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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784101349183
感想・レビュー・書評
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世の中の出来事って、全てが自分の目に見えて、耳に聞こえるわけではないから。スッキリしない方がリアル。だから大半のことは勝手に理由や背景を想像するしかない。で、その人生の理不尽な感じは小説では中々再現されずに、完全に説明してしまいがち。読者もそれを求めているし。
あまり得意ではない短編集だったが、一つ一つ味わい深くて、ゆっくりその世界に浸かり、短編ながらカラスの行水のようにサッとその世界から上がるような事もなく。ゆったり余韻を味わう。離婚の話も祖母との話も、反抗期、思春期の話…。
冒頭の「海まで」。おばあちゃんとその孫の小学生2人の兄弟。おばあちゃんは兄にだけ理不尽に厳しい。それを見守る兄弟の父親の視点で書かれているが、小説の中で起こる事件の答えが明かされない。とりわけ、何故、おばあちゃんは長男に厳しかったのかは想像するしかない。あからさまに弟を贔屓する。
答えは明かされないが、その登場人物であるおばあちゃんの心奥に理由はある。小学校の授業ならば、その理由を考えさせても良いかも知れない。その答えを考えようと、文章から読み取る力はそうやって養われるのだと思う。
私も私なりに考えてみた。この、それぞれの解釈で組み立て直す物語というのも、重松清の小説の良い所だし、リアルだなと。—— 大人には、わかる。子供だから、わかる。親になってはじめて、わかる。世の中には、そんな物語もある。小さきものへ語る言葉。 -
R3.1.22 読了。
「六編に出てくる人達は皆、誰かを応援している。父が娘を。父が息子を。監督が選手を。子どもが親を。友達が友達を。皆、何かを失って、負けて、がっくり肩を落として、カッコ悪い姿をさらけ出している。でも、寄り添って、応援している。」…(解説より)
収録してある六篇の短編は全部良かったが、その中でも「海まで」「団旗はためくもとに」「青あざのトナカイ」が好きですね。
「海まで」…父方のおばあちゃんとの関係がギクシャクしているカズキ君が、おばあちゃんの実家のお墓参りに行く途中にとった勇気ある行動に鼻の奥がツーンとして泣いてしまった。
「団旗はためくもとに」…学生時代から応援団一筋のような父親と将来に向けて悩む高校生の娘。娘のこと、会社の上司のこと、学生時代の応援団仲間のことで父親は、必死に悩んでいる。事あるごとにエールをきる父親の一本気な姿勢に心を打たれた。またラストの娘の門出を祝う応援をしている姿に涙腺崩壊。一つの事にここまで打ち込めるものがあるのって、うらやましいと思う。
「青あざのトナカイ」…脱サラして始めたピザ屋の店長が、店じまいして再生の道に一歩を踏み出すまでを描いた作品。はじめは曇天だったものが、店長が新しい一歩を踏み出してからはそれまでの雰囲気がガラッと変わり、晴天が見えた気がした。当たり前のことだけど、人は立ち直ることができる。誰かのために。
・「心配する気持ちと後ろめたさがないまぜになると、なぜだろう、いらだちや腹立たしさに変わってしまう。」
・「親孝行やら長生きしてやら、体裁のええこと言うても、正味の話は、自分らが困りとうないんよ。違うか?うちが元気で長生きせんと、あんたらが困るんじゃけえなあ。そうじゃろ?」
・「逃げながら耐えてるんじゃない。押してるんだ、引いてるんじゃなくて。口に出してああだこうだ言うんじゃなくて、黙って、忍んで、でも負けてない。それが『押忍』の心なんだ。」
・「人生には押して忍ばなきゃいけない場面がたくさんあるけど、いちばんたいせつなのは、なにかに後悔しそうになったときなんだ。後悔をグッと呑み込んで、自分の決めた道を黙々と進む、それが『押忍』なんだ、人生なんだ。決断には失敗もあるし、間違いもある。悔しいけど、自分のスジを曲げなきゃいけないときだってある。そういうときも『押忍』の心があれば、いいんだ。」
・「『押忍』の心は、言い訳をしない心なんだ。」
・「応援するっていうのは『がんばれ、がんばれ』って言うことだけじゃないの。『ここにオレたちがいるぞ、おまえは一人ぼっちじゃないぞ』って教えてあげることなの。」 -
