みんなのなやみ (新潮文庫)

  • 新潮社 (2009年11月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784101349251

感想・レビュー・書評

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  • 中高生が抱く悩みに、重松清さんという人が一意見として、悩みに答えるという趣旨の本。
    これはだいぶ骨太な内容でした。笑

    別に重松清さんを崇拝しているわけでもなんでもないですが、一人の大人の意見として耳を傾けるべき真っ当な内容だと思いました。

    で、こういう悩みの回答を得ずに、なんとなく育ってしまった私のような人間には、大人となった今読んでも得るものがあったと感じました。

    個人的には、いじめに対するものの考え方と向き合い方のパートが良かったです。自分自身いじめってなんでなくならないんだろと漠然と悩んでいたところもあったので…
    重松さん曰く、まず誰しも「人を傷つけたい」という攻撃性を自覚することという。
    そのうえで、いじめの心のフタを開けてしまった時点で、負けなんだぞってゆうことを自覚することが大切だと。(子供に対しては大人が、厳しくいうことも必要)

    特に、この「人を傷つけたい」という潜在意識について、無自覚でしたが、そうかもなとも納得しました。
    この部分って人間としての弱さを認める大切な工程だと思いました。

    総じて、自分の人生観や考え方に、潤いをもたらす一冊だと思います。


    以下、気に留めた箇所。
    ◾️人からの周りの目が気になる◾️
    p288「自分が人からどう思われようと関係ないもん」という態度は確かに堂々としているし、すごくかっこいいかもしれない。ただ、その「かっこよさ」は一歩間違えば傍若無人、他人に対する無神経さに簡単につながってしまう場合がある。
    いいんじゃないかな。ビクビクしていたって。堂々とすることはかっこいいけど、それよりも、ビクビクしながら必死になって考えていることの方が大切だ。

    ◾️親の悩み◾️
    p348「心配すること」は親の仕事じゃないと思う。心配っていうのは、言ってみれば、誰でもできる。でもその心配を背負って、じゃあどうするかということを考え、そして行動するのは、やっぱり親しかいないと思うんです。

  • 重松氏の名前を見つけると すぐに本を買ってしまいます。
    この本は小説ではなく、10代を中心に悩みを募ったものに、重松氏が感想や考え方を綴ったものです。
    おそらく重松氏が一番したかった仕事ではないかと思います。

    この本にも書かれていますが、なにかにぶつかった時、問題に対して解決する方向に努力することが大事だと、この歳になってやっと気がつきました。

    思春期の子供たちやその親の方にも もし悩みがあるようなら是非読んでもらいたい本でした。

  • 子どもから大人までみんなの悩みに重松清さんが答えていく本です。その悩みがほんとその辺によくある悩みでそれに答える重松清さんの言葉がささります。

  • これは色んな人に読んでほしい。

    まずみんなこういう事で悩んでるんだと新しい発見がある。そして自分の立ち位置を知り、幸せを再確認したりちゃんと改めようと考え直したりする。

    誰かの悩みとその解決法をみんなでシェアするのは面白い。
    今読むと少し時代を感じる本かもしれない

  • 15年ほど前の本ですが、悩みの中身も、その解答も今の時代に必要なものばかりで驚きました。人間とは、その日美味しく夕飯を食べて、夜ゆっくり寝る、これが続けば幸せなんだ という言葉に心打たれました。今、いろいろあるけど僕は幸せだと思います。

  • 中学生の娘を持つ身として読んでみたが、そもそも大学生の長男と次男が、この悩ましい時代をくぐり抜けた後だった。親として彼らに何か示せたか?後悔ばかりである。もっと早く本書を読んでたら、子供のなやみを聞き一緒に考える事が出来たはずだ。

  • 主にこどもたちの悩みをQ&Aの形式で答える。小説の下地になっているような内容。2015.2.3

  • 重松さんには教わることがいつも多いけど、これは間違いなく教員としてバイブルになる本。色んな人に勧めたい!

    重松さんが色々な人から寄せられるなやみに「一緒に悩もうよ」というスタンスでいてくれるのが何より心地よい。
    先生としても、子どもの悩みにははっきりとした1つの回答を与えることが正しいのか、というとそうではない思う。こういう考えもあるよというヒントをあげて、それでも解決しなかったらまた一緒に悩んであげられる人でいたい。

    どれも心に残ったけど、なかでも、
    ⭐︎頑張ることは意味があるのか、、
    頑張ることの意味の一つに「負けを知ること」
    ⭐︎優しいとは、、
    優しいとは、人に憂いと書く。人の悲しみを一緒に悲しむことができる人が優しい人。

