いとみち (新潮文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101353623

作品紹介・あらすじ

相馬いと。青森の高校に通う十六歳。人見知りを直すため、思い切ってはじめたアルバイトは、なんとメイドカフェ。津軽訛りのせいで挨拶も上手に言えず、ドジばかりのいとだったが、シングルマザーの幸子やお調子者の智美ら先輩に鍛えられ、少しずつ前進していく。なのに! メイドカフェに閉店の危機が――。初々しさ炸裂、誰もが応援したくなる最高にキュートなヒロインの登場です。

感想・レビュー・書評

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  •  津軽弁を駆使するアイドルといえば、王林ちゃんですね。訛りを〝売り〟にすることは賛否が割れるところでしょうが、彼女は単に素を晒している気がして、好感をもっています(個人の感想です)。

     話が逸れましたが、「皆さ〜ん、津軽弁を駆使する〝推し〟にしたい〝いと〟ちゃんの登場で〜す!」(2011年作品で今更遅いのですが‥)

     本書は、青森市の「津軽メイド珈琲店」でバイトを始めた高1女子・相馬いとの成長物語です。
     青森のローカル線の車窓風景、豊かな自然、満載の津軽弁、人同士のつながりの温かさがふんだんに描写され、特色あるいい味を出しているように思います。
     これらに加え、メイド喫茶&津軽三味線が重要なキーワードであり、スパイスが効いています。
     読み始めこそ、いとの「お、おがえりなさいませ、ごスずん様」などと、濃厚過ぎる津軽弁にワザとらしさを感じましたが、成育歴もあり深刻な悩みであることが明かされ、親近感と愛おしさが湧き上がり、世のオジ様たちは〝推し〟にしたくなりますよ、絶対!
     素朴で素直でも悩み多き思春期のいとが、祖母や父の愛情を知り、バイト仲間や友人との関わりの中で、コンプレックスを克服し、お店の役に立ちたいという自己有用感が、前向きな姿勢に変容させるんですね。いいなぁ‥。
     津軽弁と津軽三味線を否定せず、自分の中に取り込み、しっかり向き合うことで個性が輝いていきます。思った以上に深みがあるなぁ。うん、うん。

     本書のタイトル「いとみち」とは「糸道」であり、三味線を弾く際に指の爪先にできる糸の通り道となる溝のことで、三味線を弾くには、なくてはならないモノだそうな‥。
     本書の続編、「二の糸」「三の糸」もあるようで、いとの更なる成長が見られるようで、気になります。

    • kuma0504さん
      こんにちは♪
      映画良かったですよ。
      もうもう何処かで津軽娘を拾ってきたのか?と思うくらい、ズブの素人っぽい佇まいの女優さんで、かつ最後は名人...
      こんにちは♪
      映画良かったですよ。
      もうもう何処かで津軽娘を拾ってきたのか?と思うくらい、ズブの素人っぽい佇まいの女優さんで、かつ最後は名人級ではないけどちゃんと「凄い」津軽三味線をやるし、映画ならではの体験でした。
      2023/01/06
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      kuma0504さん、こんにちは!
      あー、映画観られたんですね、いいなぁ‥。
      DVDレンタルしてこようかな。とーっても興味があります。情報提...
      kuma0504さん、こんにちは!
      あー、映画観られたんですね、いいなぁ‥。
      DVDレンタルしてこようかな。とーっても興味があります。情報提供ありがとうございました♪
      2023/01/06
  • これまで自分に自信がなく、常にオドオドしている相馬いと。青森県の高校入学を機にシャイな自分を変えるべく土日をカフェでアルバイトする、しかもメイドカフェ。失敗ばかりで先輩のお姉さま方から弄られる始末でさらにオドオド。オーナーが薬事法違反で逮捕される試練を経験する。メイドカフェの客、店の全員でメイドカフェの再建に取り組む。最後の仕上げが、いとの津軽三味線のロックバージョン。いとは過去に津軽三味線特別賞を受賞経験を有する。津軽三味線の肝心要は「糸」。いとの名前の由来に後押しされ、全力で弾くロックは涙もの!

  • 三味線を弾く場面での感謝する回想はなかなか良いです。ページ捲るとハツエ五十音出てて笑った。カプチーノの発音完璧も、翻訳してまた笑った。三味線壊れても耕一とハツエとグッジョブ。税理士の経営学に津軽三味線にキチンとリサーチする結果だと思う素敵でした 青木さん山本さんと同級生に家族の様な従業員にしっかり残りました でラストが最高だったって事 あとは津軽弁は本当に奥深いです

  • 主人公がかわいくて
    ドジなところもまた魅力的で
    周囲の人に見守られて成長していく姿がよかった

    嫌な人が出てこない
    後味のよい作品

  • 不器用だけど前進する“じょっぱり”娘を応援したくなる。映画「いとみち」 | GQ Japan
    https://www.gqjapan.jp/culture/article/20210621-itomichi

    映画『いとみち』公式サイト
    http://itomichi.com/

    越谷オサム 『いとみち』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/135362/

  • 主人公に魅力があり、展開が楽しみにになる内容だった
    主人公の祖母が、また良い味というか、予想の斜め上をいくような味があった
    主人公の成長、周囲の人物との関連、舞台となる店、市町の描写は丁寧で良かった
    続きを読んでみよう

  • 人見知りでシャイな主人公「いと」が人生を掛けて初アルバイトを選んだのがメイド喫茶

    しかも、メイド喫茶がある場所は青森の津軽!
    田舎ならではの偏見と津軽弁が飛び交う店内、地域密着のメイド喫茶
    秘密兵器として投入した「いと」は初々しさと標準語が話せなさに早くもファンクラブ設立!
    しかし、親&親友に秘密にしていたバイト先がばれてしまった・・・さぁどう乗り越えるのか

    突然のオーナー逮捕⁉今後のメイド喫茶の行方は如何に。。

    巨漢のオーナー、しっかり者の店長、シングルマザーでアップルパイの達人幸子、お調子者の博美

    派手さはないですが物語が面白い。。

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  • 相馬いと。青森の高校に通う16歳。人見知りを直すため、思い切ってはじめたアルバイトは、なんとメイドカフェ。津軽訛りのせいで挨拶も上手に言えず、ドジばかりのいとだったが、シングルマザーの幸子やお調子者の智美ら先輩に鍛えられ、少しずつ前進していく。なのに!メイドカフェに閉店の危機が~~~。初々しさ炸裂、誰もが応援したくなる最高にキュートなヒロインの登場です。

  • なかなかにして、面白い作品です!

    最初からナマリ全開のスタートに、おっちゃんは驚きましたが、すぐさまフォローの一文があるから、ちゃんと読み切りました。

    すべてが奇想天外な組み合わせ、それでも同じ国での出来事。表現の奥深さ、その地方ならではとはいえ、楽しませてもらいました。

    とはいえ、

    「いとっち、かに!」(p260)

    緊迫してるシーンで、これは…なかなか馴染むに時間が…

  • 面白かった。
    いとちゃんがとても良い子で、メイドカフェで働く人達もお客さんもみな良い。
    登場人物がみな良い人だと、たまにご都合主義の残念な物になってしまう場合もあるのだけれど、この本はイヤらしさがまるでなく素直に楽しく気持ちよく読めて笑ったり泣きそうになったりして、楽しく読めた。

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。2004年、『ボーナス・トラック』で第16回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、デビュー。著書に『階段途中のビッグ・ノイズ』『いとみち』『陽だまりの彼女』等がある。

「2021年 『まれびとパレード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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