きよしこ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 580
  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349176

作品紹介・あらすじ

少年は、ひとりぼっちだった。名前はきよし。どこにでもいる少年。転校生。言いたいことがいつも言えずに、悔しかった。思ったことを何でも話せる友だちが欲しかった。そんな友だちは夢の中の世界にしかいないことを知っていたけど。ある年の聖夜に出会ったふしぎな「きよしこ」は少年に言った。伝わるよ、きっと-。大切なことを言えなかったすべての人に捧げたい珠玉の少年小説。

感想・レビュー・書評

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  • H30.4.28 読了。

    ・吃音のある白石 きよし君の小学校から高校生までをつづった連作短編作品。カ行、タ行、濁音、半濁音でどもってしまうきよし君の言いたいことが言えない歯がゆさ、悔しさ、もどかしさなどの気持ちの描写がひしひしと伝わってきた。きよし君の家族の温かさも伝わってきて良かった。

    ・「いつまでも口を閉ざしてはいられない。自分の思っていることをしゃべれないのは、言葉がつっかえて笑われるよりも、ずっとくやしくて、さびしいことだ。」
    ・「抱きついたり手をつないだりしてれば、伝えることはできるんだ。それが、君のほんとうに伝えたいことだったら…伝わるよ、きっと」
    ・「君の話す最初の言葉がどんなにつっかえても、ぼくはそれを、ぼくの心の扉を叩くノックの音だと思って、君のお話が始まるのをじっと待つことにするから。」

  • 重松 清 著
    プロローグが物語に入りやすく興味を引く文章から始まり
    それは 吃音で悩む小学校時代のきよし少年の お話に展開してゆく…。カ行が上手く喋れず 名前も上手く言える自信がなく転校の多い少年にとって 最初の紹介からキツく辛い気持ちが分かった。 小学校時代は悪気なく 吃音だけでなくても 何かヘマをしたか 体型や顔や事あるごとにイジメの対象にされいびられる 小学生によくあるような「イチビリ」って奴が結構いたような…まだまだ 意地悪する子供って小心者なんだなぁと今なら思えるけど、イジメられる立場にある子供にとっては純粋な思春期だからこそ辛く堪えているしかなく しかも…
    大人になっても 苛められた子供にはその影がまとわりついてるのに 意外と苛めた子は忘れてる事が多いのに 本当に驚く瞬間があった。(私自身は小学生時代は正義感に溢れ強かったから 意地悪や苛めをする子供に堂々と闘ってたが、中学校になり 静かになってしまった)中学校時代になると苛めが暗い形で表れる気がする 苛め自体を無視して見てても見なかったような…苛められている子供だけが心身ともに傷つく。私は「悪気はない」って言葉が嫌いだ !小学生時代ならまだしも許される言葉でも(小学生が使ってたらまた問題だが…)大人になって 相手に酷いことをしても「悪気はなかった」って言葉で済まそうとするなら まだ、悪気があってやってしまって心から反省して謝る方がマシだって気がするほどだ。悪気はなかったんだって言葉で許されない事もある。話は外れてしまったが…小さな事でも恥ずかしく感じたり傷つきやすい時代を大人になると その感情すら忘れてしまいがちだが いつの時代になっても問題はあり 傷つきながらも自分で越えなけれいけない壁があると思う。大切なことは伝えたい思いがしっかりあれば伝わることも きっとあると思う。プロローグ「それがほんとうに伝えたいことだったら…伝わるよ、きっと」
    ゆっくりと話してくれればいい。君の話す最初の言葉がどんなにつっかえても、ぼくはそれを、「ぼくの心の扉を叩くノックの音だと思って、君のお話が始まるのをじっと待つことにするから」 私自身 本当にそんな人間でいれたらいいなぁと痛感しました。

  • 吃音の少年・白石清。いつも上手く言えずに悔しい思いをしている。
    父親の都合で転校が多く辛く寂しい思いもしてきた。
    そんな清の友達はある聖夜に出あった「きよしこ」というふしぎな存在だった。

    この小説は重松さんの“個人的なお話”らしい。
    転校を重ねるたびに清には自己紹介がイヤでイヤで仕方なかった
    吃音の清には自分の名前の「き」を含むカ行とタ行の発音が苦手だったからだ。
    そのたびに清はいじめにあったりして子ども世界特有の無邪気な残酷さの中で
    耐えなければならない。
    それでも読んでいて悲愴感どころか何か暖かく優しいものを感じるのは
    清の優しい心を汲んで手を差し伸べてくれる様々な人たちの心根に触れたからかもしれない。
    吃音などなにかしらの障害があってもなくても関係なく
    子ども達に対して
    「きみは決して一人ぼっちではないよ。それを忘れないで」という重松さんのメッセージがとてもよく伝わってくる作品でした。

  • キヨシ少年の口に出しては言えない悩みや心の葛藤が
    痛いくらいに伝わってきました。

    吃音だから言いたくても話したくても
    思っていることが言えない、

    自己紹介するとき、
    自分の名前でどもってしまう。

    なのに、父親の転勤で転校を繰り返し、
    自己紹介で失敗し笑われてしまう。

    たくさんの悩みや葛藤を経験しながら、
    少年→青年へと
    大人になっていくキヨシ少年。

    とてもはがゆくもあり、たくましくも思えました。

    吃音矯正の教室で会った
    イジワルばかりしてくる男の子と
    少しずつ心が通い始める場面は
    とても印象的でした。

    思ったことを遠慮せず口に出して言う
    中学の友達ゲルマも私は好きです。


    とても優しくて心に残る本に出会えました。

  • 良かった
    出会えて良かったと思える文句なし五つ星といいたくなる、わたしの好みにはどんぴしゃの本でした

    なんというか、感動した、なんて簡単な言葉で表現したくないのです
    苦しくて、切なくて、嬉しくて、ひきこまれて、考えて、胸がぎゅーっとなって、足をばたばた、目をきょろきょろそわそわ、涙が堪えられない、でも激しいものではなくじんわり
    そんな感じで電車の中でなんども困りました

