100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101351667

感想・レビュー・書評

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  • 5年近く前にNHKで放映したスペシャル番組が基になったノンフィクションです。今から100年ほど前にフランスの天才学者(数学・物理学・哲学などあらゆる学問をマスタ-した人のようです)、ポアンカレが放ったひとつの問いかけは100年間もの間、数多くの数学者たちの前に超難問として立ちはだかりました。しかし、その問題を解いた数学者がとうとう現れました。2006年のフィールズ賞(優れた功績をあげた数学者に4年に一度与えられる権威ある賞)の受賞対象となったロシアのグリゴリ・ペレリマン博士です。しかし、彼は何と受賞を辞退し、そればかりかそれ以来その行方さえ定かではなくなりました。
    天才数学者とその奇行は常人の理解を超えてつながっているようですが・・・
    ポアンカレ予想とはいかなる問題なのか!?それを普通の人にも分かりやすく(・・といっても私のレベルになるとそれさえも遙か彼方です)示すためにテレビでもそうでしたが、この本でも色々な工夫がこらされて表現されています。それはどうやら宇宙の形と関係しているとか・・・ 「もしも誰かが宇宙にロープを張り巡らせて、そのロープを回収できたら宇宙の形は丸いといえる」それを数学で証明する作業というのですから、全く数学者というひとたちは途方もないことを考えるとしかいえません。 「数学語」の全く理解不可能な私には、なんのこっちゃ?の問題の核心部分ですが、それでもこの本の内容にある100年間の挑戦者たちの文字通りの格闘の足跡の一部が伝わってきました。
    「フェルマーの最終定理」を読んだ時も思ったのですが、自分の頭の中にあるだけの壮大なロマンを追うことに夢中になれるのは素晴らしいことだし、その人にとっては至極幸せなことなのでしょうね

  • 数学のことは、詳しくは分からない。
    けれど、数学者っていうのがどんなひとたちなのかは少しだけ分かったような気がする。
    そんな一冊。

    もう少し数学的な内容があってもよかったかなあ。証明自体が難解で、専門家でない人が書いているというのもあるだろうけどね。

    数学と、数学に情熱をかける人たちの織り成す摩訶不思議な世界を垣間見た感じ。
    100%理解することはできないかもしれないけれど、でも、少しでも多くを分かりたいという気持ちがどこかにあるのだと思う。

  • 数学者という立場、それを職業とすることは
    現実としてどういうことなのか。
    そして世界の謎に挑んだ天才には
    現代社会において、どのような居場所があったのだろうか。

    理想と現実のはざまに落ち込んだかのような
    とある天才数学者の物語。

  • タイトルに惹かれ、本屋にて購入。

    ペレリマンという数学者が、超難問と言われた「ポアンカレ予想」を
    証明してみせたにも拘わらず、なぜフェールズ賞を辞退したのか。

    その謎を解明するために、様々な数学者のインタビューを行い、
    ペレリマンとは、そして数学者とはどういう人間なのかを探っていく。

    物理学者や科学者は、(どちらかというと)現実の世界に目を向け、
    現実に起こっている事象の解明などを主な目的としている。
    それに対して数学者は、現実のその裏にある真理を、
    いかに人の目に見えるようにするか、に注力しているように見えた。

    そしてその論理の道筋に、美しさを感じる「感性」を持っている。

    孤独に、自分が信じた道を果てしなく突き進んでいく。
    こういう人(達)を、私は素直にカッコいいと感じた。

  • ポアンカレ予想を解いて1億円を辞退した変わった人のお話。
    才能の塊みたいな人が、その才能を全てなげうってといたって感じ、何かに似てるなぁと思ったら、ハンターハンターでした。
    フェルマーの最終定理・リーマン予想あたりのシリーズ?本も読んでみたい。

  • NHKが取り上げる題材にしては異様なほどに数学用語を登場させているが、普通の読者を門前払いせずにうまいレベルでとどめているし、概念を説明する「たとえ」もとてもわかりやすい。。トポロジーの考え方を宇宙論と絡め、ポアンカレ予想を解決したペレリマンへの人物像へと迫るため、この分野の代表的な数学者達へどんどんインタビューしていくところが素晴らしい。「マネー革命」に並ぶNHKスペシャルの傑作だと思う。

  • ポアンカレ予想の解決を取り上げたNHKスペシャル「100年の難問はなぜ解けたのか」をもとにした本.番組は見た記憶がある.
    世界中でいろいろな数学者から話を聞いていて,贅沢な作りである.著者のポアンカレ予想を理解しようという努力はすばらしいが,やはりちょっと大変.題材の未消化が目立つ.それでも番組はできて,本もできる.

  • ポアンカレ予想が解決されたというインパクトは、フェルマーの最終定理が証明されたのと同等の衝撃的なインパクトがあった。

    もちろん、私は数学の門外漢であるがゆえに、ポアンカレ予想もフェルマーの最終定理もその深淵を知る術がない。ただ、多くの偉大な数学者が挑み続けて挫折したという壮大なドラマが、証明に至る困難さを物語っている。      

    さて、フェルマーの最終定理に至る道のりには、様々なドラマがあった。そして、そこには日本人数学者たちの貢献が光る。岩沢理論を始め、何と言ってモジュラーと楕円曲線に橋渡しをした谷山・志村予想。そして、若くして自ら命を絶った谷山と、その後を引き継いだ志村の友情など、多くの逸話が残されている。    

    一方で、ポアンカレ予想も、フェルマーの最終定理に負けず劣らずの逸話を数多く残している。第一、証明に成功したペレルマンがすべての名誉を投げ捨てて世捨て人同様の生活に籠ってしまったこと自体が驚きだ。   

    本書では、残念ながら最後までペレルマンに出会う機会はなかった。ただ、ペレルマンが次なる大問題の解決に向けて研究に入ったことが示唆されている。

  • 所々理解しにくいところがありますが、まあわかりやすいです。
    結局宇宙の形は何なのか好奇心をそそられますね。
    球体以外は想像しにくいですが。
    数学と物理学の融合、エキサイティングでした。

  • ポアンカレ予想の1世紀に渡る数学者の闘い、大変興味深く読了。小川洋子氏、東野圭吾氏が其々描いた数学者像に納得。

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