草祭 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2011年4月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784101351315

感想・レビュー・書評

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  • 誰もが一度は、自然の美しさに恐怖を覚えた瞬間があるのではないでしょうか。
    一面の緑、遮るものが何も無い美しい風景。
    空の上の雲、濡れた土の匂い、そして静寂。
    隣には喧騒にまみれた日常が隣り合わせですぐそこにある筈なのに、ここ一体のみが別世界に感じ、まるで身体が浮遊しているような感覚。
    恐ろしくて堪らないのに、麗しい風景に魅了され一歩も動けず、ただただ立ち尽くしてしまう。

    そんなドラマチックで悍ましい「異界」を、脳内フルスクリーンで体験出来る本作品。
    舞台は〈この世界の一つ奥にある美しい町〉、「美奥」。
    現実とすぐ隣り合わせで存在するこの地を舞台とした五つの短編は、時空を飛び越え様々な姿を見せてくれます。
    次々と「美奥」の残酷で眩い姿と歴史を垣間見ていく内に、この不思議な世界観に身体がどんどん取り込まれ、〈魂ここに在らず〉そんな夢見心地な時間でした。
    何度、( ゚∀ ゚)ハッ! 魂=͟͟͞͞('◎' 吸)スッ を繰り返したことか。

    そんな自分はまるで、【天化の宿】にてクトキ「天化」を行った一人の少女の様。
    彼女が「天化」を行った直後に感じたあの凄まじいイマジネーションと同じ物を、
    恒川光太郎は読者に体験させているのですね。
    ....作品を読んでない方からしたらナンノコッチャですが、ナンノコッチャついでに
    地蔵になる準備としてとりあえず笠でも編みたいと思います。はい、自己満ですごめんなさい(*°∀、°*)ゲフゲフ
    ーーーーーーーー

    もし、現実に少し疲れたのなら、
    優しいだけの言葉では救われない程心が悲鳴をあげているのなら、
    美しくも残酷な「異世界」へ逃げましょう。
    豊かで美しい自然に彩られた現代の神話、現実に繋がったこの「境界」の世界で休みましょう。

    そんな貴方に、恒川ファンタジーへの招待状をココに置いておきます Fin..

  • 〈こちら〉の世界から少しだけはみ出した〈あちら〉の世界が存在する「美奥」。
    たとえば、苔むして古びた水路の先、住宅地にひしめく路地のつきあたり。たとえば、赤錆た黒い線路を外れた獣道に建つ民家。
    「美奥」のあちらこちらで世界の入り口はぽっかり口を開けているけれど、全ての人が思いのままに訪ねることはできない。
    その土地に招かれる者と招かれざる者の違い。もしかしたら、自分という器に魂がちゃんと収まっているか、収まっていないかの違いかもしれない……。ちょっぴり魂がはみ出した者だけが「美奥」の暗闇に招待される。
    魂の求めるままに流されるままに。あなたが、あなたでいなければならない苦しみや柵などなくなっていく。今の自分じゃなきゃいけない、そんな必要のない自由へと魂は生まれ変わる。

  • き~み~が~いた夏はとおいゆ~め~の中~♪
    そ~ら~に消えて~った
    打ち上げ~ は~な~び

    って、キミそれは夏祭りやがな!!
    ということで?「草祭」です。
    正直、なんでこのタイトルなのかわからんかったけど。

    ★3の上

    これ、いいです(*´∀`)