    あさのさんも書いてたけどほんとにかっこいい、ほんとにきよしっていう人が堪らなく愛おしい

    印象的なシーンがたくさんある、ほんとに重松さんってすごいんだなって感心したのです

    私もうまく話せるタイプではないのです
    一緒にするのは違うかもしれないけどすごく伝わってきました
    でも本当に伝えたいことは伝わるんだって信じてます私も。ありがとう。

    なんだかんだ少年は周りから好かれてるって思った
    でもそれはきっと闘い続けてるからなんだろうな
    そして辛さを知ってるから本当の意味で優しくて深みのある人間で
    だからそれって伝えなくても伝わってるんですよね
    それは全体を通して感じた
    すごいなぁ
    夢中でした

    私が好きなのはゲルマかな、、
    ゲルマのキャラが好き。でも最後がさみしかった
    この話の中では結構1番くらいさみしい話かなと思う

    交差点だっけ?大野くんの話もすき

    北風ぴゅう太のラストは格別
    先生素敵な人だったなぁ。頬が冷たくなった、泣けるよ、、

    ドングリのおっちゃんも泣ける
    ええやんけだっけ?歌。あー、胸がしめつけられる笑

    吃音セミナーの話もすごく突き刺さった
    少年が怒って机を持ち上げたシーンすごくすごく心がざわざわして、ぐっと拳を握りしめた、そうだよ、本当にそうだよって思った

    はじめのクリスマスの話は辛くてすごい泣いたけどすごい救われたな、、

    最後のはなしは
    とにかくかっこいいんだ

    やっぱりどれかなんて選べない
    ぜんぶ良かった
    ぜんぶ大切でおもしろかった
    ずっと忘れたくないなって思った

    子供ができたら絶対子供に読んでほしいなって思う

  •  重松清氏の自伝的(?)短篇集です。

     一人の男の子が成長していく様子を、印象的な短篇で切り取り描いています。吃音で話すのが苦手な少年の微妙な心を写した7つの物語がアルバムのように一冊の本に綴られています。

     この物語のストーリーは多分に創作でしょうが、細かな感情の描写は作者の実体験そのものなのかなあと思います。

     あとがきを含め、作者が主人公に向けるまなざしの優しさに心を打たれます。

  • 悔しかった。もっと早くこの本と出逢いたかった。

    重松さんが描く子どもは石田さんのそれとはまた違った魅力がある。
    でも共通しているのは“普通の子”を多く描いていることだと思う。

    出てくる主人公は格好いいばかりじゃない。
    周りに出てくる登場人物も容赦なく現実の厳しさを突きつけてくる。
    悩み傷つき、葛藤を抱えながらそれでも前に進む姿に心打たれるんだと思う。

    自分の吃音が原因で自分が傷ついたり、周りが傷ついてると思ったりする。
    時には自分を責め、時には周囲を責め、それでも前に進んでいくしかない。
    ハンディキャップ=可哀想っていう構図じゃない。
    少なくともきよしはそんな風に見られたいとは思ってない。

    各年齢での悩み方や考え方の変化。
    その時間の経過と成長がよりきよしを身近な存在として認識させる。

  • 繊細で、脆くて、それでも歯をくいしばって何かと戦っている少年に何度心を揺さぶられたことか……いやぁこの作品も期待を裏切りませんでした。
    いつも思うことですが、重松さんは教科書よりももっともっと大切な"何か"をそっと寄り添うように、私たちに問いかけてくれているような気がします。
    なにかに行き詰まったときに読み返したくなるのは、重松さんの作品の魅力の一つですね。

  • 吃音、ドモリが、こんなにその人のしゃべりを行動を制限しているとは、知りませんでした。
    「ゲルマ」の話が大好きです。
    それは、私がゲルマのような人間だからです。
    相手を大切に思うがゆえに、いつも行動に起こします。
    みんなが、当たり障りのないように、気を使い過ぎるように感じる昨今、こんな人間も必要じゃと、再認識しました。
    私は、いつも人の心にズカズカ入ろうとする岡山出身の41才です。

  • 吃音があり転勤族な主人公の成長の話。悩んで、苦しんででも楽しいこともいいこともあって、そんな生活のなかで時折涙が止まらなくなる場面がある。我慢、耐えることが多い主人公にがんばれ!と、言いたくなるお話。

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著者プロフィール

重松 清(しげまつ きよし)。1963年、岡山県生まれの小説家。早稲田大学教育学部卒業。
出版社勤務を経て、フリーライターとして独立。ドラマ・映画のノベライズなどを手がけたのち、1991年『ビフォア・ラン』で小説家デビュー。
1999年『エイジ』で山本周五郎賞、2000年『ビタミンF』で直木賞、2002年『流星ワゴン』で「本の雑誌年間ベスト1」、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。
山本周五郎賞、講談社ノンフィクション賞選考委員を務める。2017年、早稲田大学文化構想学部客員教授に就任。
『とんび』、『青い鳥』、『流星ワゴン』をはじめ、多くの代表作がドラマ化、映画化されている。

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