シズコさん (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 667
レビュー : 103
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101354156

感想・レビュー・書評

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  • 幼児だった戦中から晩年の21世紀まで、母親・シズコさんと作者の関係をメインにおいた私小説(?)。一般的なイメージの母子の愛、みたいな甘い雰囲気は全くありません。
    家族同士の噛み合わなさを、ユーモアでくるみながら淡々と描いています。あまねく孤独に埋まり続ける世界があって、その中に救いがあるような作品でした。

  • 佐野洋子さんの「百万回生きたねこ」は未だに涙ぐんでしまうのですが、前に読んだエッセイは豪快ですごくイメージが違うなあと思ったものでした。

    この本では母の立場と娘の立場、両方の立場からいろいろと思いを巡らせた。佐野さんは素直じゃないんでしょうね。憎まれ口を叩きながら、なんだかんだいって責任もってお母さんのお世話をしてしまう。とても損しているなあと思うけど、それが長女なんだよなー。
    ところどころ共感を誘い、切なくなりました。

  • 佐野洋子のお母様の娘側から書いたエッセイ。鋭いことを一言で表す文体は、絵本だけではなくエッセイでもちゃんと顕在。母と娘の関係って男性が想像するよりずっとシビアで切なくてめんどくさいってことを本当に上手に表現している。
    作家の藤原ていといい、佐野シズコといい、満州引上げ組の女性はとてもたくましいものを感じる。今だったら治せる高熱もあの時代では治すことができず、死んでいくことを見つめることしかできなかった母親の気持ちは壮絶な痛みだったのだろうと理解できる。
    ご本人も去年鬼籍に入ってしまい、もうこんなエッセイが読めなくなってしまったんだなぁと思うと、ちょっとさびしい。
    最後、お互いを許すことができてちょっぴり救われた結末になっているのがうれしい。

  • 佐野さんと母親の愛憎、または無関心。
    情と責任感はあって、いわゆる良い親子の愛情ではなくて、という面では似てる母子だとも思う。
    佐野さんのようにこれだけの肉親への嫌悪をこれだけ客観視して、終いに許し許されたと感じられるようになる人がいるってのは、希望がわく。
    流れがよく分からない中盤まで煮詰まるように苦しかった。
    それはそれとしてこの母親の家事力の高さは憧れるレベルだなあ。この人のハンドメイドブログとかあったら通いたいもの。

  • 『100万回生きたねこ』の作者が綴る、母との愛憎。家族の物語としてのみならず、戦前、戦後を生きたある一家の生きざまが手に取るように伝わる。
    筆圧逞しくぐいぐい読んでしまう。母との関係に悩む全ての女性にオススメ。

  • 母娘のエッセイということで以前から興味を持っていたもの。生協で企画があったので、ようやく読んでみました。
    佐野洋子のお母さんのシズコさん。東大卒のご主人と恋愛結婚し、7人の子どもを産み(うち3人は早くに亡くしている)、いつも身綺麗にし、家事能力にすぐれ、しかし、身内に対して感謝の気持ちを表すことを決してしない。傍目には素敵な人のように見えると思うのですけどね。娘からの辛辣な視線から見ればこうなるのですね(もちろん、本人にもそれだけ問題があるのでしょうが)。
    繰り返しが多く、効果的に内容を伝えているとは思わない個所も多かったけど、母に対する思いっていうのは、こういう表現方法になっちゃうんだろうなあ、と思いました。どこから始めていいのか分からず、何度も同じ内容をつぶやいちゃう感じ。でも、実際そんなんだろう、と。
    母と娘の関係は、百あれば百通りなんだろうなあ、と思いました。最も緊密で、互いを選べない関係だからこそ、いくらでも悪くなるのかも、と思います。あまり表立って語られないことではありますが。

  • 4歳のときにつなごうとした手を舌打ちとともに振り払われて以来、母をエライとは思えども決して好きになれず嫌って生きてきた佐野さん。生まれた時代がすごかった、というのはあれど、一番身近な同性で一番容赦なく、歯に衣も着せないし腹の底まで見透かされるしというコワイ関係の母子の、何十年にも渡るモウレツでセキララな関係をこれでもかと正直に綴ったものすごいエッセイ。でもとてもカラリとさらさらしていて読後感は爽やか。年をとることは悪いことばかりでは無く年をとらないと辿りつけない境地があるのだなぁ、などとも思ったりもしました。

  • 110212

  • 実は私は母ととても気が合うというわけではない。母でなかったら友達にならなかったと思う。でも、そう言う複雑な母娘関係を持つ人もいるんだなと思った。読んでいてとても気持ちが揺さぶられたし、癒される気がしたと同時に、自分の老後についても思いをはせた本。

  • これも「おすすめ文庫王国」を見て買ってみた。昨年亡くなった佐野洋子。呆けた母を看取って暮らす生活の中で思い起こす昔々の母との軋轢。最近、近しい人には母親が危ないという人が増えてきて、その中でそれぞれの親との対峙の仕方はまた様々で、親子の数だけ色んな関係があるのだと、そこには他人が口を挟む余地はないのだと実感する。『嫌われて長生きしたくはなけれども、かわいがられて死ぬよりはまし』 ズボズボと嵌って行く泥沼ごとくの愛憎劇をこれ程までにあっけらかんと表現できる作者の筆力はなかなか見事。そして、そう思って読んでいた終盤、聞いた話が繰り返されて、これが作者自身の呆けの表現に見えて、なかなか怖い。『人生って気が付いた時はいつも間に合わなくなっているのだ』…ただ、私にとってはこの本も、こんな親子もあるんだと入り込むことの出来ない他人の世界で、なかなか頁を繰る手は進まなかったもので。

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著者プロフィール

1938年、北京生まれ。絵本作家、エッセイスト。おもな著作に、絵本『100万回生きたねこ』『わたしのぼうし』、童話『わたしが妹だったとき』、エッセイ『神も仏もありませぬ』など。2010年没。

「2019年 『はればれ、お寿司 おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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