ポニーテール (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1312
感想 : 88
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349329

作品紹介・あらすじ

小学四年生のフミと、六年生のマキ。ふたりは、お互いの父と母の再婚できょうだいになったばかり。おねえちゃんと仲良くなりたいフミだったが、無愛想なマキの心がわからずに泣いてしまうことも。マキはマキで、新しくできた妹に戸惑っていた。そして、姉妹を見守る父と母もまた、「家族」になるためにがんばっていて……。四人家族ひとりひとりの歩みを見つめた、優しさあふれる物語。

感想・レビュー・書評

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  • 読後感が良く、新しく家族を作る難しさと素晴らしさが感じられます。
    ポニーテール
    2017.11発行。字の大きさは…大活字。2022.06.05~11音読で読了。★★★★☆
    両親が再婚したことによって姉妹となったマキとフミのせつなくも心あたたまる物語です。

    小学4年生のフミは、母と死に別れた。小学6年生のマキは、母と父が離婚した。そのフミの父が、マキの母と再婚したことによりフミとマキは姉妹になった。フミは、無口でムスッとしたマキに口の中で何回もおねえちゃん、おねえちゃんといって、やっとマキに「おねえちゃん」と言えるようになる。

    そしていつも笑顔が絶えないお母さんに、口の中で何度もおかあさん、おかあさんといって、やっとお母さんに「おかあさん」と言えてホッとすると。お母さんも喜びが広がってくる。フミは、ぶあいそうなマキとなんとか仲良くしようと心を砕くさまがいじらしいです。

    フミは、家に帰って来ると、死んだお母さんの写真に手お合わせて。そして、何か悩んだ時は、写真に向かって話しかけるが……、返事は返って来ない。マキは、実父と年に何回か会っている。そんな時には、お父さんの言葉が少なくなりムスッとしている。

    それでも、マキとフミの父として気を使い頑張っていくが。マキの癖や好き嫌いが分からず頓珍漢な事をしてマキを怒らせることが時々おこる。そんな時、フミは、どうしていいか分からず固まってしまう。

    【読後】
    実の親子でも難しいのに、連れ子をもって再婚して家庭を作るのがいかに大変かがわかる物語です。時にハラハラし、ホッとし、笑いがで、涙かでと大変な物語ですが、読後感が良く心が温かくなります。そして音読していますと、楽しく、笑顔になり、ついつい膝を叩いている自分にビックリします。
    この本を手に取ったのは、タイトルのポニーテールに惹かれたことです。私は、女性の髪形のうち、髪を後の高い位置に束ねているポニーテールが好きです(*^_^*)

    【音読】
    2022年6月5日から6月11日まで、大活字本を音読で読みました。この大活字本の底本は、2014年7月に新潮文庫から発行された「ポニーテール」です。本の登録は、新潮文庫で行います。社会福祉法人埼玉福祉会発行の大活字本は、上下巻の2冊からなっています。

  • 家庭の事情で家族が減り、そして増え、微妙な空気が流れる。
    生きてるな~、と実感するお話でした。

    悩むから人生なのかもしれない。
    小学生には小学生なりの悩みや葛藤があります。
    髪型ひとつでも、とても大事なことで、一概にいえることではないということを改めて理解しました。プレゼントの帽子、バンドが大事でした。
    大人は忙しいから、なかなかそこまで気が回らないです。

    子どもが小さかったとき。一緒に散歩して、道端の雑草に気を取られていつまでも進まないとき。ありんこを見て動かなくなったとき。
    子どもには大事な時間。大人も同じ目線に降りて、大事な時間を一緒に過ごしてみてもいいですね。

    現代人、日本人は忙しすぎます。
    ネパール、インドの旅行記を読んで思ったことをこの本でも感じました。
    テレビやゲームやスマホ、もちろん仕事でもなく、自然や子どもたちと触れ合って感じてもっと人間らしい生き方をしたい。最後に後悔しそうです。

  • マキは、実は優しいというとこが注文ポイントだと思います。最後のとこちょっと泣きました。

    • シマリスさん
      かわいいですね。どういうおはなしでもか。たのしみにしています。
      かわいいですね。どういうおはなしでもか。たのしみにしています。
      2024/01/03
  • 面白かった!読む手が止まらない。
    フミが、つっけんどんなマキに戸惑うことも泣かされることもあったけれど、途中で挫折せずに丁寧に関わり続けていたのが偉いと思った。マキも段々、転びそうになりながらもこちらに近づいてきて嬉しくなる。フミの亡くなった母視点で書かれ始めてからは、重松清さんはどんな視点でも自然に書けるのか、と感心したものだ。

