忍びの国 (新潮文庫)

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  • 本 ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349770

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  • 伊賀國で起こった織田氏と伊賀惣領一揆との、天正伊賀乱を題材とした歴史小説です。
    乱世の戦国。織田信長の次男、信雄が北畠家に婿入りした後、その当主具教を暗殺し、伊賀國の掌握を目指私、忍びの者達との戦乱となります。
    伊賀の忍びの日常からその勇姿までを、伊賀國一の忍びと自他共に認める、無門を中心に臨場感を持って描かれます。
    その底知れない恐ろしさに信長さえ手を出さなかったこの地を、息子信雄は、抑圧されてきた父への反発かあるいは敬愛か、踏み込んでいきます。
    無門の采配と活躍で勝利を収めた伊賀であったけれど、最愛の妻(仮)の死をもって、そのありように疑問を持った無門が最後の反乱を起こす。
    歴史小説+αの魅力ある作品でした。

  • 前半は登場人物を覚えるのでやっとだが、後半はやはりおもしろい。伊賀者(忍者)によるアクションシーンが多いが、これは純愛小説ともいえる。これからは人の気持ちがわからない人をみたときは伊賀者の血が入っていると考えることにしよう。

  • おもしろかったけど、先に読んでいた村上海賊が最高すぎたので、★3で。
    タイトルからもわかるように、リアル忍者の国の者たちが、信長の次男にケンカをふっかけて戦をするという話。
    信長サイドはいかにもケンカっ早くて武士らしいけど、伊賀の忍びの者たちはすばしっこくて、やんちゃな小学生みたい…。
    でも、伊賀の者が繰り出す技、動きは人間離れしていて、映像で見たらおもしろいだろうな!今度映画みます!
    忍者の小国VS勢いある織田家の闘いの結末やいかに。

    無門とお国のやりとりは滑稽な場面が多く、現代の夫婦関係に通じるものがある気がする。

  • 忍びの国
    文庫版
    著:和田 竜
    新潮文庫 わ 10 1

    織田信雄配下の猛将、日置(へき)大膳と伊賀一の忍び、無門との知恵と力比べ
    三瀬の変から、天正伊賀の乱(第1次)が終わる所までを描く

    凡庸で、意気地のない、信雄が、戦乱を生き抜き、江戸時代まで生き残ったのは、一重に、織田家の当主としてであっただろうか。

    <史実>

    三瀬の変
     織田信長の次男信雄が、伊勢の国司で、妻の父である北畠具房を謀殺した事件

    天正伊賀の乱

     第1次 天正7年(1579)信雄が信長の許可もなく、8,000の兵をもって、独断で伊賀を攻め、大敗を喫したことをいう
     この戦いで、伊賀の忍びの名声は天下にとどろき、信雄の武名は地に落ちた

     第2次 天正9年(1581)信長が、50,000の兵をもって、再び伊賀を攻めた
     信長の怒りは、すさまじく、伊賀の90,000の人口のうち、30,000が虐殺された

    目次

    第1章
    第2章
    第3章
    第4章
    終章
    解説

    ISBN:9784101349770
    出版社:新潮社
    判型:文庫
    ページ数:384ページ
    定価:630円(本体)
    発売日:2011年03月01日第1刷
    発売日:2016年10月20日第21刷

  • 伊賀の者どもは人ではない。
    虎狼の族。ひとでなし。

    今の今まで血を見る争いをしていたというのに突然肩を並べて笑いあう。
    しかも、目の前で息子が殺されたというのに平然としているどころか
    薄ら笑いまで浮かべるなんて...

    "今日の味方も明日は敵"とはいえども
    これにはかなり戸惑ってしまいます。胸が抉られるように苦しくなって
    こんなところでは絶対に生きていきたくはないなとさえ思ってしまいます。

    けれども少しずつ気持ちが落ち着いてくると、この伊賀忍びの精神は
    (人間を含めての)動物本来の本能であるのかもしれない...
    そんな思いがだんだんとしてきて、それは伊賀忍者だけに限ってではない
    ことにも気づかされるのです。

    生きるためのすべ...