    さすが恒川光太郎さん。和風ファンタジーの旗手と、勝手に俺がいってるだけのことはあります。
    なんだかんだで恒川光太郎さんの四冊目。

    これもみんみんさんのお勧めだった気がする。
    おそるべしみんみん選書。

    同著者の「秋の牢獄」よりこっちが好き。
    でも「金色機械」まではいかないかな。
    その中間くらいの評価です。

    美奥という架空の場所を巡る五篇の短編。奇譚。

    ・けものはら
    ・屋根猩猩
    ・くさのゆめがたり
    ・天化の宿
    ・朝の朧町

    う〜ん。
    出汁の効いた汁物のような味わい。
    美味しいな。
    地味な話なのになぜか心を捉えられてしまいます。
    ハデな設定や要素も仕掛けもなくここまで読ませますか。
    彩りの悪い料理なのに食べると美味いみたいな感じ。
    キャラクターもいいな。
    読み手の予想をうまく裏切ってくれる。
    そのうちに他の作品も読んでみようっと。


    余談。
    最後の「朝の朧町」という作品で、躑躅(ツツジ)の花が咲く木の家というのが出てくる。
    なんか違和感があった。
    なんでツツジをわざわざ漢字で?
    調べてみたら躑躅をツツジと読むのは当て字のようで、本来は躑躅(てきちょく)と読むらしい。
    それは「前に進めない」とか「足元がふらつく」などの意味だそうだ。
    なんて作品にピッタリの花だろう。
    もちろん偶然であるわけもなく、意図したものでしょう。
    作家さんってのは凄いもんだなぁと感心しきりでしたとさ。

    そしてそこに気づいた俺もエライ!!
    ∠( ゚д゚)/ジブンデイッテクグレコローマンスタイル

    • ゆーき本さん
      わ!またまたジッタリンジン ♬*°
      みんなが知ってるのはホワイトベリーの方かな
      わ!またまたジッタリンジン ♬*°
      みんなが知ってるのはホワイトベリーの方かな
      2025/03/27
    • 土瓶さん
      次はみんな大好きプレゼントかな~?
      あなたが私にくれたもの~♪
      でも、今読んでるの暗くてとてもプレゼントにひっかけられそうにないわ。
      次はみんな大好きプレゼントかな~?
      あなたが私にくれたもの~♪
      でも、今読んでるの暗くてとてもプレゼントにひっかけられそうにないわ。
      2025/03/27
    • bmakiさん
      最近、歌シリーズですね♪
      ノリノリでいいですね♪♪

      夜市しか読んでいませんが、土瓶さんがお星様3つは期待大ですね!!o(^▽^)o
      最近、歌シリーズですね♪
      ノリノリでいいですね♪♪

      夜市しか読んでいませんが、土瓶さんがお星様3つは期待大ですね!!o(^▽^)o
      2025/03/27
  • ずっと読みたくて、それでもなかなか出会えなくて縁がないのか・・・と半分諦めていたら、近所の古本屋さんにある日突然あらわれてくれた!

    4話からなる短編集で、全ての話が「美奥」という不思議な町を舞台としている。時代が違っても、登場人物が共通してあらわれたり、「これって…」とつながるところがあったり。
    得体のしれない感じとか、どこか靄がかかったような不透明な雰囲気とか・・・やっぱり好きな世界観!

    お気に入りは、「屋根猩々」と「くさのゆめがたり」かな。
    「屋根猩々」は、町の【守り神】の話。【守り神】は任命されたらあらゆる欲が消えて、みんなのために動くことになる。【守り神】のタカヒロも良いキャラだなと思ったし、タカヒロに助けてもらった主人公が次の【守り神】にさせられてしまって物語が閉じるのもとても良い。
    「くさのゆめがたり」は、「美奥」がまだ「美奥」ではなかった頃の物語。死体を別のものに生まれ変わらせる【クサナギ】を作り出してしまうテン。【クサナギ】を村の井戸や酒樽に放り込む所業はゾッとするけど、村の人間がみんな動物になって、村が自然に還るのは美しく神秘的だなと思った。


    「考えてみれば今世に在るものも、みな多かれ少なかれあやふやなバランスに在るものなんじゃないかと思うよ。何か一つの要因をずらしたり、入れ替えたりしたら、ふっと消えてしまうものはたくさんあるんじゃない。」

