100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101351667

作品紹介・あらすじ

1世紀にわたり、幾多の挑戦者を退け続けた超難問、ポアンカレ予想が解かれた。証明したロシア人に対して、「数学界のノーベル賞」フィールズ賞が贈られ、偉業は大きく祝福されるはずだったが-。受賞を辞退して姿を消し、100万ドルの賞金さえも受け取らなかった天才は、栄光の陰で何を見たのか。数学者たちを悩ませた難問の実像に迫る。大反響を呼んだ傑作ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • ペレリマン先生まだ若いしなんか突然スゲーこと発表しそう。

  • 書き方が上手いのだろうか、面白かった。才能と性格の関係について考えさせられた。

  • 100年の難問はなぜ解けたのか
     天才数学者の光と影


    新潮文庫 か-60-1.

    2011年月11日 発行

    著者:春日真人(かすが まさひと)
    発行所:株式会社新潮社

    978-4-10-135166-7

  • 20190824
    ポアンカレ予想を見事に解決したペレリマン博士の生き方を追うとともに、現代数学=トポロジーを切り開いたポアンカレ予想にまつわる数学話も豊富な著書。
    ペレリマン博士はポアンカレ予想に人生を注ぎ、他者との関わりを絶った。何かに挑むという姿勢は、何かを切り捨てなくてはならないという生き様を示している。自分がそこまで極端ではないものの、人生の中で追求したいものがあるかどうか、博士たちの生き様を見ていると自問したくなる。色々な生き方があると思うが、共通してあるものは、自分が解決しなくてはという生き甲斐と、それを広めたいという愛情であるように感じた。
    また学問の話では、ペレリマン博士がポアンカレ予想に使用したのは物理学のエントロピーの議論を援用したものであるという。証明するのに数年かかるというのだから、とてつもなく専門的になっている。色々な定理の中身が分かるわけではないが、定理・学説が述べるエッセンスを理解し、思考法に応用したいという心構えは無くさずにいたい。

    //MEMO//
    学生気分を引きずって学問的なものを。数学ノンフィクションはフィクションより奇なり。とても面白い物語を期待している。

    ポアンカレ予想
    =単連結な三次元閉多様体は三次元球面と同相である
    π1(M^3)=0⇒M^3=S^3
    宇宙が丸いということを仮説。

    トポロジー
    位相幾何学
    穴があるかどうか、ぐにゃぐにゃにした時の形に注目

  • ポアンカレ予想はどのようにして解かれたか。

     ロシア人数学者であるペレリマンにより解かれたポアンカレ予想。「単連結な3次元閉多様体は3次元球面と同相である。」この段階で意味がわからない。

     この世には〇〇語と呼ばれる言語のほか、もう一つ「数学語」があるという。数学者に自明なことでも門外漢にとっては何を言っているのかわからない。

     ペレリマンはその後数学者の最高の栄誉であるフィールズ賞の受賞とクレイ研究所の出していた賞金の受領を拒否。ほとんど人と会わない生活に入った。

     ポアンカレ予想を解いた、とペレリマンが連続講義をアメリカで行った。その段階では受講した名だたる数学者たちにも理解できず、3チーム計6名の数学者による一年半の検証を経てようやくその正しさが立証されたという。

     人智を超えた世界。

     ペレリマンの業績を何とかわかりやすく言うと、100m、砲丸投げ、走り幅跳び、5000m走でそれぞれ金メダルを取るようなもの、と。

     この数学者だけがわかる世界を視聴者にわかる形で番組にしたい、とら思ったプロデューサーもすごい。

  • 978-4-10-135166-7 253p 2012.6.10 4刷

  • 「単連結な三次元閉多様体は、三次元球面と位相同型である」

    さっぱり分からぬ。大体、私は算数でつまずいているので数学
    なんかもっと分からない。

    高校時代の数学のテストなんて、50点以上を取ったことがない。
    あ、なんの自慢にもならんな。

    それでも100年も解けなかった難問に答えが出たと聞いたら、
    興味は湧くのである。しかもそれが私の愛するロシア絡みと
    なれば尚更である。

    という訳で、冒頭のポアンカレ予想なのだ。何人もの数学者が
    挑み、敗れ続けた難問を解いたのがロシアの数学者グリゴリー・
    ペレルマン(本書ではぺりルマン表記)。

    しかし、彼はポアンカレ予想に懸けられた懸賞金もフィールズ賞の
    受賞も辞退したばかりか、務めていた研究も辞め、姿を消した。

    何故、彼は難問を解明したのちに姿を消したのか。ここが一番興味
    をそそられることなのだが、本書はペレルマンその人の追うことも
    しているが、紙数の多くが割かれているのは数学者たちがいかに
    ポアンカレ予想と格闘して来たか…だった。

    なので、私にはちょっと肩透かし。それでも、数学門外漢でも理解
    しやすいように書かれているのでざっくりと理解するにはいいかも。
    NHKの番組の書籍化なので、番組を見ていれば一層に理解が深まる
    かもしれない。それでも、ポアンカレ予想は理解出来てないが。

    でもね、やはりもう少しペレルマンの半生にも焦点を当てて欲しい
    と思うのよ。ソ連時代に少年期を過ごしているのだし、ユダヤ系
    なのだから差別があったはずなんだもの。

    一応、テレビ番組としてペレルマン本人に接触しようと試みては
    いる。ペレルマンを知る数学者たちに彼に関してのエピソードも
    聞いている。だが、結局はペレルマンを追えてないのは残念。

    友人・知人との交流も断ち、雲隠れするように菅を見せなくなって
    しまったペレルマン。彼は今も孤独に数学の次なる難問に挑んで
    いるのかもしれないね。

    ロシアの森でキノコ狩りをしながら。

  • まずはテレビのプログラムとしては賛同も得にくいこのようなトピックスに挑戦された著者に脱帽です。
    テレビ放送は見ていないのですが、ペレリマン博士という特異点に対しては今回のようなアプローチしかできず、しかしながら結果的にとても魅力のある作品・取り組みになったのではないでしょうか。

    ふつうの他人だって本当に何を考えているかわからないですし、それがポアンカレ予想を解決した人となると本人にしか見えない世界があり、そして独り深淵で何かに触れたのでしょう。
    そういった点に少しでも想像を広げられた本作に、ペレリマン博士に感謝です。

  • ペレリマンが証明した内容を解説するわけではなく(仮に解説されても理解できるはずもない)、ポワンカレ予想が解かれるまでに数学界で起きたことのドキュメントと云うべきか。

    ひとりの超絶的な天才と、引き立て役に回った数学者たち。あるものは失意のままに病死し、またあるものは諦めて研究分野を変える。人間ドラマとしても楽しめる。

    ペレリマンが「現在、別の関心事がある」と述べていると、あとがきで紹介されている部分で、ぞくっと鳥肌が立った。

    本作はドキュメンタリーとしてすぐれているので、NHKスペシャルの「単なる文字起こし」とは、誤解しないほうが良いと思う。

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