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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784101355146
感想・レビュー・書評
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クライマックスは、2人の目の前で朽ち果てた草笛駅が再生するシーン。
僕はその前の、
突然、出現した蒸気機関車が廃線の線路上にいた2人に向かって邁進してきてそれを間一髪でかわす
その光景が頭に広がり圧倒された。
ここまで視覚に訴えてくる小説は初めて。
ストーリーは、ある日、鉄道好きの初老の男性が失踪し、彼を追って、年の離れた友人2人(牧村と菜月)が「まぼろしの廃線跡」を突き止め足を踏み入れる、というもの。
「ここではないどこかに、自分の本当の居場所がきっとある」その思いのせいで、今あるすべてのものを投げ打ってしまいそうな菜月の危うさがラストまでしっかり描写されているのも見事。
locomoco1967、いい小説だなこれ、ありがとう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
廃線跡をたどるのが趣味の青年と、鉄道マニアの老人。居酒屋での交流が中盤で急展開。
青年は、後に出会った「テツ子」の女性と消えた老人を追い、やがて忘れ去られた場所で、失われたものが甦るのを目の当たりにする。
「甦った」ものはファンタジックで綺麗、だけど哀しい。失われたはずのものが手に入るということは、現実を捨てることだから。
なんということもないお話だけれど、最後のファンタジーの部分が妙に心に残る。
前作「天使の歩廊」もなかなか良かった。これも、最後だけ「奇跡」がある。 -
ダイナミックな展開に圧倒されました。長い人生を経験してきた人とこれから未来に向かっていく人の全く相反する想い。どちらも美しく、どちらも真実。
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鉄道が好きな方におススメです。
本書の主人公は、廃線路巡りが趣味の牧村。鉄道マニアの平間と出会い、いつしか年代の垣根を越えて、信頼できる存在になっていました。そんな平間が「まぼろしの廃線跡」の話をした翌日から、姿を消してしまいます。平間のテツ友の菜月と共に、牧村は平間の行方を捜します。そして二人が辿り着いた「キリコノモリ」の正体とは何なのか・・・。
ファンタジー要素があるので、鉄道のロマンを楽しく想像できるかもしれません。私は読んでいて、少し怖くなりました。実家のすぐ横を電車が走っているので、夜中に1両だけ走る電車や、暗闇の中、車両内だけが異様に明るいのが怖くて怖くて。本書にも、少し怖い場面があるので、そんな記憶と重ね合わせてしまいました。
図書館スタッフ(学園前):トゥーティッキ
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帝塚山大学図書館OPAC
https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/740094 -
はたして『銀河鉄道の夜』へのオマージュなのだろうか……?忌まわしい記憶とともに抹消された「まぼろしの廃線跡」をめぐるパラレルワールド譚。ふだんこの手の小説に縁がないため、こうした設定が古いのか新しいのかはまったく判らず。
人の一生というのは鉄道に乗るのと似ている、と鉄オタの平間さんは語る。「どこへでも自由に行けるかのように見えて、じつはそれほど自由があるわけではない」。すすむべき線路は一本ではなく、ところどころに乗り換え駅もあるけれど、うっかりすると「目指しているのとは全くちがう場所へ連れていかれてしまう」のだ。そんな平間さんが、ある日、忽然と姿を消してしまう。そして若い友人である菜月さんと主人公であるぼくは、わずかな手がかりをもとに消えた平間さんを捜して「まぼろしの廃線跡」をめざすのだが……。
ラスト、主人公の抱く不安は、菜月さんへの愛情と表裏一体をなすものであり、その意味で、大切な誰かを愛するということはまた、そこから逃げることのできない一本のレールの上にあって不安とたたかい続けることでもあるのだろう。 -
知り合いになった鉄道仲間が、突如いなくなってしまった。
彼を探しているうちに知り合った、たくさんの人達。
彼らの知識を借りて、ようやくたどり着いて見たものは
とても不思議で恐ろしく素晴らしいもの。
ただ人を探しているだけ。
その過程でたくさんの人と出会っただけ…で終われば普通の話。
最後になるにつれ、不思議で奇妙で、とても澄んだ空気の中に
ひょっこり入り込んだような感じでした。
しかも最後の伝言板!
