窓の魚 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.17
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本棚登録 : 2418
レビュー : 279
  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349565

作品紹介・あらすじ

温泉宿で一夜を過ごす、2組の恋人たち。静かなナツ、優しいアキオ、可愛いハルナ、無関心なトウヤマ。裸の体で、秘密の心を抱える彼らはそれぞれに深刻な欠落を隠し合っていた。決して交わることなく、お互いを求め合う4人。そして翌朝、宿には一体の死体が残される-恋という得体の知れない感情を、これまでにないほど奥深く、冷静な筆致でとらえた、新たな恋愛小説の臨界点。

感想・レビュー・書評

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  • ナツ、アキオ、トウヤマ、ハルナ。
    四人がそれぞれの内面を語るのに、四人の外で起こる事件や四人の外を動く人物の声が、余計に真実を濁らせていくようで、巧み。

    最初は互いに相容れない四人に見えたのに、欠落した部分が不思議と重なり合って、補い合っている。
    人を求めながら、人を拒絶するしか出来ない四人。

    中でもナツが一番可哀想な役柄なのだけど、彼女の持つ無気力感やぼんやりとした空白に漂う清潔な色香が好き。ふわふわ、飛んでいきそうな儚さ。

    男二人は心底どうしようもなくて、笑える。
    自分のことは自分で解決しろよ、と言いたくなる。

    この作品が直木賞なんだな、と思うとちょっと意外だった。

  • みんな心が豊か

    • かなりワルイネコさん
      だよね、心が豊かだよね
      だよね、心が豊かだよね
      2019/05/15
  • やべぇこえぇやべぇこえぇやべぇこえぇでもおもしれぇ! ハンパねぇェ!!

    西加奈子2冊目だけど、初が「きりこについて」だったから、あらすじ読んだだけで前とちょっと違うと思って積んでた。だけど読み出したら止まらない止まらない。怒涛のイッキ飲み、いや読み。という感想だけだと、読んでない人にはなんのことやらですね。ネタバレを書くのは主義に反するので極力控えます。

    とにかくドキドキハラハライライラ最終章は読み進むにつれドキバクガクブル?しながら、怖い怖いこわいでも止まらないー!と、3時間ほどで一気に読んでしまった。なんという裏切りというか。文章は静かで穏やかで、でも楽しそうなのにそう読めなくて、正直最初はよくわからない。

    4人の登場人物たちはみんなそれぞれいろんな悩みや嘘や裏切りなど、深いものを抱えていて、かなり暗い。ドロドロしてたり、好意を上手く相手に伝えられなかったり。三角関係? とも取れたけどもっと複雑。決して恋愛話ではない。ミステリーかホラーか、それとも?としばらく悩みながら読んだ。

    そして結末は読者の解釈次第て…謎は残ったけど、そんなことはどうでもいい。多分あの人だ。そしてあの人じゃない。よかった、と勝手に解釈。猫と犬の名前はなんとなく、暗示的だと思う。

    中村文則さんの解説は大変失礼だけど、本当おまけみたいなものです。あとで読んでほしい。あとからなるほど、と思えば充分。

    ただビールについての言及は流したかな、と思って読み返してみたら、流石西さん!と妙に納得。ビール飲みにしかわからないとは思うけど。ごめんなさい中村さん、おまけとか書いちゃって。

    まず読んだあと中村さんのように「余韻に浸」りつつぼーっとして、気になるところや、謎とか不明なとことかをもう一度読み返したりとか、がいいと思います。反芻?

