宿命 「よど号」亡命者たちの秘密工作 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2000年7月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (688ページ) / ISBN・EAN: 9784101355313

みんなの感想まとめ

事実とフィクションが交錯する物語が展開され、読者は圧倒的なリアリティに引き込まれます。著者の巧みな文章と緻密な構成により、北朝鮮という遠くて近い国の実態が明らかにされ、普段は考えないようなテーマに深く...

感想・レビュー・書評

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  • 星5つでも足らんわ。「よど号」と言ってもリアルタイムでは知らない。古本屋でで売っていたから興味本位で買ってみたのだが、凄かった。まさに事実は小説より奇なり。ルポってこんなに面白い物なのかと。一気に読むにはチト長く、ちょっと疲れるが、内容への興味が薄れることはなかった。著者の文章の書き方、話の盛り上げ方が実に上手い。しかし、これはノンフィクションである。「面白かった」ですます分けにはいかない。普段何気なくテレビで見ている北朝鮮という、最も近くて、最も遠い国に付いて、考えさせられると共に、「日本」という自分の生まれ育った国に対する考え方にも、改めて考えてみる必要があるように思った。、

  • 読むべき価値のある酷い話。
    共産主義という考えが、ありとあらゆる方法で人を不幸にするということを再認識する作品です。
    なるべく早くに、共産主義黒書の方も読みたいです。

  •  
    ── 高沢 皓司⦅宿命「よど号」亡命者たちの秘密工作 1999‥‥ 新潮社 20000728 新潮文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4101355312
     
     高沢 皓司   ジャーナリスト 19470205 大阪 /
     
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=19700331
     よど号の人々 ~ 赤軍派ハイジャック事件 ~
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%A4%E8%A4%C9%B9%E6
     
    (20210401)
     

  • 1970年3月末、赤軍派メンバー9人が日航機をハイジャックし、北朝鮮へ亡命した「よど号」事件。
    犯人たちのその後の人生とは。
    犯行の計画、北朝鮮の思想教育、日本人拉致の実態、そして日本潜入工作――。
    ルポルタージュ。

  • 「反対だけが実績です」というポスターを目にしたことがある。

    予算に反対しておきながら「私たちがやりました」と平然と言えてしまう人々のことを言ったのだろう。

    では、その人たちが政権を担ったらどうなるか?

    「反対ができない国」「選挙がない国」が出来てしまう。


    1970年3月31日。

    「われわれは赤軍派だ。北朝鮮へ行け!」

    羽田発福岡行きの日航機「よど号」は、学生たちにハイジャックされてしまう。

    「我々はあしたのジョーである」

    「世界同時革命」という妄想の末、多くの人の犠牲の上に彼らは北朝鮮に渡った。

    「首領様の金の卵」として遇され、「主体思想の戦士」に染め上げられていく。

    赤子の手をひねるように簡単であり、赤子の手をひねるように残酷なことだ。

    考えるのは首領様であり、人民は手足である。

    失敗は自分の責任であり、成功は首領様のおかげである。

    「よど号赤軍」は、朝鮮労働党の手先となり、日本人拉致事件に関わっていく。


    北朝鮮に渡った赤軍派。その家族。彼らに嫁いだ日本人妻。彼らに拉致された被害者。そしてその家族。

    誰一人、幸福になったものはいない。

    彼らの革命が成就されることはない。
    誰の支持も得ることはないからだ。

    誤った思想が人生を狂わせる。
    取り返しの付かないことになる。

    よど号赤軍派のかつての仲間でもある著者の渾身のルポルタージュ。

  • 自ら想像しないこと、疑いを持たないこと、主体的な考えをせず、思考を首領に預けること。それが北朝鮮の主体(チュチェ)思想の概要。日本語の主体的という語とは正反対の意味を持つ。日本赤軍の青年たちが世界同時革命のためによど号をハイジャックし、目的地を北朝鮮に据える。彼らは金日成をオルグするとの意気込みで向かうが、ミイラ取りがミイラになり、逆に主体思想にどっぷり浸かってしまう。
    そこらのホラーよりよっぽど怖いストーリーで、しかも現実にあったというのだから衝撃の度は深い。拉致問題の原点も、彼らに嫁を取らせ、子どもを産ませるという北朝鮮首脳部の計画が原点とも考えられる。
    儒教、特に朱子学は、事実よりも本来こうあるべきだった、ということが真実になるといった説明を他の本で読んだ。その時はそれがどういう意味か明瞭には分からなかったけれど、この本を読み、日本からよど号の犯人たちのもとへ嫁いだ女性たちの語る嘘を知ったことでようやく意味が取れるようになる。
    国家が丸ごと嘘をついているのだから、その嘘が大前提になるのは当然なのだと理解したくないことを理解してしまった。
    他に拉致に関する本を読んだけれど、その著者たちは北朝鮮の嘘にまんまと乗せられている気がした。それでも普通の日本人にとっては衝撃的な内容だから事件になるのだけれど、実はその裏にもっと巨大な闇があるのだと知った。
    終章間際の犯人の数が一人減る箇所は心底ぞっとする。
    ノンフィクションとしてもジャーナリズムとしても極致とも思える作品。脳みそを冷たい手で直接触られているような恐ろしさがある。

