きよしこ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 592
  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349176

作品紹介・あらすじ

少年は、ひとりぼっちだった。名前はきよし。どこにでもいる少年。転校生。言いたいことがいつも言えずに、悔しかった。思ったことを何でも話せる友だちが欲しかった。そんな友だちは夢の中の世界にしかいないことを知っていたけど。ある年の聖夜に出会ったふしぎな「きよしこ」は少年に言った。伝わるよ、きっと-。大切なことを言えなかったすべての人に捧げたい珠玉の少年小説。

感想・レビュー・書評

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  • H30.4.28 読了。

    ・吃音のある白石 きよし君の小学校から高校生までをつづった連作短編作品。カ行、タ行、濁音、半濁音でどもってしまうきよし君の言いたいことが言えない歯がゆさ、悔しさ、もどかしさなどの気持ちの描写がひしひしと伝わってきた。きよし君の家族の温かさも伝わってきて良かった。

    ・「いつまでも口を閉ざしてはいられない。自分の思っていることをしゃべれないのは、言葉がつっかえて笑われるよりも、ずっとくやしくて、さびしいことだ。」
    ・「抱きついたり手をつないだりしてれば、伝えることはできるんだ。それが、君のほんとうに伝えたいことだったら…伝わるよ、きっと」
    ・「君の話す最初の言葉がどんなにつっかえても、ぼくはそれを、ぼくの心の扉を叩くノックの音だと思って、君のお話が始まるのをじっと待つことにするから。」

  • 吃音に関しては子供の頃、当時TVドラマを放映していた「裸の大将」の物まねをすると、親からやめなさいと結構きつく怒られたのを憶えています。
    赤面や吃音は自分ではどうしようも無いのに、色々人から言われたら居たたまれないと思います。
    主人公「きよし」くんは吃音に悩む小学生。転校も多くて毎回毎回人間関係に振り回されています。人と話すのが苦手でつっかえると分かっている言葉を避けて、本当の気持ちを口から出すことが出来ない。しかし文章は大の得意で毎回作文で賞を取っています。
    重松清本人を投影した男の子で、決して強い子ではないのだけれど、自分の心と向き合う勇気を少しづつ獲得していく姿にジンとします。
    小学生低学年から高校卒業までを連作で書いていき、少しづつ親との関係性や吃音との付き合い方にも変化が出てきます。子どものころはからかいの対象だったのが、大きくなるにつれ憐みの対象になって、表立った突っ込みを受けなくなるところは非常によく描かれています。子どもの頃の残酷さと、大人になってからの無言の視線。どちらも嫌なものであります。
    やはり重松清さんは心の柔らかい所を的確に突いてきます。教科書に頻繁に乗るくらい誰からも支持されるがゆえに、わざわざ手に取らない方向になってしまいそうですが、読むと毎回毎回感動させられてしまいます。

  • 重松 清 著
    プロローグが物語に入りやすく興味を引く文章から始まり
    それは 吃音で悩む小学校時代のきよし少年の お話に展開してゆく…。カ行が上手く喋れず 名前も上手く言える自信がなく転校の多い少年にとって 最初の紹介からキツく辛い気持ちが分かった。 小学校時代は悪気なく 吃音だけでなくても 何かヘマをしたか 体型や顔や事あるごとにイジメの対象にされいびられる 小学生によくあるような「イチビリ」って奴が結構いたような…まだまだ 意地悪する子供って小心者なんだなぁと今なら思えるけど、イジメられる立場にある子供にとっては純粋な思春期だからこそ辛く堪えているしかなく しかも…
    大人になっても 苛められた子供にはその影がまとわりついてるのに 意外と苛めた子は忘れてる事が多いのに 本当に驚く瞬間があった。(私自身は小学生時代は正義感に溢れ強かったから 意地悪や苛めをする子供に堂々と闘ってたが、中学校になり 静かになってしまった)中学校時代になると苛めが暗い形で表れる気がする 苛め自体を無視して見てても見なかったような…苛められている子供だけが心身ともに傷つく。私は「悪気はない」って言葉が嫌いだ !小学生時代ならまだしも許される言葉でも(小学生が使ってたらまた問題だが…)大人になって 相手に酷いことをしても「悪気はなかった」って言葉で済まそうとするなら まだ、悪気があってやってしまって心から反省して謝る方がマシだって気がするほどだ。悪気はなかったんだって言葉で許されない事もある。話は外れてしまったが…小さな事でも恥ずかしく感じたり傷つきやすい時代を大人になると その感情すら忘れてしまいがちだが いつの時代になっても問題はあり 傷つきながらも自分で越えなけれいけない壁があると思う。大切なことは伝えたい思いがしっかりあれば伝わることも きっとあると思う。プロローグ「それがほんとうに伝えたいことだったら…伝わるよ、きっと」
    ゆっくりと話してくれればいい。君の話す最初の言葉がどんなにつっかえても、ぼくはそれを、「ぼくの心の扉を叩くノックの音だと思って、君のお話が始まるのをじっと待つことにするから」 私自身 本当にそんな人間でいれたらいいなぁと痛感しました。

