くちぶえ番長 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349206

作品紹介・あらすじ

小学四年生のツヨシのクラスに、一輪車とくちぶえの上手な女の子、マコトがやってきた。転校早々「わたし、この学校の番長になる!」と宣言したマコトに、みんなはびっくり。でも、小さい頃にお父さんを亡くしたマコトは、誰よりも強く、優しく、友だち思いで、頼りになるやつだったんだ-。サイコーの相棒になったマコトとツヨシが駆けぬけた一年間の、決して忘れられない友情物語。

感想・レビュー・書評

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  • R2.6.8 読了。

     「番長っていうのはケンカが強いだけじゃだめなんだ。誰かが困っていたら、それをしっかり助けてあげられるのが、いい番長なんだぞ。」。
     転校生のマコトは転校初日に番長宣言をした正義感が強く、いじめっこにも勇気をもって向かっていく、困っている人を見過ごせない女の子。マコトは亡くなった大好きだったお父さんとの約束をかたくなに守っていた。そんなマコトにちょっと内気なツヨシは、刺激されて少しずつ困っている人を助けたり、いじめっ子に立ち向かっていこうとしたり、大切な誰かを守りたいと思ったりと変化していく。
     児童書のような読みやすい作品で、笑いあり、涙ありと気づけばすっかり引き込まれていました。やはり重松清さんの作品は良いですね。

    ・「弱い者いじめを見過ごして逃げるような子は、大っ嫌いです。」
    ・「男子でも女子でも同じ四年一組だと思うし、クラスが違ってても、学校が違ってても、誰かをひとりぼっちにしちゃいけないっていうのは常識だと思うけど。」
    ・「昔、お父さんに言われたんだ。泣きたいときにはくちぶえを吹け、って。そうすれば自然に涙が止まるから、って。」
    ・「だけどさー、お父さん、言ってたんだ。番長になっても、うれし涙は流してもいいんだぞ、って。」
    ・「お盆には亡くなったひとのタマシイが帰ってくるなんて、そんなの迷信だと思うか?…(中略)でもな、パパは好きなんだ、一年に一度だけ亡くなったひとが帰ってくる、っていうの。実際には帰ってこなくても、いいじゃないか、生きてるみんなは毎日忙しくて、なかなか亡くなったひとのことを思い出す時間はないけど、たまには、一年に一度ぐらいはいいよな、ゆ―っくり、じーっくり、思いだしても。」
    ・「いなくなったら悲しくて泣いちゃうぐらい大好きな相手がいるってのは、幸せなことなんだよ。」

    • いるかさん
      読魔虫さん

      突然失礼いたします。
      私は重松清さんの大ファンで、中でもこの本はとても好きな本なんです。
      いいね をいっぱい押したい思...
      読魔虫さん

      突然失礼いたします。
      私は重松清さんの大ファンで、中でもこの本はとても好きな本なんです。
      いいね をいっぱい押したい思いで、コメントしてしまいました。

      これからもよろしくお願いいたします。
      2020/06/10
    • taro & kotetsuさん
      いつもコメントをフォローしてくださりありがとうございます。自分のジャンルは、ミステリー、ハードボイルド、時代小説などに偏っているので、読魔虫...
      いつもコメントをフォローしてくださりありがとうございます。自分のジャンルは、ミステリー、ハードボイルド、時代小説などに偏っているので、読魔虫さんの高評価のものを参考に読ませてもらいました。もともと子供向けに書かれたものなのでしょうが、大人が読んでも素直に感動しました。
      2020/06/22
  • 大人になったツヨシ君の小学校4年生の時の忘れ難い友達との1年を思い出。
    その子は、一輪車とくちぶえが得意な転校生。弱気を助け強気を挫く、目指すは学校の番長という女の子。彼女を知れば知るほど、その強さや優しさに惹かれてく。
    文庫化されていましたが、文章は児童書かな?と思って読みましたが、最後に雑誌「小学生4年生」の連載と知りました。
    休刊になって久しい学習雑誌ですが、私の小学校時代には、他に情報もなく、「幼稚園」から「小学6年生」までがっつり定期購読してましたわ。隅々まで読んで、たぶん今も多少なりとも雑学として残っているものがあるんじゃないかなぁ。今はいろんな媒体があるから、どこでもなんでも読めちゃうけど、紙ならではの繰り返し感とか好きなところが汚れ気味とか、そんなのも良かったですよ。

    • 土瓶さん
      付録が楽しみで^^
      学研と科学なんてのもあったね♪
      付録が楽しみで^^
      学研と科学なんてのもあったね♪
      2023/01/13
    • おびのりさん
      化学と学習は、学校で販売だったような。
      コミックもこれで覚えたよね。
      化学と学習は、学校で販売だったような。
      コミックもこれで覚えたよね。
      2023/01/13
  • とても久々に重松清さんの作品を読んだ。好きな作家さんなんだけど、なかなか機会がなかったというか。

    記憶に残ってるのは「流星ワゴン」とか「その日のまえに」とか。後者はもう一度読みたいと思っているんだけれど、めっちゃ泣くだろうから、ちょっと躊躇している・・・

    それで、本書。
    書き出しからいい!もうおじさんになっている主人公がふとしたきっかけで思い出した、今やおばさんになっている大事な大事な友達を探して欲しいと読者に呼びかける出だし。その友達は一年間しか一緒にいなかったようなのだけれど、おじさんの語りからするにかなり濃い時間と思い出を共有していたようで、なんとも温かく、出だしからじーんとした気持ちになった。