そこまでも、それまでも人柄がうかがい知れるものがありましたが
楽しそうに書いてある内容には、きちんとした警告。
それだけで、何だか嬉しくなってしまいました。
降りるか、そのままか。
究極の選択です。
あちらに本屋があれば、行ってしまうかも、しれません。
あちらに行くのが幸せか。
残って『幸せ』と思った所にいるべきか。
『準備』をしていったわけではないので
どちらを選択しても、何だか心が残りそうです。
むしろ自分に、あの時そうしたから、と
言い聞かせているようにも感じます。
正解、はないでしょうが、どちらが幸せだったのか…謎です。 -
突然消えてしまった老人を探して、廃線跡をたどる話。
「まぼろしの廃線跡」って出てくるから気になって一気に読み終えてしまった。ただの謎解きではなく、老人や主人公たちの人生等、考えさせられる内容だったけど、最後があっけなく終わって、若干消化不良な感じが残りました。
我が家のすぐ近くにもその昔、藤相鉄道(藤枝市大手~相良)という軽便が通っていたらしく、田んぼの形が当時の線路跡に沿った形になっていたり、150号線の富士見橋から軽便の橋の一部がいまだに残っていたりします。
少しネットで調べたら、藤枝市の郷土博物館に当時の機関車が展示されているらしい。藤相鉄道の廃線跡をたどる小旅行、行ってみようかな。 -
ミステリとファンタジーが気持ちよくミックスされている作品
どんな分野でも、マニアと言われる人がある問題に直面したときに自分の知識で解決の糸口をたぐり寄せる展開は燃える。
恋愛要素少なめで、エピローグも甘過ぎない感じが好感。 -
僕もどこか行きたいな・・・
作者はきっと主人公じゃなくて、平間さんの側なんだろうな、と思いながら読了
旅への郷愁を誘うなんて裏に書いてあるけど、そんなゆるいもんではないよなぁ -
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[1]少しずつなにかに近づいていく感じにわくわくさせられました。
[2]「まぼろしの廃線跡」を求め失踪した平間さんを紙片に記された「キリコノモリ」という言葉を頼りに「ぼく」と菜月さんが追う。彼らが最後にくだした決断は。
[3]昔読んだ銀林みのるさんの『鉄塔 武蔵野線』をちょっと思い出しました。
■簡単な単語集
【安藤丈則/あんどう・たけのり】平間さんの東京人文大学史学科時代からの友人。いっしょに『TRAINマガジン』に連載していたこともある。平間さんのことを案じているようではあるが、積極的に捜査協力はしてくれなかった。
【川居祥介】最初のページにその日記が出てきている人物。草笛線の鉄道員だった。そこでは妻子が行方不明とのことだったが、「ぼく」と奈月さんが出会った、川居の娘だという静子さんは?
【草笛線】興北鉄道が計画したが聖域を通るので地元住民が猛反発、一度は立ち消えになったが、戦争で重要な物資の運搬のため軍が強引に計画を再開、昭和十九年六月に開通した。奇しくも平間さんが生まれた同じ年。《草笛線は廃線跡などではない。いまだ現役の鉄道だった。》
【倉本菜月/くらもと・なつき】→菜月
【静子さん】川居祥介の娘。六十代くらい。《知りすぎるのは危険なことなの。》p.258
【石炭袋】「テツ学堂コミュニティ」にまぼろしの廃線跡のスレッドを立てていた。後、消息不明。この言葉で想起するのは宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」でしょう。
【テツ学堂コミュニティ】会員制のテッチャンたちのSNS。まぼろしの廃線跡のスレッドが立っていた。
【TRAINマガジン】鉄道関係の雑誌。平間さんやその友人の安藤丈則さんも原稿を書いていた。
【菜月】倉本菜月。平間さんから紹介された旅行会社ウィット・サービス渋谷営業所国内旅行部の社員。牧村より一歳歳下。五十八年三月生まれ(1983年)。色白で眼鏡をかけた女性。「バリバリのテツ子」と自分で言う。《そのうちに鉄道の客車や駅こそが自分のほんとうの家のように思えてきました。》p.318。その感覚はよく理解できます。
【平間卓司/ひらま・たくじ】平間さんの弟。布袋さんのような体形。
