猫泥棒と木曜日のキッチン (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101351827

作品紹介・あらすじ

お母さんが家出した、わたしたちを置いて。お父さんはずっと前にいなくなった。けれどもわたしは大丈夫。弟のコウちゃんと二人で生きていく。友だちの健一君だって応援してくれる。そんなある日、わたしは道ばたで「絶望」に出会ってしまった-。失くした希望を取り戻すために、拒まれた願いを実現させるために、高校生・みずきの戦いと冒険が始まる。生きることへの励ましに満ちた物語。

感想・レビュー・書評

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  • 子供を置いて家出した母親。
    父親違いの年の離れた弟と17歳のみずき。
    足の悪い健一との三人のニセモノ家族。
    料理の描写が美味しそうで良かった。
    仔猫が亡くなった日の夜に、身体を重ねたふたりの気持ちがなんとなくわかるなぁ。

  • 他人からみたらやるせないことでも、当の本人は淡々と受け止めていて、でもそれは生きてく上でそうやって消化していくしか無かったのかもしれないし、古い心がぐしゃっとされたあと新しい心が建て直された気分

  • ハウスメーカーを巡っていて、本がたくさんあるモデルハウスで見つけた一冊でした。
    そんな出合いだったので、作者も内容も予備知識はなく、ただタイトルに惹かれ、ほんわかした物語を想像していた私には強烈なパンチみたいな物語でした。

    まず、動物を飼っている私には辛い描写がでてきて、ここで挫折しかけました。

    全体的には、なんというか、結局母親が帰ってきたからこその物語だな、という感じです。
    結局、母親に捨てられたままでは、どれだけみずきが命の大切さや、自分の中のものをきちんと消化して成長できても、残される弟や、その後の生活に、どうしたって暗い予感が付き纏うと思う。

    健一との体の関係についても、みずきサイドの心情は一切なく、あえて書かないことによって物語をより、ライトに、暗くなりすぎないようにしているのかな?という印象。ただ、17歳の女の子にとって、猫が死んでしまうのと同じくらい大きな出来事だと思うのに、一言も触れないというのも違和感がありました。

  • 作家さんの名前と本のタイトルに惹かれて手に取った1冊。

    物語全体を流れる穏やかな雰囲気は大好きなのに、お墓や猫の辛い描写が耐えられず…。
    他の作品も読んでみたい。

  • ◆猫の死を通して描かれる世界とは-◆
    「お母さんが家出した」。本作はこんな書き出しで始まります。高校生のみずきは、失踪した両親に代わり弟の面倒を見ながら家事をこなす日々を送っています。そんなある日、みずきは交差点で猫の死体を発見します。それから頻繁に猫の死体を見かけるようになり…。色々なことを諦めて生きてきた主人公が、猫の死をきっかけに自分の人生と向き合い、そして乗り越えていく物語。残酷な世界で優しく生きたいと思わせてくれる作品です。


  • 現実をすんなり受け入れて、真っ直ぐに生きていくのは力がいる。
    さして大きな事件が起こるわけではない。日常を生き抜く姿を描く。

  • 主人公の17才女子高生のみずきのお母さんが、ある日家出します。みずきのお父さんは2才の時に突然病死し、再婚相手の2番目のお父さんはロクでもない暴力を振るう男ですでに家を出て、5才で2番目のお父さんの子供のコウちゃんと2人で暮らす事になります。1番目のお父さんが残してくれた家とお母さんの貯金と、元々あまり家事をしなかったお母さんの代わりに家事をしていたので、みずきは困りはしません。知り合ったばかりのお友達の健一君も応援してくれています。そんなある日、子猫の悲しい姿に出会います。その現実にみずきと健一君は立ち向かっていきます。
    生きるという事や命について色々考えさせられる、そして前向きになれる一冊と思います。このような境遇にもかかわらず、みずきが不幸でなく、暗くもなく、ある意味あっけらかんと生きている姿に、色々感じさせます。

  • みずきは小学生の弟と二人暮らし、最初の父は死に、次の父は家出、母は最近家出して不在。そんな日常のお話し。大変な日常だけど楽しんで暮らしている感じが良かった。そうやって何とかなっていくんだと希望が持てるようなお話だった。

  • ある日、お母さんがいなくなった
    こんな一文からはじまるにもかかわらず、淡々と生活していく主人公のみずき。
    でも心のなかではいろんな感情がうごめいていたりする。
    猫に自分を重ねているのか、猫に希望を託しているのか。
    切ないけれど、どこか共感できる作品。

  • ☆4
    ―――――――――――――――――――――――――――――
    お母さんが家出した。わたしと弟のコウちゃんを置いて。だけど、友達の健一くんだって応援してくれてるし、私は大丈夫―。そんなある日、高校生みずきは道端で「絶望」に出会う。
    ―――――――――――――――――――――――――――――
    身勝手に、動物を、あんなふうに扱うおばさんにめちゃくちゃ腹が立った。フィクションだけど。フィクションじゃないのかも。みずきがんばれ。

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