お父さんが私のことをこう思ってたのかなって、
伝えてもらってもいつもわからないままだ。
愛があることだけには確信を持てるような関係でいられていることが今ならとてもよくわかる。 -
表題作、小さき者へがとくに響いた。
こういうことあっただろうな。
私にどれくらいのお金と時間を使ったんだろう。
そろそろ心配ばっかりかけてないで恩返ししたいんだけどな。 -
六編の小説の中でも団旗を持つコワモテお父さんの話、ビートルズを初めて聴いた14歳の息子とお父さんの話が特に良かった。リボルバーはわたしも大好きなアルバムでますます身近に感じられたのかも。
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この人はどうしてこんなにも家族や父親を書くのがうまいんだろう。うまく言葉にできない人の弱いところを書くのがうまいんだろう。胸がきゅぅと締め付けられて切なくなる。久々に読むとやっぱり重松清の小説はいいなと思った。2011/407
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父親目線で子どもと、そして家族に向き合う短編6作。
「海まで」家族で故郷の母の元に一泊の帰省する。屈託のない次男と感情表現が不器用な長男。
「フイッチのイッチ」転校生の山野朋美。両親の離婚で苗字が変ったばかり。片親ベテランの僕は今でも時々父に会うのだが。
「小さき者へ」部屋に引き篭もりを始めた息子がビートルズのアルバムを買ってきた。父は宛てのない手紙を書き綴る。自分のビートルズの思い出とともに。
「団旗はためくもとに」お父さんは応援団長。一所懸命頑張ってる者にしかエールは送らない。私は学校を辞めてどうしたいのだろう。
「青あざのトナカイ」脱サラして商店街にピザ屋をオープンしたが、経営が行き詰まり閉店に。心が閉店するまでどれくらいかかるだろうか。
「三月行進曲」少年野球の監督の僕が、卒業を目の前にした3人の子どもと甲子園へ向かう。
結局結論の出ていない話が多いのだが、人生の実際はたいてい結論はでなくて区切りがあるだけ。抱えている問題が多ければ多いほど。
またいつか読み返したい、そんな作品です。 -
大人と小人、親と子供。子供は親の気持ちが分からない(分かっていたとしても素直にはなれない)、親も子供の気持ちを分かってあげられない。誰でも昔は子供だったのに。
坂道のように不安定な人生が、そのまま語られている。答えを示さないところが、この小説のいいところかも。 -
あとがき読みました?私あとがきのラストのぶっ壊れた女の子を重松さんは見捨てないでくれますか?ってところで大号泣しました。
私のことお父さんは、ぶっ壊れても見捨てないでいてくれたのかないてくれているのかな。
ぁあわかるって共感できるとこがあった。
それは人生は選択の連続だらけで、その選択をどれにしようってワクワクするのが子供で、選択を間違えた、あの時こうしとけばって考えるのが大人って描写に共感した
ビートルズ、うーんわからん!ヘルタースケルターしか知らない。曲もわかったら絶対もっと面白く読めた -
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自分には2人の息子が居て、「小さき者へ」を読みながら、父である自分と、昔子供だった頃の自分、息子が父となっていく姿を想像しながら楽しく読むことが出来ました。
また、自分に娘がいれば、こうだったのかなとか、どの篇も物語の課題を片付けないまま終わっていき、その後は読者に任せてもらえる感じだったので、自由に読めたところもありました。
また読み返したい本です。 -
短編集
色々なうまくいかなさを抱えた父親たちが、それでも何かを応援する話。
大変なこともあるけど自分のことばっかりじゃなくて誰かを応援できる大人でありたいなあと思えた。
とくに団旗はためくもとにが面白かったです押忍。 -
「人間って2種類あると思う。野球とサッカーで言ったらグラウンドで試合する人と、スタンドからそれを見る人」
「負けは負けでいいんですよ。人間誰だって負けることはあるんだから。でも、そこからじゃないですか、男の価値っていうか、真価が問われるのって」 -
父と息子
父と娘
祖母と孫
いわば人間の間だ。その間にある齟齬みたいなものが、ひどく刺さる。憂鬱になるほどにだ。どの物語も最後には上向きになる。だがそれでは拭えぬ。