    その友達、マコトが真っすぐすぎて、眩しい!
    マコトを仲間外れにしようと画策する動きを感じたツヨシが「学級会で話し合おうか」と提案すると、はっきりノーというマコト。その理由が正論過ぎて・・・、どうやったらこんなに純粋な心を持った子になるんだろうかと思う。
    その理由とは、
    ・それより、なぜ、これまで(イジメに近い状況にあった)高野さんのことを話し合わなかったのか。
    ・そもそも話し合う云々より、あんたが声をかけるなどの行動ができたんじゃないか。なぜそれをしなかったのか。

    ごもっともです。
    こんなに簡単に言葉にしていいことではないかもしれないけれど、苦労をしている子や、人生の早い段階で他の子より深い喪失感を味わった子は、得てして強く逞しくなっていくことが多いと思う。(逆に卑屈になる子もいるかもしれないけれど・・・)
    マコトはそんな逞しさに、純粋な正義感も持ち合わせていて、本当に稀有な存在だと思う。

    読み終わってからようやく、「あ、児童書なのかな?」と気づいたけれど(遅っ)、「小学四年生」で連載されていたものということ。なるほど、小学生中学年以上なら、読めそうな良書。
    シンプルでまっすぐで、大人にありがちな変な思惑や邪念がなくて、読後はなんだかとっても心が晴れ晴れとした。今の子どもたちの目の前に広がる世界も、こんなふうにシンプルでまっすぐでありますように。

    それにしても、こんなに子どもの目線で物語を紡げる重松清さんはやっぱりすごい、と思いました。

  • マコトと、僕の仲良しさていうかもう全てにおいて感動しました。重松清さんの本は、もう全部涙が止まりませんでした。

  • 「くちぶえ番長」良かった。
    面白くて楽しかったなって感想です。
    実際にあった話かなあって思いますよね。どうなんだろう^_^
    悲しかったり悔しかったり楽しかったたりと気持ち温まる物語でした。
    マコトちゃんて素敵な女の子ですね。いつかマコトちゃんとツヨシくん会えるといいなって思いました。
    くちぶえを吹くと涙が止まるのですね。

  • 運動神経がよくて、かっこいいおんなのこ。
    なぜちょんまげなのか。
    ちゃんと意味がありました。

    お別れと、思い出を大事にする気持ち。
    いつまでも忘れてはいけない気持ちです。

    自分にとって大事なことはなにか。
    今それをしなければ後悔するだろうな、とおもえたから、だから一生懸命生きている、それがかっこいいし、それが自分だけでなく人にも影響を与えている。

    いい生き方の見本ですね。
    みなさん読んでみてくださいね。

  • あたたかい物語。
    重松清さんの作品はとんびに
    次2作目。

  • 重松さんの作品の中で1番誰でも読みやすいのがこの作品。
    文字も大きく、ページ数もかなり少ないので小学生でも読めると思います。
    ですが内容もかなり興味深く定期的に読み返したくなります。

  • 小学4年生のツヨシのクラスにやって来た転校生。一輪車とくちぶえが上手なチョンマゲ頭の女の子、マコトは転校初日に「わたし、この学校の番長になる!」と宣言。マコトとの出会いで、ツヨシと周りのみんなが少しずつ変わっていく物語

    純粋で傷付きやすくて、少しずつ成長している段階の小学4年生の世界・・・
    小さい頃にお父さんを亡くしたマコトは、誰よりも優しくて強くて思いやりがあって、とびきりキュートだった。特に得意な一輪車で珍しく転んだ場面は、とっても可愛くて微笑ましかった。

    私にとってのマコトは、クラスメイトではなく実の姉だったんだと思う。2歳違いの姉は私にとって最強女子で、いつも妹を守ってくれて、強くて頼り甲斐があって、とびきり面白くて、まさに自慢の姉だった。
    そういえば、私にくちぶえを教えてくれたのも姉だったな笑

    重松清さんが小学生の目線で描かれた物語は、やっぱりいつ読んでも温かくて、たくさんの学びが詰まってると思う。言葉で言い表せない感情の名前を、豊富な語彙力で表現出来るところを、敢えてしっかりと小学4年生の目線のままで描かれている。だからこそ、読み手はツヨシの目線に合わせて、子供時代にタイムスリップした気持ちで引き込まれるのだと思う。

    小学生の頃の毎日って、今と全く違う感情や考え方で物事を捉えていたんだけど、どんなだったかなぁと思い出そうとしても、残念ながらすごく断片的にしか出て来ない。
    こんな事があってどんな風に感じたとか、繊細な気持ちを抱いていたことは記憶の奥底にあって、自分でも存在していたことすら忘れかけている。
    けれど、重松さんの作品に触れると、そういった微かで曖昧な記憶が、しだいに輪郭を帯びて、時に鮮やかによみがえって来る。

    楽しかったことや嬉しかった記憶だけでなく、哀しくて苦かった記憶も含めて、ありのままに受け入れられる年頃になってきたからかもしれないが、そういう意味で自分とゆっくり向き合える作品でもあるなぁと思った。

    文体は平易で、小学生から読める作品なので、子供から大人まで幅広い世代の方にオススメしたい。

  • 小学4年生のツヨシの目線がリアル。

    大人から見たら3.4年生はギャングエイジ、分かりにくい年代だと言われるけど、当人たちはいい事にも悪い事にも一生懸命に遊んで楽しんで悩んで頑張って耐えて…いたんだな。とツヨシとマコト、ジャンボ、タッチ…みんなを見てると、私もそうだったな、と思い出す。

    4年生の時にいつも一緒にいたあの子はどうしてるだろうか?

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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