向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.17
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本棚登録 : 16992
レビュー : 2466
  • Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101355511

感想・レビュー・書評

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  • イヤミスのトップテンがあれば必ずランクインする作品で、未読だったので読んでみましたが、読み終わった後に「どういう事だったのか?」という事を反芻して初めてゾッとする作品です。典型的な叙述トリックですが、僕も最後まで分からなかったですね・・・イヤミス好きは避けて通れない作品

  • 好き嫌いがある作品だと思う。
    道尾秀介は何作か読んでいて、どれも面白いと思ったけれど、これは合わなかった…
    不条理も別に嫌いじゃないんだけど、これはなんだかいびつな世界観で馴染めなかった。

  • 湿度の高い陰鬱な夏のイメージ。
    全体的にじめっとして暗く、常に不気味な雰囲気で進む作品。
    結論からすれば、ある種のファンタジー作品と言っても過言ではないが、ファンタジーにしてはあまりにもゾッとする表現、フレーズがちらほら登場する。
    特に作品後半における怒涛の展開の中の""ある""表現が、読後随分経ち、ストーリーの全体像がぼんやりしつつある今になっても鮮明に頭に残って消えてくれない。
    次の夏が来たらもう一度読もうと思う。

  • あらすじを見て、主人公が、死んで蜘蛛に生まれ変わった友達と一緒に事件を解決するファンタジー小説だと思っていたら全然違った。
    読み進めていくうちに、どんどん暗くて不気味な林の中に足を踏み入れて行くような感覚がする。
    けれど、頁を捲る手が止まらず一気に読み終えてしまった。

    自分の見ている世界と他の人が見ている世界は全く違うのかもしれないなぁ…

    しばらくは蜘蛛とかを見るたびにこの小説を思い出すことになりそう。

  • 叙述トリック作品のお勧めを探していたらいつも上位に来る作品だったので、いつか読まなきゃと思いつつも内容が「小学生の夏休み中の物語」「死んだ友達が蜘蛛に生まれ変わって登場」「小学生が探偵になって事件を解決」という、ファンタジー色が強いものと勝手に思い込んでなかなか手が伸びなかったのですが、読んでみてびっくり。完全に叙述トリックミステリー。幾重にも仕掛けられたミスリード。作中に隠されたヒント。読み返し確実。かなり完成度の高い作品です。

    読んでいる途中で「トリックが分かったかも」と、わざと思わせ、最後に気持ちよく裏切ってくれます。

  • 純粋なミステリーだと思って読んでいたら想像をはるかに超えたミステリーだった。
    これは世界観が現実的ではないミステリーで、ファンタジー要素がある。
    この叙述トリックにより騙されたことを楽しむ人もいると思うが、私は現実的なトリックを駆使するミステリーが好きなのでこの作品のトリックはあまり好きではなかった。

    でもこの世界観は面白いと思った。
    ここからはネタバレになるが、


    この小説の世界では生まれ変わりという概念が存在するが、ミチオの一人称でしかそれは語られてなかった。ということは、その生まれ変わりという設定はミチオ自身が作り上げた物語の一部であり、ミチオの世界のみの話であったのではないかな?
    あたかも死んだ人達が生まれ変わって事件に関わっているように思えるが、全てミチオの頭の中だけで繰り広げられた会話であって、実際にはミチオ自身が頭の中で他人と言う名の自分と会話して物語を進めていってただけなのだろう。
    ミチオは狂った人で、いつになったらその世界から抜け出せれるのか。

    2回目読み直すとまた違った視点で読めると思うので読むつもり。

  • 不思議でどこか薄暗くて、夏を感じさせる本。
    物語をどう捉えるかで世界観が違って見えるのが面白かったです。
    ラストでどうしようもなく切ない気持ちにさせられました。

