名前で呼ばれたこともなかったから 奈良少年刑務所詩集 (新潮文庫)

  • 新潮社
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感想 : 8
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  • 本 ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101352428

作品紹介・あらすじ

彼らはみな、加害者である前に被害者であった――。貧困、育児放棄、虐待、発達障害によるいじめ、厳しすぎるしつけ。過酷な環境で過ごし、犯罪に走った少年たち。そんな彼らの固く閉ざされた心の扉が「物語の教室」を通して少しずつ開かれ、心の内に秘めた思いが詩となって溢れ出す。受刑者に寄り添い向き合ってきた作家が編んだ奇跡の詩集、待望の第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 圧倒的に苦しい
    これを読むことが彼らを救うことに、なるのかは分からない。彼らの向こうには彼らの犯したことによる被害者もいる。

    でも彼らの絞り出した言葉を誰かれが読んで受け止める意味はあると思う
    胸が締め付けられるけど、目を逸らしちゃいけないような、そんな本

  • 2もとても良かった。みんなぼちぼちでいいんだよ。

  • 自分がいかに、固定概念と世間の常識にがんじからめで、それを相手にも強要してるかと思わされる作品。

    素直で心がこもっている言葉の集まり。

    折に触れ読み返すべき。

  • 奈良少年刑務所の社会性涵養プログラムの中で紡がれた、少年たちの詩集。

    言葉として表現されたものの向こう側にある情景を想像して、胸が締め付けられます。

    罪を犯すことのない人生を、彼らが選べていたのなら。

    少年たちの置かれていた過酷な現実が詩の向こう側に浮かび、言葉にならない悲しみを感じます。

  • 心に鎧をまとった青少年の詩を読んで、彼らが特別な存在ではないと感じた。私も彼らと一緒。彼らは私と一緒。
    人とのつながり、愛を求めている。ただそれだけなのだ。

    人は、本音を吐いてくれると心の距離が縮まったと感じる。人が本音を吐くには相手が安心できる相手かどうか見定めなければならない。心を閉ざしている人は、本音を吐く経験が無かったのだ。だから本音を吐露できずに、心のモヤモヤを解消できずに閉塞感に苛まれて、生きづらさを感じてしまう。彼らにも、私にも安心できる居場所、存在が早く見つかるといいな。

  • 詩を通して見える彼らの気持ちに寄り添いたい気持ちもあるけど、被害者のことを思うと複雑。
    どうかこのプログラムを受けた子たちが再犯を起こしていませんように。

  • 何度も繰り返し読みながら想像しました。被害者であったら…もし、罪を犯してしまったら…。

  • 奈良少年刑務所詩集第二弾
    ここにあるのは封じ込めていた愛への渇望。
    ☆愛を欲しい自分 愛を与えたい自分に 気がついたから これからは 「与えてもらえる人になるため 人に与えていきたい」って思う
    ☆刑務所の監房の扉の内側にはドアノブがありません。自分で扉を開けるということが一切ないからです。
    ☆詩の力 詩とは、心の襟を正さなければ書けない神聖な言葉。自分の魂の本質がバレてしまいそうな言葉だ。詩は心の結晶。だからこそ受け止めてもらったという実感が強くなるのでは。
    ☆根源的自信=基本的自尊感情
    ☆子どもは何を教えられたかではなく、どう接されたかから学ぶ
    ☆ぼくは 家族の愛を知らずに育った だから 家族の話を聞くと いらだちしか湧かなかった でも それはうらやましかったからだ と いまは 素直に思える

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著者プロフィール

作家。1955年東京都生まれ。1986年に毎日童話新人賞、2005年に泉鏡花文学賞を受賞。1990年代、衛星放送ラジオ「セント・ギガ」に600編以上の詩を提供。幼年童話から絵本・純文学・ノンフィクションまで幅広く執筆。2006年より奈良市在住。

「2024年 『ぼくが子どものころ戦争があった 「いくさの少年期」より』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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