  • やっと読み終わった。
    引っ越しやら引き継ぎやら会社から受ける苦痛の日々のせいで忙しかったり疲れ過ぎて字が滑ったりと、色々ありながらやっと読み切った。

    恒川光太郎ワールド全開の不思議な世界。
    この人の作品って何がいいかって日常から迷い込むという流れがいいのだ。
    「美奥(びおく)」というキラーワードの世界に迷い込む人々を描いた短編集。
    どこかで繋がっていたりもする。

    いつもの不思議な世界は迷い込みたいと思わせるけど、本作はそうではなかった。
    決して迷い込みたいとは思えない、外から見ていたい世界だった。

    屋根猩猩が一番好き。

  • 恒川さんの綴る「美奥」という土地をめぐる連作短編集。

    脳内に広がるのは、日本の原風景。そして幼い頃に少なからず想像に駆られた異界へ繋がっているかもしれない場所。

    「夜市」「秋の牢獄」に続き、どうしようもなくノスタルジーを感じる、恒川作品の虜です。

  • 美奥という土地が舞台の短編集

    恒川さんの作品は、不思議で懐かしくもあり
    なんと表現したらいいのか分からないような
    ふわふわした気持ちになります

    現実と異界の境界
    本当にこんな事があるんじゃないか
    こんな場所があるんじゃないかと思わせる
    ワクワクします

    けものはら
    星4
    良かった
    好きな感じ

    屋根猩猩
    星4
    話が軽く繋がってるのも楽しい
    これもとても好み

    くさのゆめがたり
    星3
    美奥=美しい山奥
    なるほど

    天下の宿
    星2
    ちょっと難しかったかな

    朝の朧町
    星2
    香奈枝さんは美奥に行き、美奥の人と
    結婚して、その人との間にできた子供が
    けものはらにでてくる佐藤愛か

  • 恒川さんワールド全開の短編集で、本当に面白かった!
    ホラーというよりもファンタジー色が強く、不思議な世界に浸れました
    特に好きなのは、屋根猩猩。会話のテンポが面白く、皆仲直りでいい展開で終わるのかと思ったら、最後の展開に驚いた。背筋がゾクッとしました!

  • ヤバい。痛烈に彼岸を越えたい。もう越えているのかも。
    どちらが現実かわからなくなった。いや、どちらも当人には現実か。
    これは現実世界なのだ。実存。

  • 美奥と呼ばれる不思議な町とその周辺を舞台にした、現実世界と異世界の境界線が入り混じったかのような不思議なお話の短編集です。

    お話をしっかりと理解できたわけではないですが、恒川光太郎さんの作品はなんか良いなと思える作品集でした。

    もっとも、明確な物語を求める人には向いてないかもしれません。

  • 多分好きだと思いますとプレゼントで頂いた1冊。
    千と千尋みたいな現実と向こうの不思議な世界がある時ふとした境目を飛び越えて迷い込む……そんな感じとお勧めされたのだけどまさにそうだった。
    基本は短編なんだけど、どこかでその短編も繋がってる感じがしてそれも良き。
    捉え方によってはホラーとも感じるけど、
    不思議な話は深読みすればホラーとも捉えられるから感じ方は人それぞれかな?
    美奥と言う不思議で美しい世界が、日常の中にさらりと溶け込んでふとした時に混じって迷い込む……
    怖さと美しさの塩梅が絶妙で、短編集なのにすごい長い旅をして戻ってきた様な感覚になった。