  • 「あさま山荘」の流れで、本書を読む。もともとは、ちきりんブログでのおススメだった骨太のノンフィクション。

    読み始めは、よど号ハイジャック事件の話で、有名な「我々は明日のジョーである」という言葉も出てくるが、読み進めるうちに、ハイジャックの話から北朝鮮の話に変わってくる。

    よど号メンバーというと、どことなくヒーロー的なイメージがあったのだが、これを読むと一転する。それは、ハイジャック事件のあとの話があるからである。

    ハイジャックで北朝鮮に渡ったメンバーたちが、その贅沢を保証された生活に義理を感じ、思想を変え、家族を与えられ、工作員になっていく、という話が、本人たちへのインタビューと丹念な取材によって展開される。

    自分の頭で考えることが否定され、絶対服従が求められ、それに従わないものは政治生命が抹殺される。絶対服従をしている限り、自分たちは正しいと信じることができる。先日の粛清のニュースもあったが、政治生命が抹殺されるということはかの国ではどういうことなのか。そして、この事件はまだ何も解決されていないということの恐ろしさがある。

    [more]
    (目次)
    名曲喫茶
    空賊
    偽装空港
    闇への亡命
    平壌
    思想改造
    金の卵
    秘密の招待状
    潜入渡航
    妻たちの北朝鮮
    結婚作戦の真実
    日本人革命村
    マドリッドの失踪者
    生存の証明
    ロンドンの罠
    チボリの夏
    密輸シンジケート
    双面のヤヌス
    接線
    ウィーン工作
    背後の影
    消息不明
    山桃の家
    思想対立
    海上への脱出
    破綻した虚構
    日本潜入
    密告
    国内工作
    撤収
    祖国喪失
    時間の迷路
    黙契

  • 「よど号」ハイジャック事件犯たちのその後の数奇な人生を綴った渾身のノンフィクション。たいぶ前の本だけど、久しぶりに面白いノンフィクションだった。

    赤軍派の一部メンバーが日航機"よど号"をハイジャックして北朝鮮のピョンヤンに降り立ったのは1970年。当初は1年程度の軍事訓練を受けて帰国するつもりだったのだが、その目論見は大きく外れ、逮捕されて戻ってきたメンバー以外は未だにピョンヤンの地にいる。当初は幽閉させていると日本では見られていたメンバーだったが、実際には金日成のチュチェ思想の洗脳を受け、やがては日本を北鮮化(赤化ではない)する"チュチェの戦士"と変貌を遂げてしまった。そのチュチェの戦士達が金日成らと最初に行ったことは、なんと、永久革命を目指すための嫁探し!馬鹿馬鹿しい作戦だが、日本での革命を行うには日本人の妻が必要だということなり、これが後に両国の間の大問題となる"日本人拉致事件"の原点となっていく。それ以降のよど号メンバーと日本人妻達の日本や欧州における工作活動や、内ゲバ、あるいは滞在が長期化することによる望郷の思いなどを元々は赤軍派にいた作者だからこそ迫れる内容でその実を暴いて批判を加えていく。

    日本に共産主義革命をもたらしたかったよど号メンバーは、北朝鮮においてチュチェ思想の革命家となり、北朝鮮の特権階級となっていった。他方、日本に戻れば犯罪者となるし、金日成らの巧妙な統治によって家族を人質にとられ裏切ることもできない閉塞状態において、日本への望郷の念は心情的にも政治的にも増殖をしていくその様子は、本書の文中にも書かれている通り、"<政治>というもののむごたらしさ"を読むものに感じさせずにはいられないし、この本の最大の見せ場はこの"政治的葛藤"にあるのだと深く思う。

    そこから40年を経た今、アメリカでもイギリスでも民主主義の中で国是を劇的に変えうることが明白になっているので、革命を通じた彼らの政治的活動というのは一体なんだったのかと思えてならない。それも含めて政治は恐ろしい。冷静な態度が政治には必要だと読むとつくづく思えてしまう一書であった。

  • 2016/11/3購入
    2017/2/19読了

  • 【164冊目】誰もが一度は聞いたことがあるであろう「よど号」事件についてのルポタージュ……かと思いきや、いわゆる「よど号」グループがいかに主体思想に思想改造を施され、「よど号」の妻と呼ばれる人たちを獲得し、そして東欧周辺を根拠として日本人を拉致したのか、ということが書いてある。さらに、日本への工作活動。
    日本に住んでいながら、拉致問題に興味を持ちながら、こんな基本的なことも知らなかった自分にがっかりした!