【平間要一郎/ひらま・よういちろう】牧村が知り合い親しくなった鉄道好きの男性。六十三歳。独身。昭和十九年五月生まれ(1944年なので戦争末期)。偶然「ぼく」と同じ吉祥寺住人。《こうやって馴染んでいたものがひとつずつ消え、馴染のないものが代わりに増えて、そんなことをくりかえしているうちに、ある朝起きてみると、まるっきり知らない世界が自分を取り巻いているのに気づくのでしょう……》p.34
【ぷらっとほーむ】平間さん行きつけのパブレストラン。吉祥寺にある。多くの人が出入りしてドラマを感じられる駅のプラットホームが見えるのが気に入って四十代過ぎと思われる美人のママさんがそういう名前をつけた。
【ぼく】→牧村
【牧村】語り手で主人公。にわか廃線ファン。二十代半ば。昭和五十六年十一月生まれ(1981年)。吉祥寺に住む。
【森】《だが、この森はちがう。ここにいると、現実とは異なる世界があることを肌で感じ取れる。》p.289。《やはりこの森は、草笛線の廃線跡を守っている。》p.294 -
丁寧にじっくり進む話。
ラストシーンは自然の迫力や、色の感じが伝わってきてよかった。
鉄道に興味なくても面白い。 -
京急三崎口が舞台になってる
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「ロスト・トレイン」
旅への郷愁を誘う。
日本のどこかにまだ誰にも知られていないまぼろしの廃線がある。それを見つけて始発駅から終着駅まで辿れば、ある奇跡が起こる。ふとしたきっかけで知り合った鉄道マニアの平間老人と仲良くなった<ぼく>は、ある日そんな話を教えてもらう。奇跡とは何かを詳しく聞こうとしたところ、平間老人は、<ぼく>の前から突然姿を消してしまう。これはその青年と平間老人の絆から紡ぎ出されるファンタジー。
最近小湊鉄道に乗りました。小さな車両一両で田んぼや山の中を滑走する(それも結構な速さで)のは、非常に新鮮でした。駅でかき氷やきゅうりが売られて停車したりと、風情を感じさせる路線であり、列車旅も良いもんだなと。本書は、また列車旅に行きたくさせる側面があるファンタジーですね。
まぼろしの廃線がキーワードである通り、鉄道に関する知識や情報がてんこ盛り。平間老人を始め、<ぼく>もなかなかの廃線跡マニアであり、平間老人を共に探すことになる倉本菜月(旅行代理店勤務)もハイレベルなテツである。品川を少し遅れた山手線が田町駅で先発の京浜東北線に追いつくことがたまにある、なんて話も登場する。読んで行くと自分がちょっとテツ仲間になれた気がしてきます。
まぼろしの廃線で起きる奇跡は、ネタバレになるため割愛しますが、果たしてこの奇跡は良いものなのだろうかと考えさせられます。考え方によっては、ファンタジーよりもホラーだなぁと。
奇跡の体験以降、まぼろしの廃線の引力と闘い続ける<ぼく>。この闘いに結末はあるのだろうか。この旅は平間老人を探し出すだけでなく、自分の道を見つける旅。 -
電車愛+恋愛+ファンタジー
という感じの作品でした。
てっきり鉄オタによるミステリーだと思って読んでいたので終盤の展開にはちょっと戸惑ってしまいました。
しかし電車の描写がすばらしく、主人公たちと一緒に電車に乗ってる気分が味わえたのはよかった。 -
序盤は・・・で、けっこう長いこと読み進まずにたんだけど、徐々にページをめくるスピードがアップ。小泉今日子さんの解説(書評?)がまさにって感じ。
「天使の歩廊」のような凄みは感じなかったけど、ファンタジー要素のブレンド具合と、感情移入よりも客観視させる(読み手側に色々想像や思考をそれとなく促してる)感じ。両方の絶妙さがいい感じ。 -
初めてなのに、一度読んだ感じがしてしまう終盤のプロット。謎解き要素が多く一気に読みました。終わり方も好きなタイプ。
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廃線をめぐるふたりの男女の物語。非日常のなかに潜む分岐点、ただそれは日常にも顔を出す分岐点。決めるのはいつだって自分自身。鉄道の細かい描写は好きな人から見たらどうなのか。最後、終わり方はちょっともやり。好きなひとは好きそうな終わり方。
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こういう話大好きです。
日本のどこかにあるという伝説、楽園?
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