  • 「夜市」を読んだのはずいぶん前のこと。
    あの、不思議な感覚は、その後、どの本とも一致することはなかった。

    〈美奥〉という場所での不思議な出来事を綴った、作者独特の5篇の連作短篇集。

    現実と幻想の境界が曖昧になるとき、“それ”は起こる……。
    でも、どの物語でも“それ”が起こるもとは、“ひと”の業……。

    夏の夜の生温く冷たい風のようなお話。

  • 〈美奥〉という町のお話5つ。こちらも容赦無いけれど、暮らす世界からすぐ隣にあるような気がする不思議な世界でした。山深い森の奥にありそう。
    恒川さんのお話は時代ものの空気が強いのが特に好みかもしれない、と気づいた〈美奥〉のはじまりのお話「くさのゆめがたり」が好きです。春沢は廃れたけど、〈美奥〉として再生したんだろな。
    前に読んだときはたしか「天化の宿」で行われたカードゲーム「天化」がすごく気になりました。このお話の結末も好きでした。
    再生…同じ形のときもあれば違う生命だったり。クサナギ、動物になる人と化け物になる人となにか違いがあるのだろうか。。

  • こんなに読後感がいい本初めて読みました。
    満足感のある寂しさ。
    この先なんかいもよみかえすと思います。
    気持ちのいいため息。

  • この世界のひとつ奥にある
    美しい町"美奥"を中心に
    繰り広げられるダークファンタジー

    異世界とは
    そんな遠くにあるものじゃない
    残酷な人生に差し伸べられる手も
    身勝手な母親を喰らい尽くす闇も
    全て、普段目には見えない
    ”何か”なのかもしれない...

    恒川さんの作品は
    初めて行く場所や、奥の細道を
    少し迷えば辿り着きそうな
    どこか懐かしく、なぜか切ない
    心の故郷が描かれる事が多いです

    読み終わった後も
    もう一度あの町へ出掛けたくなる
    そんな世界観に魅了されてます。

  • 美奥と呼ばれる土地を舞台にした、五つの物語を収録した連作短編集。

    不思議さと怖さ、そこにちょっとした可笑しさが加わって確立される、幻想的で美しい世界観に魅了されました。

    異世界への扉はすぐ近くにあるのかもしれない、などとつい考えてしまう、想像力を刺激される一冊です。

  • 短編集。
    短編は好きではないので、読んだという記録だけつけます。

  • 「美奥」という土地にまつわる短編集。どれもこれも面白い設定。
    次々とめくるページがとまらずに読み進め、これといったオチもなく物語が急に終わってしまったかのよう。終わった後のさみしさ。
    どれも面白かったですけどいじめに会っている女子高生が出会ったタカヒロという不思議な少年が、いじめている女子高生に復讐する「屋根狸狸」が面白かった。
    最後の「朝の朧町」は、冒頭に出てくる愛という娘は誰でしょう?子供いたの?、香奈恵と長船さんとの子供だったのでしょうか?
    恒川さんの短編集は他にも読んでいますが、やっぱり「夜市」が1番面白いです。
    他の皆様のレビューを読んで、とても深く読み込んでおられる方もいて、反省。
    恒川さんの文章は、ひとつひとつの表現が上品で丁寧なので
    もっとゆっくりしみじみと味わいながら大切に読まないといけない作家さんですよね。

  • 連作集だとたいがい「この中ならこの話が1番好きかな」くらいで落ち着くが、今回そんな次元では無い。どの作品もこれ1つとは到底選べない。『夜市』『無貌の神』が刺さったらこの作品も是非読んでいただいて絶対間違いないと思う。

    「向こうに見えるのは、この世界の一つ奥にある美しい町。」
    「世界は気だるい鈍さで移ろっていき、やがては通り過ぎた街の全てが、私の胸の内で輝き始める。」

    それにしてもなんて柔らかで儚げで、それでいて品と存在感のある言い回しなんだろうか…恒川さんの書く言葉ってほんとうに易しいのに何故こんなにも魅力的なんだろう。
    これが母国語で噛み締められるというしあわせ。

  • 幻想と虚構の入り混じる、美奥。登場人物にとっての現実なのか、人の心の奥なのか。不思議な話だけど、悲しさとか不条理さは感じない。
    屋根猩猩なんかは、夜は短し…や、遠野物語みたいな雰囲気で、悪さしない優しい妖系の話を楽しみたい時はこの本に限る。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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