  • 内容自体への驚愕

  • この本のハイライトは、『思想改造』の章。

    新興宗教や自己啓発セミナーで、
    人間をマインドコントロールする手法はオウム事件以降、
    日本でも知られてきた感がありますが、
    ここのマインドコントロールは国ぐるみでやっている。

    どうやって人間を追い込んで
    人の感性や人格、道徳心を作り替えてしまうのか。

    10年以上前に読んだ本だけど、ときどき読み返してしまうな。

    よど号犯を思想改造することに成功したから、
    他の日本人を拉致したり騙したりして連れてきても、
    思想改造ができると当局は考えた。

    それが日本の拉致被害者だったし、
    ヨーロッパで拉致された有本さんや石岡さんだった。

    北朝鮮やよど号に興味が無い人も、読んで面白い本。

  • 最近、出版されたよど号メンバーによる本の内容とは違う点がある。当たり前かもしれないけど、本当に真相は闇の中。。

  •  外国にいて、日本語で話かけてくるヤツには注意しろ、と言われますが、日本人同士だと分からないのですかね。まあ、そのために日本人を拉致しているのだとは思いますが。
     日本人妻が、一人捕まって素性がバレたら、それまで日本に埋伏されていたスパイたちが、一斉に国外に逃げた、というのが映画「メン・イン・ブラック」のようでした。

  • 20代の幼い思想で突っ走り、後半の人生を北朝鮮で過ごしたよど号のっとり犯人たち。
    決行日、飛行機など乗ったことのない貧乏学生たちは、
    飛行機を電車のようにすぐに乗れると思っていて遅刻者続出したとか(で、別の日に再度決行した)、
    北朝鮮で半監禁生活(けっこういい暮らしだったそう)の中、日本から恋人をおいかけて女の子が一人やってきてから、男同士がぎくしゃくしだしだとか。(この女の子もびっくりだ。)

    私の中で歴史の中の事件の犯人が、生き生きとした息子たちと変わらない青年にみえてくる。

    犯人は謎の死をむかえたり、行方不明になったりしたが、2名ほど存命だそう。

    次は重信房子さんの話を読みたい。

  • 「よど号」ハイジャック事件が発生した時、わたくしはまだ頑是無い子供でありました。よちよち歩きとまでは申しませんが。よつて当時のことはほとんど覚えてゐません。
    ひとつには同時期に開催された大阪の万国博覧会の印象が強すぎて、ほかのニュウスはかき消されてしまつたといふ事情もありさうです。

    北朝鮮へ渡つた「よど号」メムバアは、予想外の好待遇で迎へられ、朝鮮労働党から有形無形の恩を売られたことで、思想改造も容易に進んだのではないかと思はれます。
    その後は金日成体制下の主体(チュチェ)思想に則り、労働党の傀儡もしくは手下として動くしかありませんでした。日本人拉致事件にも関つてゐたのです。

    日本の関係者が全く情報を得られず、何となく北朝鮮国内で不自由な生活を強ひられてゐると思ひ込んでゐた時期に、実は彼らはヨーロッパ各国で活動したり、ちやつかり日本へ潜入したりしてゐたのでした。
    また、9人のメムバアは全員が同じ方向を向いてゐた訳ではなく、主体思想に馴染めない者もゐました。さういふ人物はある日忽然と姿を消すのであります...

    質量とも充実したノンフィクションと申せませう。著者の高沢氏は、メムバアのリーダー・田宮高麿の友人だつたさうで、高沢氏だからこそ彼らもここまで語つたのでせう。
    2012年2月現在、9名ゐた「よど号」メムバアのうち、健在が確認できるのはわづか4名に過ぎないのださうです。
    彼らには今後の展望は見えてゐるのでせうか。現在も続く悲しい歴史であります。

    http://ameblo.jp/genjigawa/entry-11153510683.html

  • ようやく読み終わったー。いやいや大変な話しです。

  •  謀略に怒りを覚える。そして自身の置かれた境遇が重なって暗くなる。

    http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20080830
    http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20110804

  • 「よど号」というまだまだ歴史というには近すぎる昭和史について知るには最適の一冊。

  •  よど号ハイジャック犯たちが拉致に関わっていることや、北朝鮮におけるスパイ養成に主導的な役割を果たしているのはこの本を読めば明らかです。非常に丁寧な取材を基に書かれていると思います。
     思想的に共感することがあっても、よど号犯人たちが日本への郷愁を持っていたとしても、彼らは被害者たちの人生を奪い去った明らかな犯罪者です。同情するような論調は今後も許してはいけないと思います。北朝鮮と言う国家の犯罪も厳しく断罪されるべきです。
     
     

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