機に息子と向き合う父親
    息子は悪い仲間の一員なのか、いじめられているのか..
    息子を信じられずに..
    父親として息子に望むことって多いよなぁ。

    ■パンドラ
    娘のつきあっている男は..
    傷ついた娘に対してどう向き合うのか?
    同じ、娘をもった父親としては気持ちが分かります。

    ■セッちゃん
    これは、正直切ない。
    自分に起きたことを、セッちゃんに転嫁して話す娘。
    父親として切ない。
    何をしてあげらるんだろ..

    ■なぎさホテルにて
    これ、なんとも面白い。
    過去つきあっていた女と共にしたホテルに家族で行く?
    設定面白い。そして、この奥さんも素敵!

    ■かさぶたまぶた
    娘と息子をもつ父親。
    そう、みんなそれぞれの役割を演じているんだよね。
    頑張っている父親にエールを送りたい。
    しかし、みんないい子、いい親である必要がないということをメッセージとして感じる物語。

    ■母帰る
    これまた、深い物語。
    離婚した父親のもとに、再び母親と父親がよりを戻す..
    その理由とは。
    そして家族のあり方とは。

    ということで、
    セッちゃんとかさぶたまぶたが印象的な物語でした。

  • アラフォー世代の父親たちが主人公の短編集。
    同世代だから共感できるかなと思ったが、全くできず。
    まだ若いのにくたびれすぎてるし、考え方が固いというか古いというか。20年以上前の作品だからかなー。

    「セッちゃん」が良かった。最後に家族で出かけるシーンが泣けた。

  • 最後の最後。
    Kindleで読んでいるので、みなさんがマーカーを引いているところがみえる。
    ちょっと驚いた。と同時にそうだよな、と。

    No.3443
    「家族っていうのは、みんながそこから出ていきたい場所なんだよ。俺はそう思う。みんなが帰りたい場所なんじゃない。逆だよ。どこの家でも、家族のみんな、大なり小なりそこから出ていきたがってるんだ。幸せとか、そういうの関係なくな」

    (※このお話では、子どもではなくお母さんのことを言っています。ちょっと複雑です)

    どこかで幸せに暮らしてほしい。
    今日は娘の誕生日。
    お誕生日おめでとう。
    (出て行ってうちにはいません~)

  • ●家族について書かれた、7つの短編集。主人公達は30~40歳の中年男性。私がよかった短編は、次の二つです。●①セッちゃん(いじめられている自分を架空の転校生にして、作り話の中に逃げようとした娘の話)、②母帰る(30年以上連れ添った後、家を出た妻を再び呼び戻そうとする父親)。母帰るは、「なにも要らない、悪いのはすべて自分、責められてもなじられてもかまわない、ただ離婚してほしい、家を出ていきたい、母は淚まじりに訴えた」とある。その後、母は内縁の妻として生きるが、男性に先立たれる。事情はあると思うが私には理解出来ない。人それぞれ、考えさせられる一冊でした。

  • 30後半〜40前半の男性達の短編集。
    どの主人公も「父親」「夫」の立場から家族のあれこれに立ち向かいます。
    年を経るごとに接し方が分からなくなる娘、長年付き添って逆に心が読めなくなってしまった妻。家族とは。

    ビタミンFは、人の心にビタミンのようにそっと効く、心に必要な栄養素ということらしいですが、子どものいじめの描写がリアルで痛々しくて、読むのが辛かったです。
    また「なぎさホテルにて」ではかつての恋人と共に過ごしたホテルへ、今の家族を連れて行く話。
    もしあの恋人と一緒になっていたら、今の平凡な家族の世界は違っていたんじゃないか。という淡い期待を持つ主人公。
    恋人と過ごしたホテルへ連れて行かれる妻の気持ちを考えると胸が痛い。

  • めちゃくちゃいい。
    めちゃくちゃ泣ける。
    でも、温かい。
    重松さんの作品はホント素敵だ。

    ただ身につまされるのは、30代ってもう、そんなに責任があって、中途半端に老いているものなのか、ということ…
    自分は半ばにさしかかったが、まだまだ自分は幼いし責任ある立場かというと、まあそういうわけでもなく、子どももまだ小さいからかもしれないけど、時代の要素もあるかもだけど、
    うーん。しっかりしなきゃなあ。

    父親の立場の作品が多いように思うけど、父親ってやっぱり、こういうものなんだろうなぁ、てリアリティがある。これは時代もあんまり変わらないよね。

    そして、私の一人息子。めちゃくちゃ幼いけど、きっと女の子だったらもっと悩み多いんだろうなぁ、男の子でよかった、なんても思ってしまった

  • 自分にとってのビタミンFは、Familyかな。

    まだ子供だと思っていた娘に対し、ふとした時に微妙な距離感を思い知らされ愕然とするんだろうな。家族の絆は信じていたいけど。

    7つの短編、さまざまなパターンでせつなくしてくれました。どれも最後に顔が少し上がるところは、ビタミンのおかげかな。


  • 2003年(発出2000年) 362ページ

    第124回直木賞受賞作です。
    重松清さん、初読みです。
    人の心にビタミンのようにはたらく小説。
    Family、Father、Friend、Fight、Fragile、Fortune … 〈F〉で始まるさまざまな言葉をキーワードに紡いだストーリー、そしてFiction…お話の力を信じ続けていくーーーーー後記で作者が述べられていたことばです。
    ◉ゲンコツ
    ◉はずれくじ
    ◉パンドラ
    ◉セッちゃん
    ◉なぎさホテルにて
    ◉かさぶたまぶた
    ◉母帰る
    7編の短編小説がおさめられています。
    いずれも30代後半くらいの男性を主人公とした物語です。家族、親子、夫婦の関係を描いた物語で、どれも印象深いお話でした。日常の中の重苦しい出来事をテーマにしたお話が多かったです。主人公が、それぞれ家族関係の悩みや葛藤を抱えています。家族間の表面には見えない心、そして家族の絆を描き出しています。どんな家庭でも起こり得るリアリティさがあり、身につまされます。特に『セッちゃん』が切ない。『かさぶたまぶた』も主人公の視点が胸にきます。他のお話も心を揺さぶってきます。
    さすが直木賞と思う作品でした。

  • ずっと積読で、やっと読み終えました。

    男親の日常の中での「もやもや」や葛藤?何かスッキリしない感じが描かれている。
    「お父さん、頑張ってるね。」
    と、切なくもなり、共感もできる所もあった。

    どれも、40代前後の父親が主人公。

    私は男親ではないけれど、モヤモヤはなんとな〜く解ります。それでも、今、出来ることをして、前を向いて進むことができたら良いなと思う。
    この本は、現状から少し頑張ろうと思わせてくれる作品だと思いました。

  • 重松清さんの短編集。直木賞受賞作品だそうです。

    ちょうどちょっと前の自分といった設定でしょうか?いわゆる中年に差し掛かった年齢の男性が様々な家庭や仕事の悩みと向き合いながら生きることをテーマにしています。

    切なくも優しい気持ちが芽生えて明日からも頑張ろうと思える本です。

    オススメ!

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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