草祭 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 860
レビュー : 111
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101351315

感想・レビュー・書評

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  • この世と少しずれた先にある「美奥」という美しい町。その土地の因果に触れた者たちの送る5つの不思議な物語。美しい自然の気配と不安を煽る話運び、今回も恒川ワールド堪能しました。「けものはら」「屋根猩猩」は今どきの中高生が主人公なので少々軽めの言葉遣いがいつもの雰囲気と違って新鮮でした。登場人物が少しリンクしていたり、昔・現代と時代も違ったりと『美奥』という土地の広がり奥行きも感じられました。

  • むぅ、これ絶対表紙詐欺。いやすごくいい作品だったので詐欺っていうと語弊があるけど表紙の温かみのあるイラストとは裏腹に内容は結構どれも寂しげで悲しい話が多かった。どの話も現実の世界を舞台にしてはいるのだけれど、どこかが少しだけ現実とはズレていて、文章は割と淡々としているのだけれどそれがまたなんとなく不気味な雰囲気を醸し出していた。個人的には「屋根猩猩」がオチも込みでなかなか好き。前半のタカヒロという男の子が守り神として屋根を飛び回り、細々とした人助けを行っているという設定が不思議でおもしろかった。そして最後には主人公が次の守り神の役目につくという終わり方。別にバッドエンドとかではないのに何故か少し怖い。憑かれているというよりも人智を超えた「何か」によって、天気の移り変わりを誰も制御できないように守り神の役目を受け継ぎそこになんの疑問も感じないというところにゾクっとした。しかし他の話も本当に独特でおもしろかった。

  • 目次
    ・けものはら
    ・屋根猩猩
    ・くさのゆめがたり
    ・天化の宿
    ・朝の朧町

    実際に目に見えて、触れることができそうなくらい近い場所にある、こことは違う場所『美奥』。
    意図せずそこに迷い込んだ者は、どこか危うい気配を持つ。
    生と死、人間と妖。
    全ては流動的で、全てが溶け合って、確かなものは何もない。

    恒川光太郎の描く世界は、絶妙なバランスでこの世に生み出されるのだと思う。
    目の前に存在するかのように精密に描写されながら、決して触れることができないのだ。

    日に日に人間ではないものに変貌していく家出した友人に
    「もしも俺が人食いの獣になっても、雄也は俺の友達か?」と聞かれ
    「わかんないや」と正直に答える雄也は、その後に「でも、今は友達だ」と続ける。

    触れられないけど繋がっている。
    繋がっているのに触れられない。
    その濃密な喪失の痛みが、優しく心を包み込む。
    ああ、やっぱり恒川光太郎、好きだなあ。

  • 青春に一番近い場所にある異界。

    この人はなんて美しい世界を作れるんだろう。

  • 新宿、紀伊国でフェアをしていて、見つけた一冊。
    また、お気に入りの作家ができた。

    不思議な空気をまとったファンタジー。
    不思議な町の過去、現在をめぐる短編が絡み合い、
    ひとつの長編になっている。

    どんどん引き込まれて一気読み。

  • どこにでもありそうな町だけど、少し道を外れたら、そこには誰も知らない場所がある。
    「美奥」という町では、今日もどこかでひっそりと異界への扉が開いている…。

    恒川氏の幻想的な作品、好きですねぇ。
    今回は美奥という町を舞台とした短編集でしたが、すごく『らしさ』を感じて良かったお話と、 そうでもないと感じてしまったお話とがありました。
    幻想的で物悲しく美しい、独特の世界。作家の個性を堪能できた一冊でした。

  • 触れようと思ったわけではないのに、何かの瞬間に、
    偶然に触れてしまったことで美奥の不思議な空間と
    繋がりを持ってしまった人たち。
    望んでそこに行く人、戻る人。住み着く人。
    幻想的な美奥。美しい山の奥。
    どこか懐かしいような、少し哀しげで残酷で、そして優しくて
    御伽噺に耳を傾けているようなそんな気持ちにさせてくれる。
    やっぱり疲れているときは恒川氏の幻想に浸るのがいい!

  • 恒川光太郎連読み六冊目。そして、現時点での文庫化作品オーラス。かつ、恒川光太郎連読み、自分の中での一区切り。
    「美しい山奥」美奥という町を舞台にした連作短編集。
    表紙の装丁(読後に見返すと、また、グっとくる)が角川ホラー文庫とは随分違うと思っていたら、中身も。特に中高生が主人公の『けものはら』『屋根猩猩』『天化の宿』では、こんな書き方もするんだ…、と思わされた。
    恒川光太郎初心者は、ココが入口っていうのもアリだと思える。逆にゾクっとする感じは控え目。
    個人的好みは『朝の朧町』『屋根猩猩』(この二つの順は微妙)『くさのゆめがたり』『けものはら』『天化の宿』の順かな?!
    ただし、連作短編なので、順を追って読んでいただかないと……。

  • 連作短編集。恒川光太郎作品の中で(いまのところ)一番好き。

  • 美奥の世界観がとにかく素敵でした。
    その光景が実際目に見える事はありませんが、読んでいると見えてくるような気になれてしまう不思議。
    人々の背景にあるものは美しいわけではないけれど、良くも悪くも純粋に思えます。
    「天化」のゲームそのものが楽しそうで気になる。苦解き抜きでもやってみたい。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。同作で直木賞候補に。14年、『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。著書に『雷の季節の終わりに』『秋の牢獄』『南の子供が夜いくところ』『竜が最後に帰る場所』『金色の獣、彼方へ』『南の子供が夜いくところ 』『スタープレイヤー』『ヘヴンメイカー』などがある。

「2019年 『白昼夢の森の少女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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