恋愛偏愛美術館 (新潮文庫 に 25-2)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101355429

作品紹介・あらすじ

略奪愛、異常性愛、腐れ縁……。芸術家による様々な恋愛、苦悩、葛藤。それを経て生まれる名作の数々。ピカソはなぜ愛人を次々と作り、ハーレムを構えたのか。ロダンとカミーユの宿命的な愛の行方は。なぜムンクの作品は不安に満ちているのか。それぞれの人生模様、作品が織り成す華麗な物語を、分かりやすく紹介する美術案内。『恋愛美術館』改題。

感想・レビュー・書評

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  •  書店で『恋愛偏差値美術館』と読み誤って「なんじゃこりゃ?!」と手に取ってパラパラ斜め読みしてみたら面白そうだったので購入。実際、かなり面白かった。
     同じ章の中に同じ内容・同じ言い回しのフレーズが繰り返し出てくるくどい文章はあまり私の好みではないが、優れた芸術を残した芸術家の人となりに対する著者の洞察は深く時に容赦ない。見開きのプロフィールを見れば多摩美の教授だとのことで、業界人なら芸術家に盲信に近い心酔を抱きそうなものだが、この人は作品は作品として真摯に評価しつつ、その作者の人間性が品性卑しかったり人道に悖る場合は歯に衣着せずにその点をこきおろしている。その姿勢が私にとってはたいへん好ましく、信頼するに足る評者だという強い印象を抱いた。
     あとがきを読んでその理由がわかった。芸術の道を目指す若かりし日の著者は、ピカソに心酔したのだ。正確には「ピカソの芸術に」だ。まばゆいばかりの至高の芸術を生み出したピカソが持つダークサイドのおぞましさに驚愕し、混乱したことで、筆者の芸術全般に対する鑑賞姿勢が形成されたようだ。『絶頂美術館』も遡って読んでみよう。

  • 作品の批評だけでなく、その作品に及ぼした影響について解説してもらうと見る目が変わり一層魅力的になる。さらに壮絶な人生を送った芸術家は少なくないという印象を受けた。2022.7.21

  • 2022.1.22 朝活読書サロンで紹介を受ける。
    ピカソは好色家。モデルに手を出していた。末期の自画像。モジリアニはなぜ目を描かないのか?目を描かずにどのように表情を描くのか?ムンクの叫びは自画像。
    蛇に嚙まれた女。女性の身体の曲線美。ロダンとカミーユ・クローデル。

  • どの章も絵画と共に始まる。が、章を読み終える度に感嘆する。これは画家――ひいては人間について書かれた本だと。
    ピカソの空虚、ムンクの闇、ルノワールの幸福、モディリアーニの真の姿……やっぱり見てるだけじゃ分からない、カンヴァスの裏を覗いてみたいという方、ぜひ。

  • 絵は人となり

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著者プロフィール

多摩美術大学名誉教授・版画家

1952年生まれ。柳宗悦門下の版画家森義利に入門、徒弟制にて民芸手法の型絵染を修得、現代版画手法としての合羽刷として確立。日本版画協会展、国展で受賞(1977・78)、リュブリアナ国際版画ビエンナーレ五十周年展(2006)に招待出品。作品が雑誌「遊」(工作舎)に起用されたことを機に編集・デザインに活動の幅を拡げ、ジャパネスクというコンセプトを提唱。1992年国連地球サミット関連出版にロバート・ラウシェンバーグらと参画、2005年愛知万博企画委員。著書『絵画の読み方』(JICC)、『二時間のモナ・リザ』(河出書房新社)等で、今日の名画解読型の美術コンテンツの先鞭をつけ、「日曜美術館」等、美術番組の監修を多く手がける。著書多数、全集「名画への旅」、「アート・ジャパネスク」(共に講談社)を企画、共著にシリーズ「公共哲学」(東京大学出版会)がある。

「2024年 『柳宗悦の視線革命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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