自分が父になった時を思い、不安が膨らむ。
だからもし、自分が父になったら、この本を送りたい。何か思う心が、その時までに残っていて欲しいと思う。 -
ああ、また重松清だ。
が、この人の作品は外れがないね。
この本は、「卒業」とか「ビタミンF」とかと同様に短編集。
結末もハッピーエンドではなく、その後は読者に任せるという作風。
外れがないのはいいんだけど、ちょっと飽きてきたかも。 -
「海まで」
返答次第では帰省は最後に。
ボケている訳でも無いのに二人居る孫の片方を贔屓する様な行動を目の前でされたら、いくら自分の親といえど子供の為にも会うのを控える考えになるよな。
「フィッチのイッチ」
勘違いから気まづい空気が。
一度別れを決断した者達が元に戻る事になるのは余程の理由が無ければ中々ないだろうし、本当だとしたら一番に子供に伝えているだろうな。
「小さき者へ」
渡せない手紙が手元に残る。
彼の自分語りで父親については詳しく分かったが、息子の本当の思いに寄り添えているかと問われたら自信を持って頷けない手紙であった気がするな。
「団旗はためくもとに」
なんとなくで決めては後悔。
彼女の父親は団員時代の雰囲気が抜けていない所もあるが、話している事に筋は通っているからこそ周りの人達も彼から離れず未だに集まったりするのだろうな。
「青あざのトナカイ」
負けた姿を見せたくなくて。
脱サラして商売を始めるのは余程コネがない限り一か八かの賭けになるのはわかりきっていた事だろうが、実際にこうなると自分が情けなく感じるだろうな。
「三月行進曲」
小さなミスから亀裂が生じ。
交代の指示を出さなかった監督に非はあるかもしれないが、最初に話を聞かず勝手な行動をとったのは自分だという自覚を彼に持たせる事は出来なかったのだろうか。 -
おじさんは面倒くさい。おじさんは鬱陶しい。おじさんは後ろ向きだ。屈折した中年男性ばかりを描いた作品。でも、ほとんど私より年下なんだよなぁ。
意外なことに文庫版の解説を書いた華恵さんの文章が一番良かったりして。 -
親と子。親にとってはかけがえのない子供。この子を喜ばせたい。いつも一緒に笑っていたいと望むのだけど、親から行くのではなく子供から親に歩み寄って来てくれる。そうなれるといいのだけどなかなか思うようにはいかないものです。
親と子を考えさせられますが、読んだあと心が重いです。
重松清さんの作品は読んだあと重すぎるように感じます。 -
父親と子どもの微妙な関係や、子どもに対する父親の気持ちを綴った一冊。
今の自分自身が、生活や思考の半分以上を子どもが占めていると言っても過言ではないので、読んでみた。
娘が成長するにつれて、感じる父親との距離感や、離婚直前や離婚後の子どもの気持ち、普段会話はないけど、お互いに気持ちを通じ合わせる親子の話等の短編集で、どれもすっきり解決したり、親子仲良く幸せ家族みたいなものもなく、涙を流しながらというものでもない、だからこそ、リアルな親子関係が描かれていたんだと思うが、少し物足りなさを感じた。
そんな中でも、自分から見た子ども、自分が理想とする父親、子どもから見た父親、自分の親だったら等、視点を変えて自分を見つめながら、子どもと関わっていこうと思った。
今後、子どもの成長によって、関係がどうなっていくのかわからないけど、いつでも応援していることを感じてくれているような存在でありたい。 -
いつだって親は、子供のことを考えて、全力で守っているんだ。
たとえ、空回りしてしまうことがあっても、自分が情けなくても、子供が心配で、可愛くて、嫌われたくなくて……
挙げればキリがない、親の気持ち、子供の気持ちがこの作品で分かるだろう。
著者プロフィール
重松清の作品
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感想 :

私もそうです。スッキリしたくて適当に解釈…
小説だけではなく、プログラミング、レゴブロックみたいな「個...
私もそうです。スッキリしたくて適当に解釈…
小説だけではなく、プログラミング、レゴブロックみたいな「個人で完結する創作」って、細部に渡り“意図したもの・必要なもの“で構成されていますよね。世界は「共同制作」なので、そこに外部への問いが生まれ、しかし解決されぬまま。
この解決されぬリアルに対し、本線・伏線回収による“小説≒完全・解説世界“でカタルシスを与えるのがエンタメかな、と感じながらも、完全性と不完全性を両方楽しんでいます。