    ここに登場する人でいうならば
    日置大善にしても左京亮にしても、自分のため国のためというなら寝返ってしまう。
    よくよく考えれてみばそれもまた同じ。さほど変わりはないように思えます。

    けれど、その"人間"という生き物を
    "人"にしているのは"人"には"人を愛する"という感情があること。
    妻を想い、子を想い、兄弟を想う。その感情ここそが
    "人"を"人たるもの"にしているのだなぁということが、読んでいて
    ひしひしと伝わってくるように感じました。

    史実に基づく戦国の情け容赦のない醜い争いが描かれているなかにも
    登場人物の一人一人(一部除外者がいるかも..?ですが)を通して
    "人"には"人を愛する心"があるということを浮き彫りにして
    感じさせてくれているように思うのは、著者和田竜さんの
    筆致巧みな人間描写にあるでしょうか。素晴らしいです。

    児玉清さんのあとがきもなんとも小気味よくて
    最高の読後感が味わえました。

  • 「天正伊賀の乱」を背景に、全く新しい歴史小説の到来を宣言した圧倒的快作。「伊賀の者どもは人ではない」。ひとでなし。忍者を動かすのは銭だけ。だけど、それは…。

    個性的で魅力溢れる人物たち、手に汗握る戦闘の数々、騙し騙され騙しあい、最後まで戦の行方も無門の恋の行方もわからない。ドキドキハラハラの忍法小説!

    時々入る古文書が面白い。本当にあった戦い、存在した人物、心が沸き立つ。無門みたいな人もいたのかな。無門の過去がわかった時、切なくなった。

    「あと先考えて無茶できるか」大野さんの姿が目に浮かぶ。無門はもう大野さん以外考えられない。映画が楽しみだ。

    • あいさん
      橙夜さん♪

      こんばんは(^-^)/ コメントありがとうございます!とても嬉しいです。

      時代小説はちょっと苦手で読む前は心配でした...
      橙夜さん♪

      こんばんは(^-^)/ コメントありがとうございます!とても嬉しいです。

      時代小説はちょっと苦手で読む前は心配でしたが、読み始めたら直ぐに伊賀の国へ飛んでいました(*≧艸≦) 面白いですよ。

      実は映画にももう行きました。大野さんがとても楽しそうに演じていて、観ているこちらも楽しくなりました♪

      これからもよろしくお願いします!
      2017/07/16
  • この手の小説はあまり読んだことがないので戸惑うシーンも多々。最後まで読み切って面白さを知る。解説が今は亡き児玉清氏。かの読書家が「痛快無比!待ちに待った忍法小説」だと絶賛するのも納得。ズラッと並んだ主要参考文献。伊賀をもっと知りたくなった。

    嵐の大野智さん主演で映画化。

    • kuma0504さん
      ブックリストにいいねありがとうございます♪

      映画観ました。

      児玉清さんの解説に関して言えば、おそらく最晩年の解説と対談が「図書館戦争シリ...
      ブックリストにいいねありがとうございます♪

      映画観ました。

      児玉清さんの解説に関して言えば、おそらく最晩年の解説と対談が「図書館戦争シリーズ」に載っています。今日アップしたブックリスト「高評価作品の紹介⑥」で、ちょっと触れているので思い出してしまいました。
      2021/10/16
    • 榊真央さん
      コメントありがとうございます。大野さんファンですので劇場で25階も見てしまいました^^;
      児玉清さん、「図書館戦争シリーズ」にも感想がある...
      コメントありがとうございます。大野さんファンですので劇場で25階も見てしまいました^^;
      児玉清さん、「図書館戦争シリーズ」にも感想があるのですね。映画は見たのですが、小説はまだ読んでいません。「積読」状態が解消されましたら是非読みたいです。
      2021/10/16
  • 他で描かれる伊賀者とはまた違った観点が新鮮。

  • 凄腕の忍びの無門、飄々と人を殺めるのだが女房のお国には頭が上がらない。あんだけ冷酷に見えるがお国には甘く弱いギャップが面白い。
    他の下人達も感情よりも銭金、損得勘定で簡単に手のひらを返す伊賀者の当たり前が殺伐としているが、あまりにもハッキリしているので気持ち良くも感じる。

    最期は無門もお国も互いの大切さに気づくも、時遅かった。その後の無門の復讐の大きさが歴史を動かすほどだったのだ。怒りと愛を感じた。
    終わり方も無門と文吾の意地をみせる感じであり、その先も想像を掻き立てられ良かった。
    石川五右衛門もこの先も活躍するから、、、どうなんだ?

  • 傑作の小説だった。話そのものも素晴らしい上に、主人公という主人公がいないのが斬新だった。誰を視点にしても物語を進める事ができ、良いも悪いもない世界で生き延びる人達の姿がよく描写されていた。前作の「のぼうの城」もとても面白かったが、それをも上回る面白さ。テンポの良く、笑える部分もある。リアリティもかなり追求されている。傑作と呼べる一冊に相応しい。時代小説である為、ある程度予備知識などはあった方が読みやすいが、それを抜いても面白かった。

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