娘に語るお父さんの歴史 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349343

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  • 幸せの中身は自分で決める
    この言葉に尽きる。
    同世代の重松清さん。
    彼が調べた歴史はまさに自分の歴史でもある。
    科学の進歩
    テレビに夢中だった時代
    家族みんなでテレビを囲んだ時代
    世界一でなく東洋一を目指して
    走り抜けた時代
    物理的変化に幸せを感じ
    未来に希望を感じた時代
    速さを獲得していった時代。
    フォークソングとともに青春を過ごしたい時代。

    だからと言って昔を美化しても仕方がない。
    幸せの中身は自分で決める
    子どもの誕生に万歳し
    子どもの成長に一喜一憂し
    今を愛おしく思う。

    未来を幸せだと信じて生きていく。

  • 「お父さんの子どもの頃って、どんな時代だったの?」15歳の娘の質問に、父は自身が育った時代の「歴史」を語る。
    重松さんとほぼ同世代の私なので、語られる「歴史」はうなずくものばかり。テレビが家庭の中心で、親兄弟とのチャンネル争いがあり(優先権はやっぱり父親)、学校での話題はやっぱりテレビ番組。宇宙や科学は明るい未来の象徴で、少年雑誌の21世紀は車は空を走っていた。
    現実は悲しいかな厳しいけど、私にも語ることができる娘たちの存在がいるということが、とても幸せと誇りに思う。

  • 世代は少し違うが、いちいち頷きながら読んでいた。薄く、父娘の会話形式で進められるので、易しくて読みやすい。
    幸せの定義は人それぞれだけど、次の世代に幸せになってほしいと願う気持ちは皆持っていると思いたい。
    あらすじ(背表紙)
    「お父さんの子どもの頃って、どんな時代だったの?」15歳の娘からの問いを機に、父は自分が育ってきた時代の「歴史」を振り返ることに。あの頃、テレビが家庭の中心だった。親たちは「勉強すれば幸せになれる」と信じていた。宇宙や科学に憧れ、明るい未来へ向かって全力疾走していた――。そして、父が出した答えとは。明日へ歩み出す子どもたちへ、切なる願いが込められた希望の物語。

  • タイトルに惹かれ、読む。
    1963年生まれの父親が育った時代の社会的な出来事を振り返りながら、語っていく。
    もっと個人的で内面的なお父さんの歴史を語っていくのかと思っていたら、なるほどこんな展開で語っていくんだと思った。
    重松清さんの小説は好きな方だが、もともとちくまプリマー新書で出版されただけあって、いつもの小説とは違う感じである。

  • 1963年生まれのカズアキが、「テレビ」・「核家族」・「中流意識」など、自らが生きてきた昭和の様子を平成生まれの娘に語る。
    懐かしい出来事も語られていて、それなりに面白いところもあったが、これを小説として読むのには厳しいかなと。重松さんの自叙伝?エッセイ?

  • 小説?重松氏の備忘録?

    昭和30年代生まれのお父さんが、中学生の長女に自分の生きてきた時代について語る体で書かれた本です。

    彼が生きてきた時代はシアワセだったのか、今、生まれてくる子供たちはシアワセな時代に生まれてきたね、といえるのか?

    昭和の時代と今を比較しつつ、歴史を語るお父さんのいろいろな想いが伝わってきました。

    でも、小説って感じでもなかったかも。

  • ・「排除」のための「理解」なんて、そんな悲しくて寂しいことがあるか…。

    ・保育園に「預ける」と幼稚園に「通わせる」、保育園が幼稚園より良くないという誤解や偏見はそういうちょっとした言い方にも滲んでいる。

  • 今日から夏休み☀️
    と言っても遠出するわけでもないので、またまた読書が進みそうです^_^

    度々読みたくなる、重松清さん。

    お父さんが、15歳の娘に、生きてきた時代の日本の歴史、時代の変遷を語る。
    薄いのでさらっと読める一冊。
    中学生に向けて書いたの本なのかな?日本の直近の歴史が学べるし、会話調になっているので若い世代も読みやすいと思う。

    ほっこりあったかく、押し付けがましいわけでなく、為にもなる情報が得られる一冊です。

  • いつの時代に生まれても笑顔があれば幸せなのだろう。2018.7.16

  • 1963年生まれの著者は、本作が刊行された2006年の時点で43歳。自分と同い年の男性を主人公に据えた、フィクションでありながらノンフィクション、自伝エッセイでもある1冊。文庫化されたのがその10年後の2016年で、著者は53歳。それと同年代の人はきっと生まれ育った時代を振り返りながら読めるはず。

    1963(昭和38)年生まれ、43歳のカズアキには同い年の妻、それに中学3年生と小学校3年生の娘がいる。長女が冬休みに「お年寄りから話を聞く」という宿題を受け、じいちゃんばあちゃんに話を聞いたところ、戦時中の悲しくひもじい話が目白押し。長女がカズアキを馬鹿にするように言う、「お父さんてさあ、ほんとうに幸せな時代に生まれてるよね。なにも苦労してないじゃん」。確かにそうかもしれないけれど、そう言われるとなんだかなぁ。平和な時代の子どもにだって、ちゃんと「歴史」はある。カズアキは正月休みを返上して「歴史」を調べはじめる。

    1953年に開始されたテレビ放送が徐々に普及。1958年、東京タワーが完成し、1万円札が登場し、長嶋茂雄と王貞治がデビューする。1963年に『鉄腕アトム』が始まったから、カズアキはアトムと同い年。子どもには「勉強しなさい」、おとなには「働きなさい」と言うのが普通。女性はまだまだ専業主婦が当たり前だった時代。「速さ」が絶対的で、ゆえに週刊の少年漫画雑誌が創刊される。お金で買える幸せがいっぱいあった時代だけれど、四大公害病が発生したのもこの時代。ヒーローものに科学者が現れ、科学が大事なキーワード。そしてみんなの思いは宇宙へ。

    著者と同年代の人の歴史でもあります。幸せの中身は自分で決めろ。それに尽きる。

著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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