  • こころがじんわり温かくなった。
    フミ、マキ、お母さん、お父さん、ゴエモン二世。それぞれがいろいろな思いを抱えながら、少しずつゆっくり家族になっていく。読み終わった後も、じんわりと温かさが広がっていく一冊。

  • ひとつひとつ、
    日々のことが、気持ちが、大事に大事に
    綴られているひだまりのような物語。

    いろんな視点から考えるとこちらもまた
    たくさんいろいろ思ってしまって

    そのおもいが、全部優しいから
    あたたかい気持ちになりながら
    ほろほろと涙がこぼれてしまう。

    ”あっ。まちがえちゃった”と思うことも
    思わせることも
    どちらもつらい。
    やさしいから、さらにつらい。
    きっと書いてある以上に
    お父さんお母さんマキちゃんフミちゃんは
    あたたかかったりかなしかったり
    どうしたらいいかわからかったり
    ありがとうだったり
    心がギュッとなるような
    涙をいっぱい流したんだろうな。

  • 重松作品のなかで一番好きかもしれません。


    「大切なひとと気持ちがすれ違ったり、ぶつかってしまったり、誤解したりされたりして、たくさん悲しい思いをしなくてはいけない。」

    そうやって少しずつ、ちょっとずつ人との絆を強めていくこと。大人になってからはそれが難しかったりします。


    相手を想う気持ちがお互いに通じなくても、いつかそのやさしさが通じるときがくると信じて前に進んでいく。

    そんな難題が「はじまりの日々」として描かれた時間に、とてもせつなくなり涙しそうになりますが、その分たくさんの優しさに溢れている家族に心が温められます。

    ゴエモン二世が「前のお母さん」なのか「ゴエモン」なのか、そんな謎さえ心を明るく潤してくれる気がします。

  • 読みあたりの良い文章と、無駄がなくそれでいて鮮明に景色の見える描写。
    特に心情を描かずにそれが切ないほどに伝わってくるところは胸がいっぱいになる。

    家族っていい。
    いいんだけどとても脆い線を束ねて繋がっている感じがする。
    細い線はいつでも一本切れたり二本に増えたりを繰り返して、その度に家族のお話が増える。
    最後にどどっと安心させてくれて、ちょっぴりの不思議もあって、とても優しい一冊。

  • 母を病気で亡くし、父親1人のフミと、父と母が離婚し、母親1人のマキ。
    フミの父とマキの母が再婚し、フミとマキは、姉妹になった。
    そんな四人家族の新しい生活を描いている物語。

    フミは、病気で亡くなった母を忘れることができず、また「前の」「今の」と2人の母の呼び方にも困っていた。そして、性格がきついマキとの仲にも戸惑っていた。
    また、マキはマキで、フミとの接し方、新しくできた父との接し方に困っており、両親もそれぞれ不安を抱えていた。
    一つ一つの章で、だんだんと新しい家族の距離が近くなっていくのがわかる。

    最初読み始めから、
    「あぁ、重松さんらしいなぁ」
    と思いました。すごく温かい物語でした。
    姉妹の関係、両親との関係、そして友達関係の描き方…どれも良かったですが、1番は亡くなったフミのお母さんが、フミには聞こえない声で話す所には、涙が出ました。
    新しい家族でスタートをきったお父さんとフミを見守っている亡くなったお母さん。
    またゴエモンという猫の存在。
    ゴエモンは、亡くなったお母さんがまだ生きていた頃に飼っていた猫。
    そして、今回新しい家族で可愛がり始めたのがゴエモン二世。
    このゴエモン二世は、亡くなったお母さんの姿を浮かべさせます。

    この家族の将来も、少し入れてあり、とても温かい終わり方でした。

  • お互いの父親と母親の再婚により、姉妹になった小学4年生のフミと小学6年生のマキ。家族4人がそれぞれ、新しい生活に戸惑い、悩み、困難に立ち向かう物語。
    私自身も、8年前に妻が再婚のため二人の娘と一緒に新たな所帯を持った。本書の中では父親と同じような立場になるわけだが、自由気ままに過ごしていた独身時代から一変する生活に、かなりのストレスと悩みを当時は抱えた。
    それでも、娘たちの笑顔と誕生日にくれる手紙に救われ、今でもささやかな幸せを感じながら日々を過ごしている。
    帯の「あせらず、あきらめず、少しずつ家族になっていこう」って言葉が、とても実感できます。妻と娘二人、そして末っ子の長男に「ありがとう、これからもよろしく」。