  • 独特の気持ち悪さを感じる贖罪の物語

    感想
     いたって普通の推理小説のように始まりますが、読み進めるにしたがってこの世界の謎とともに登場人物の罪や「異常性」が明らかにされていきます。
     発生する出来事は不愉快なものが多く、異様な世界観はその性質上登場人物たちの罪を正当化するように構築されています。
     そのため、最初は共感できてもだんだんと共感しがたくなる一風変わった作品です。

     登場人物がいかにして「異常」な人格を獲得していったのかについて丁寧な説得がなされています。(共感できるかは別ですが)
     また、主人公が子どもであるためか短文が多く、簡潔な文章で表現されているので、すらすらと読めました。
     身近な世界から異様な世界へと徐々に読者を引き込んでいく構成力には舌を巻きました。

     気持ち悪さが強く目立ちますが、実はこの作品の主題も深いように思います。
     個人的にこの作品のテーマを述べるなら「主観」。
     下のお気に入りの文章にもあげる通り、自分の主観は極めて都合よくできているのではないかと考えさせられます。
     「僕」がミカを殺してしまったのも、S君を殺してしまったのもある意味で事故だったのでしょう。
     悪意のない悪事はたちが悪いですし、本人としても消化しづらいものです。

     内容的に好き嫌いが分かれる作品かと思われます。
     個人的には好みで没入しましたが、自分の過去を思い心が痛みました。
     また、自分の世界を広げてくれる大事な作品となりました。

    お気に入りの文章
    「みんな同じなんだ。僕だけじゃない。自分がやったことを、全部そのまま受け入れて生きていける人なんていない。どこにもいない。失敗をぜんぶ後悔したり、取り返しのつかないことをぜんぶ取り返そうとしたり、そんなことをやってたら生きていけっこない。だからみんな物語をつくるんだ。昨日はこんなことをした、今日はこんなことをしてるって、思い込んで生きてる。見たくないところは見ないようにして、見たいところはしっかりと憶え込んで。みんなそうなんだ。僕はみんなと同じことをやっただけなんだ。僕だけじゃないんだ。誰だってそうなんだ」
     言葉は同じ内容を繰り返していた。悲しいわけではなかった。後悔しているわけでもなかった。僕は、ただ寂しかった。

    • jhmさん
      コメントをいただいたのでayamoriさんのレビューも読ませていただきました。
      道尾秀介さんの作品をよく読まれているようですね。
      はじめ...
      コメントをいただいたのでayamoriさんのレビューも読ませていただきました。
      道尾秀介さんの作品をよく読まれているようですね。
      はじめてコメントをいただいたので嬉しかったです。ありがとうございました。
      2015/12/23
  • 物語後半は何か迫ってくるような不穏な雰囲気だったが、それでいてテンポがよくページをめくる手が止まらなかった。

    妹が妙に大人びていて、何かありそうとは思っていたけれど、まさかこんなにも「生まれ変わり」が溢れていたとは…

    そして担任の先生の捨て駒っぷり。

    子供の空想と思えばかわいいものだが、完全なる妄想、自分だけの閉じた世界に生きるミチオが一番怖かった。理解できない世界観が一番怖い。

  • 何かをずっと憶えておくというのは大変なことだ。しかし、何かをわざと忘れることに比べると、大したことではない。

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著者プロフィール

道尾 秀介(みちお しゅうすけ)
1975年、兵庫県生まれの小説家。玉川大学農学部卒業。会社員生活を続けながら小説を執筆しており、2004年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。
2007年『シャドウ』で第7回本格ミステリ大賞(小説部門)受賞。2009年『カラスの親指』で第62回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞。2010年、『龍神の雨』で第12回大藪春彦賞受賞。『光媒の花』で第23回山本周五郎賞受賞。2011年、『月と蟹』で第144回直木賞受賞。直木賞にはこの作品で5回連続のノミネートだった。
その他代表作として『向日葵の咲かない夏』があり、文庫版は100万部を超えるベストセラーになった。『カラスの親指』は映画化された。
ほか、横溝正史ミステリ大賞、新潮ミステリー大賞の選考委員を務める。

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