  • 吃音と共に育った作者の少年時代を描いた自叙伝と言っても良い作品。主人公の少年の辛さが痛いほど伝わってくるが、一方ではどうしてそこで勇気が出せないのかと思わず言ってしまいそうなもどかしい気持ちにさせられる。引っ込み思案の少年だが、周りの助けてくれる友人たちや先生、親からの支えにより段々と逞しくなっていく姿が嬉しい。

  • 吃音の少年・白石清。いつも上手く言えずに悔しい思いをしている。
    父親の都合で転校が多く辛く寂しい思いもしてきた。
    そんな清の友達はある聖夜に出あった「きよしこ」というふしぎな存在だった。

    この小説は重松さんの“個人的なお話”らしい。
    転校を重ねるたびに清には自己紹介がイヤでイヤで仕方なかった
    吃音の清には自分の名前の「き」を含むカ行とタ行の発音が苦手だったからだ。
    そのたびに清はいじめにあったりして子ども世界特有の無邪気な残酷さの中で
    耐えなければならない。
    それでも読んでいて悲愴感どころか何か暖かく優しいものを感じるのは
    清の優しい心を汲んで手を差し伸べてくれる様々な人たちの心根に触れたからかもしれない。
    吃音などなにかしらの障害があってもなくても関係なく
    子ども達に対して
    「きみは決して一人ぼっちではないよ。それを忘れないで」という重松さんのメッセージがとてもよく伝わってくる作品でした。

  • 5年の頃塾の夏期講習で読んだ思い出の1冊。この時成績悪かった。この後勉強してS組に入れた。





    吃音は辛い。この本読んで感動した。重松の文章はどれも感動できる。

  • 吃音はつらいと思った

  • 子供に重松清さんの本をすすめようかと思い、まずは自分で読んでみた。吃音の少年。表現としては出ていなくても、頭の中ではいろんなことを考えている。言葉が出ないとはどういうことなのか。どんな風に考えて言葉を飲み込んでしまうのか。子育て中の今読んでよかった。

  • 誰もが何かしらのコンプレックスをいだいて日々生活していると思う。
    ではそんなコンプレックスに正面から向かいあっている人はいったいどれほどいるだろうか。
    吃音に悩む少年の"大人"になるまでの物語。
    「本当に伝えたいことは伝わるよ」

  • 重松清らしい、優しい文体で読みやすくて、「君は君でいいんだ」って頭を撫でながら囁かれているような読感だった。
    読み終えた後は、それは読者に言っているのではなく、重松清自身に言い聞かせているんだろうと思った。
    だからすごく優しい。

    これを読んだのは大学生になってからだけど、中学生くらいの自分に読ませてあげたいなぁと感じた。

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著者プロフィール

重松 清(しげまつ きよし)。1963年、岡山県生まれの小説家。早稲田大学教育学部卒業。
出版社勤務を経て、フリーライターとして独立。ドラマ・映画のノベライズなどを手がけたのち、1991年『ビフォア・ラン』で小説家デビュー。
1999年『エイジ』で山本周五郎賞、2000年『ビタミンF』で直木賞、2002年『流星ワゴン』で「本の雑誌年間ベスト1」、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。
山本周五郎賞、講談社ノンフィクション賞選考委員を務める。2017年、早稲田大学文化構想学部客員教授に就任。
『とんび』、『青い鳥』、『流星ワゴン』をはじめ、多くの代表作がドラマ化、映画化されている。

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