ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.50
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本棚登録 : 749
レビュー : 106
  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101354415

作品紹介・あらすじ

早稲田大学を出てアニメーション制作会社へ入ったごく普通の青年がいた。駆け出しながら人気アニメ作品の演出にも携わるようになったが、24歳のある日を境に、仕事場では突飛な大言壮語をし、新聞記事を勝手に自分宛のメッセージと感じ、また盗聴されている、毒を盛られるといった妄想を抱き始め…。四半世紀に亘る病の経過を患者本人が綴る稀有な闘病記にして、一つの青春記。

感想・レビュー・書評

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  • 統合失調症の方の脳みそのフル回転ぶりが 見事に文章化されているんだと思う。あとがきで年表を知り それも興味深かった。最後の望月氏の書評が本文と読み比べても、なんとも辛い。

  • 大学図書館から読み始め、帰りのバスでも読んでいて、著者が初めて妄想に取りつかれ発狂(覚醒?)する部分を、駅前のマクドナルドで読んだ時には、もう恐ろしくてたまらなかった。
    正気と狂気の境目が、広い帯になっていて、気づいたら文章のなかで著者は統合失調症の症状に陥っている。そのふくらんで暴走し始めた妄想が、それを読んでいる僕にも浸食していくのを感じ、車酔いのような錯覚に陥った。まさに「世界がこう見えていた」というのを追体験してるような感じ。そのせいで家までの帰り道は、なんだかいつもと違う道のようだった。
    現実と妄想の境目が自分の中でかなり揺らぐ。
    外出中に出くわす、思わず目をそむけてしまうような人たちと、自分たちは、案外そう離れてはいないのだ、と気づかされた。

  • この本の中で印象に残った言葉として「頭がおかしくなっていることを、おかしくなっている頭で理解する事の困難さを分かってもらえるだろうか」という切実な訴えがある。このように平時では非常に客観的に物事を捉えられているのがまず凄いと感じたが、その分症状が強く出た後静まってからが辛いだろうなとも思う。しかしそんな中でも細かく日記をつけ、最終的に本として出版できるまでにまとめたのは凄い。しかも文章がとても読みやすくすらすら読んでしまえたことにはとても驚いた。

  • 言葉を自分でなぞっているにも関わらず、目の前の文章は時々自分から離れていくような感覚になった。文の意味が理解できないのではなく、筆者のいる領域に自分はいないのだと思った。自分にとっての現実と筆者にとっての真実、現実が絶妙に入り混じっていて「この文章に書かれている世界」にずっといることは困難だと感じた。その感覚は精神障害のある人々への感じ方を少し変えたように思う。数年経ったらまた読み返すつもりだ。

  • 私はこちら側だなぁ、という気持ちでの☆4つ。
    そちら側ではないという否定的な意味でも、そちら側には行けないという諦観的な意味でもなく、ただ私は“たまたま”こちら側にいるという意味での。

    特に再出発の章が辛く、ひどく虚ろで穏やかな気分の落ち込みを感じている。
    精神が弱い人間は、こういう本を読むべきではないし、ひっぱられるような人に会ったり、情報を得たりするべきではないのだよな、本来。
    ある人を投影しつつ読んでしまったため、余計に迫ってくるものがあったのかもしれない。
    その人は、「君に世界がそういう風に見えるんだったら、この本を読んでみるといいよ」といって薦めてくれたのだけど。

    もう少し寝かせて、書き直そう。

  • 正常と異常の境目ってどこだ?
    統合失調症でありながら、ここまで冷静に自分のことを文章にできるなんて。まるで自分がこれから狂っていくようで、読み進むのが怖かった。
    この人の言ってることは、宗教家の発言ではないか。宗教にはしらなかったのはなぜだろう。理性が強すぎるのだろうか。生まれた時代が違えばすごくえらい人になれたかもしれない。
    脳は自分を守るために、意識を解放しないように制限している、という話はなかなか興味深い。
    ふつうの人は、理想と現実を適当に折り合いを付けて暮らしてる。折り合いの付け方によって、凡人、変人、狂人となるのだろう。スティーブジョブズはなんとか変人レベルで折り合いを付けられたのだろう。狂っていようが仕事がちゃんとできれば良い、という話があったが、そういうことなんだろうか。
    自分も状況次第では十分に精神病になり得ることが分かった。

  • あらゆるものから自分あてのメッセージを読み取る著者の異様さは、常人の理解を超えているように思えるが、常人とて夢の中では自分のおかしな判断をおかしいとは思わない。正常と異常の境目なんて薄い膜のようなもので、ある瞬間にパッと入れ替え可能な、そんなものなんだなぁと思ったりした。
    著者のような思考は、健常者でも意識しているかしていないかで、普通にある事だと思う。それを流せるのが健常者で、グルグルまわっちゃって、ハウリングしたような状態になるのが病気と診断される人なのではないか。
    統合失調症患者の思考をここまで言語化出来たものを読んだのは初めてで、非常に面白かった。

  • 現実と妄想の区別がつかなくなる恐怖。やはりこれは現実だと思わないと自分の中で処理できていないのかな。電波とか指令とか言い出すと危ないと聞いたことがあるが,この本のなかにも出てきてやはりそうなのかなと思いながら読みました。

  • もし街や店などで精神病の人が発狂しているのを見かけたら、「危ない人」「痛い人」などよくない感想をだいたいの人が抱きます。

    実際、友人のバイト先で発狂し警察沙汰になった時、その子が「痛い人が来た」と言っていたのを覚えています。きっと、私もその場にいたら同じようなことを言ったかもしれません。

    でも、この本で発狂しない限りわからない、彼らが一生懸命生きている不安定で、恐怖と隣り合わせの世界が全部ではないですが見ることができました。
    そして、精神病について改めて考えることができました。

    すらすらと読める本ではないですが、
    精神科や精神病を患っている方の家族にはぜひ読んでもらいたい1冊だと思います。

  • 思ったより読み応えがあった。もっとあっさりしたものだと思っていた。酷くなっている時の思考はおかしいには違いないのだがそれほどでもなく、普通に読み込んでしまう部分もある。年齢が私と近く読んだ本やアニメの話などが身近で、さらに私も躁鬱を患っているので近況が気になってしまった。令和に入った今、お元気で過ごされているだろうか。また近況を発信していただけないだろうか……

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