    未読の「サラバ!」いまさらだけどすぐ読めなかったことが悔やまれる。文庫はまだしばらくないかなぁ。

    とにかく西加奈子、恐ろしい子…。

  • 読みやすかった。殺された人物が誰であるのかが結局明かされないのと、最後のアキオと女とのやりとりもよくわからなくて、少しモヤモヤした。感覚で読む推理小説という感じでしょうか。
    四人の登場人物それぞれクセが強く持っているバックグラウンドもそれぞれに重い。それぞれの視点から聞こえなかったセリフを照らし合わせてみるのは面白かった。
    アキオがナツに薬を飲ませているというのが驚きであり、何か奇妙に現実味を帯びていて落ち着かない気持ちになった。

  • 主人公のナツ&アキオ、トウヤマ&ハルナがダブルデートでバスに乗って1泊の温泉旅行に行きます。そして、翌朝に死体が残されます。それぞれの登場人物に深い何かがあり、ゾクゾクします。物語は、順番に同じ時を、それぞれナツ、トウヤマ、ハルナ、アキオの目線で語られます。さらに翌朝に発見される死体は、主人公の4人以外から読者に知らされます。最後まで謎が残る深い恋愛小説で、面白いです。

  • アキオ、ナツ、トオヤマ、ハルナ
    4人による温泉旅行の一夜を綴った物語。
    旅行を綴るというよりはそれぞれの心情や過去、そしてちょっとしたつながりが4人それぞれの視点から描かれている。
    なので起伏に富んだストーリーではなく、淡々と心の中にある思いが様々な言葉で描かれて進みます。
    個人的にこういった純文学は苦手。人の奥底の深いところ、文章の奥に潜む描かれない作者の言葉を読み取るのに疲れます。きっと僕の読書力とか国語力が足りないからなんですね。
    いつかゆっくりと時間をかけてこういった作品を楽しめるようになるとまた読書の幅が広がるんだろうな。それを楽しみにいつかまた再読したいと思います。

  • わたしはナツよりハルナみたいな女の子の方がすき


  • 一見淡々としているように見えて、ずっしり重いものを感じました。
    謎の死体と4人それぞれの視点から語る一夜のこと。
    ミステリーというかんじではないので、その死体が誰だったのかなどは最後までわからず。
    とにかく全員が不健康な死の匂いがして、思ったよりなかなかしんどいものがありました。
    弱さを抱えたこの4人は、これ以上交わることがあるのか。似ているようで理解し合うことはできない、人は悲しい。

  • なんとなく手を出していなかった西加奈子さん。
    うーん、仄暗い雰囲気や感覚的な語り口は嫌いじゃないんだけど、最後までぼんやりしすぎていて入り込めなかった。
    結局死んだのは誰だったの...
    あの人かな?とは思うけど、答えが欲しくなってしまう。
    たぶん想像や推理で補完するのがこの作品の楽しみ方なんだろうけど、推理しながら読む癖がない私では魅力を理解するのに力不足だったかも(ミステリーは素直に読んで驚かされるのが好き)。
    でも、同じ一日を4つの視点から見る構成や、登場人物それぞれの独白自体は面白かった。

    みなさんのレビューを見ていると、この作品は西加奈子さんの中では少し異色なんでしょうか?これに懲りず他の作品も読んでみようと思います。

  • ぞくぞくした。余韻が凄い。
    人には暗く欠落した部分があって、どこかにガラスの壁を持ってるのかもしれない。
    誰かとこの本について討論したくてうずうずしてる。

  • 西さんってこういう文章を書くんだと思う。
    4人が同じ場所に集まっていても、何か傍目からはわからないものを抱えている。
    結局人はいつだって1人の孤独な生き物なんだということを思い知らされているようにも思う。
    そして宿には死体が見つかる。個人的には、はかなさの象徴のようにも思う。
    4人がそれぞれ抱える闇をいつか克服する日は来るのか。
    おそらく来るけど。

  • 何冊目かの西加奈子さん。でもやはり無理だった。
    解説の中村文則さんの冒頭「いい小説を読むと、余韻に浸りたくなる。」も共感できなかった。
    ほんわかした文体、優しい描写は結構な出来事もほんわり伝える。
    ピース又吉の帯に惹かれて手に取った本。
    でも、私はこの作家さん無理だと、いよいよ結論出そうと思う。