    子どもたちに伝える機会があれば伝えていきたい☺️

  • 普段、本の気に入った部分に線を引く、などの習慣はないのだが、
    この本はに「線を引きたい」ところが沢山あった。

    少年少女の悩みに重松先生が答える形式なのだが
    「それはこう」「こうすればいい」みたいな明確な回答はでない。
    我々が「そんなつまらない事で」「大人になればわかるよ」と言いたくなるような、
    思春期特有の青臭い悩みに、先生は暖かく真摯に向き合ってくれる
    そして解答ではなくヒントをくれる。

    それは重松先生の作品によく見られる
    「問題は解決してないけど何らかの希望の光は射す」
    というそれに似ているかもしれない。

    少年少女にはもちろん、
    親となった元少年少女にも読んで欲しい作品。

    父となった自分は、きっとこの本を読み返す時がくると思う。

  • 全国から寄せられた相談への回答を通じて、重松清の人柄がすけて見えてきそうな一冊。割り切れない難しい問題に対して、スパッと割り切る回答なら読んでて気持ちいいんだろうけど(細○数子みたいな)、それじゃ押し付けがましくて無責任だもんねぇ。

  •  間違ってしまうことはたくさんあるし、失敗を悔やんでしまうこともたくさんある。だからこそ、人は悩む。なやんで、なやんで、試行錯誤しながら、少しずつ幸せになっていくのではないか。
     重松さんがそれぞれの悩む人に寄り添いながら真剣に回答している本。
     主に思春期の子の悩みが中心だけれども、大人としてもなにかしら思うところがあるものだと思います。
     大人としていつか子供の悩みを聞いたときにこういう感じで答えていけばいいのかな、と感じました。
     もちろん、重松さんの心のこもった回答には、大人の悩みも和らぐのではないかな、と思います。

  • 重松さんが大好きになった一作!この作品を読んでから私の理想の男性像(恋人や父親)は重松清さん!即答するくらい。(実際彼の2人の娘さんはどうだか…w)作品としてはラジオを聞いている感覚でゆったりと読み進めました。みんな本当に色んな悩みや問題を抱えているんだなぁ…としみじみ。私自身も中学生なので、お便りの学生さんたちとそれに答える重松さんと、両方の意見や考えに共感しました。私がこの本を知ったきっかけは悩んでいる私に担任の先生が貸してくれたから。とてもお世話になってて。そうやってこの作品に出会えて、とても嬉しいです。重松さん、そして先生にありがとう(^^)この本はどんな人にでも読んで欲しいし、何度も読み親しみたい大好きで大切な作品です。

  • 小学生から大人までのなやみに重松さんが答えてゆく形式の本。家族、恋愛、いじめ、自分の心についてなど、なやみについても深く考えさせられる。わたしがなやみを人に相談するときは、ほとんど答えが出ていて背中を押してもらいたいときだけ。それって幸せなことかなと思う。

  • とんびで興味を持ったので、重松清さんの著書を手にとりました。
    子供は母親に100%を求めている。
    子供の日常をこまごま知ろうとするな、子供をわかろうとしようなど、思春期の子供を育てる私には多くの気づきをもらった。長女にも読ませたいが、親から勧められて素直に読む子ではない。(自分もそうでしたからよくわかります。)
    子供むけに書かれていますが、大人が読んでもとてもに参考になる良書です。

  • 様々な子どもたちの悩みにわかりやすく応えてくれていると思います。

  • 学校のこと、家族のこと、恋のこと・・・思春期を懸命に生きる10代の「なやみ」を、『疾走』や『流星ワゴン』等でおなじみの重松清さんが真摯に受け止め、「そのなやみと、どう向き合っていけば良いか」を一緒に考えてくれるQA形式の対話集。

    当時私もこうゆうことで悩んでたなぁと思ったり、未だに10代と似たような悩みを抱えていることに気づかされたり(苦笑)、様々な発見が出来る1冊です。

  • こどものころには
    いろんな事で悩んでたけど
    そういうことは結構忘れていってしまうだな。

    現代っ子は私たちの頃とは
    違った悩みもあって大変だ。

    重松氏の言葉はわかりやすいです。

  • エッセイ

  • 小、中、高校生から受けた質問に重松さんが答える。
    一つの質問に数ページ。

    やっぱりすごい人です、重松さんは。
    考え方が柔軟で、幅があって、力強くて、やさしい。

    常識や誰かの言葉を借りることは簡単だけど、自分の本当の気持ちを伝えることってすごく難しい。自分の言葉だとなおさら。
    心を傷つける凶器でなく、あっためる毛布のような言葉を身につけたい。
    そのために、この本はとても参考になると思います。

  • 自分の子育てと重ね合わせて、共感したり、反省したり…またじっくり読む日がきそう。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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