  • 2023/2/3

    ステップファミリーで家族になった、小4のフミと小6のマキ。
    フミのお父さんとマキのお母さん。

    最高。
    重松清さんの作品読みたいな、ていうときってこういう読んだら心がまっさらになるものを求めてる。わたしは。

    心の機微を描くのが本当に上手で、小学四年生の女の子が主人公でも、感情移入できる。
    少し情けないけれど優しいお父さんにも感情移入できる。


    あとがきを含め、わたしが今読みたい本だったな。

  • 家族になるということ、姉妹間の葛藤やぎこちなさがごえもんや父母を交えながら伝わってきた。
    お鍋のシーンは父の気持ちやフミの気持ちが痛いほど押し寄せてきて苦しかった

  • フミとマキの掛け合いの言葉ひとつひとつの裏にある素直にできない気持ち、、優しい愛のある温かいものを感じました。その愛があるゆえに葛藤が起こることは、これからもあるかもしれない。そんな新たな家族の形を自分たちの中に言い聞かせながら、未来と子どもながらにフミとマキだからこそ出来る向き合い方で向き合おうとしている強さに、涙が出ました。ワンフレーズも無駄にできない重松清さんの作品が改めて好きだなと。読んだあと、たった1人ではなくともお母さんやお父さん兄弟など、私を思って共に生活してくれている人に「少しのごめんね」と「いつもありがとう」が伝えたくなるお話です。

  • 再婚同士の新しい家族のお話。
    フミと、おねえちゃんのマキ。
    厳しいけど意地悪ではない、優しくて、頭も良いけど、時には迷うこともあるマキ。
    お父さんとお母さんの悩みもわかる。子どもながらに気を使ったり恥ずかしかったり悔しかったり悲しかったりさみしかったり、もわかる。
    ただただ、応援したくなる家族のお話でした。

  • 泣きたくなるほどじわじわ感動。実に良かった。両親の再婚で姉妹となったマキとフミ。ぶっきらぼうな姉とストンと入り込む妹と。単純に姉のことが好きな妹と付かず離れずの距離感で妹を大切に思う姉と。朝、登校するときの距離感。お母さんが妹のクリスマスのプレゼントを間違えてしまったことに気づかなかったときに、ハッと視線を合わせてお互い何も言わず、後で代わりのものでフォローしてあげる信頼と優しさ。素敵な物語でした。

  • 親同士が再婚することによって新しく姉ができたフミの視点を中心に、再構成家族の中での家族それぞれのとまどいや遠慮、やさしさなどを、とても丁寧に拾い集めたお話。

    小学生の頃ってそういえばこんな気持ちで、こんな感情の動きをしていたかもしれない、と思い出すような、すっかり忘れていたような"女の子"の気持ちを鮮やかに描き出すエピソードの数々。重松清さんらしくて、あたたかいのだけどどこか切なくなる。

  • 4.5

  • 小学生の時に初めて読んだが、いつ読んでも面白い。昔読んだ時はわからなかったが、マキはただ不器用なだけなんだなと今読んでみると思う。

  • 小さい時にお母さんを病気で亡くしたフミとお父さん、両親の離婚で父のいないマキとお母さんの4人が家族になっていく物語です。
    4人を見守る元捨て猫ごえもん2世。
    すれ違って泣いたり笑ったりしながら家族になっていって何回もウルウルしました。

  • お父さんが再婚して、小学四年生のフミは新しいお母さん、お姉ちゃんのマキと家族になる。

    フミの心の中には亡くなってしまったお母さんへの想いが忘れられない。
    でも、家族になった明るくて面白いお母さんも大好きだ。
    そして、クールでちょっと怖いお姉ちゃんのマキの綺麗なポニーテールの髪型に憧れる。

    中盤まではフミ目線で描かれるが、途中からは亡くなったお母さんの言葉で綴られる。

    ネコのゴエモンも、フミを見守っているのか、とても良い存在感だ

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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