  • これまで読んだ西さんの作品の中では
    かなり苦手な部類に入る。

    二組の男女が温泉にやってくるとことから始まる。
    同じシーンを
    4人の視点から繰り返し表現されている。

    同じことをしていても
    決して同じことを考えているわけではない
    ということを思い知らされる。

    モノクロの映像の中で
    時々強烈な色を放つような不思議な感覚だった。

  • 西加奈子2冊目だけど、人物の心について憚らずに書く人なんだなーって思う。そして文中のリズムとか、詩的な表現とかがいい。ただ、今回はストーリーがはっきりしていなくてあまり好みじゃないかな。

    この作品では一人一人の視点から章が分けてあって、中盤くらいからミステリーっぽく見せてあるような文が見受けられる(「死んだ人の名前がデタラメで身元が判明しない」とまで書かれているのに、最後まで真相がぼかされて納得いかない笑)
    そのせいで結局死んだのは誰かが気になって、最後の方集中して読めなかった笑

    まあ、読者に解釈を委ねているのだろうけど。想像力の欠如と白黒つけたい性格のせいで私は楽しめなかったなぁ…何度か読めばまた違うのかも。読む人によっても、読むタイミングによっても捉え方が変わってくると思う!

  • 文章自体は簡単だが、そこに暗示される意味を汲み取ることが難しい。2回読んでぼんやりと輪郭が掴めた感覚。でも、3度、4度繰り返し読むと、どんどん印象が変わっていくのかもしれない。

    久しぶりに深みのある本に出会えたような気がする。

  • 二組のカップルが喧騒から離れた川沿いの温泉宿を訪れる。それぞれにいろいろな過去を抱えて、お互いに何か思うところもありそうで。

    安易なミステリー物にせずに、丹念に過去の描写をして含みのある会話と行動をさせるところが良い。

    この物語の真相も、その後も、一つに結論づけるのではなく、いろんな可能性を想像してみるのも面白いかなと思う。一気に読み進めて、その後でじっくり反芻して自分なりの輪郭をもたせてみたい。


    2015.8.19

  • 直木賞おめでとう!
    みたいなオビで読んだことのない作家さんだったのと、
    薄い本だったからすぐに読めるだろうと思って買ってみました。

    ぼーっとしたナツ
    ドラッカーアキオ
    整形美人ハルナ
    スモーカートウヤマの4名で旅行へGO!

    ちょっと書き出しが文学のカオリがするけど小説。
    死体のところの描写も好きかも?!

    ネコは?
    あれれ?

    犯人はわかるけど背景への理解はやや困難かな?
    他の作品も読んでみたい!

  • 西加奈子らしくない小説を読んでしまったのではないか。このような一面があるとして、別な作品も読んでみないと。個人的には、あまり良くない意味で〝繊細な〟作品だと思う。

  • 西さんはこんな作品も出しているのか、と驚いた。美しさと薄暗さにどきりとする作品。

  • 男性の描きかたとか、話のつじつまとか、ビミョーにちぐはぐじゃないかと思わないではないけど、間違いなく傑作。最初はまぁ、この程度かと思ったけど、重ねれば重ねるほど面白くなっていくのは、テクニック、技術がすごい。一つ一つの細部が本当に良くできている。ぜひ、読んでみて。

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著者プロフィール

西加奈子(にし かなこ)
1977年、イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪府堺市で育つ。関西大学法学部卒業。雑誌「ぴあ」のライターを経て、2004年『あおい』でデビュー。
2007年『通天閣』で織田作之助賞大賞、2011年咲くやこの花賞、2013年『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞。
その他代表作として、宮崎あおい・向井理出演で映画化された絵本『きいろいゾウ』、同じく映画化された『円卓』、20万部を超えるベストセラー『さくら』、本屋大賞ノミネート作『i』など。2020年初夏、『さくら』が映画化決定。プロレス好きとして知られる。お気に入りの本は『アントニオ猪木詩集』。

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