たましくる―イタコ千歳のあやかし事件帖 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101355832

作品紹介・あらすじ

流行歌を血で書きなぐり、情夫と共に無理心中を遂げた双子の姉。残された姪を預けるため、帝都東京より青森弘前を訪れた幸代は、市松人形のように長い髪を垂らす美しいイタコ、千歳と出会う。姉の死の真相を探ろうと、幸代は降霊を頼むが…。超常現象を論理的に推理する千歳と、幽霊の声を聞いてしまう幸代のコンビが、猟奇的な事件に挑む傑作オカルティック・ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 昭和初期の青森を舞台にした連作短編ミステリー。

    登場人物の青森弁がなんとなくリズミカルで読んでいて心地よく、この時代特有の和洋折衷な感じと遊女屋や無惨絵などのキーワードが妖しさをまといながらストーリーが展開されていく本書、全般の雰囲気が非常に私好みの作品だった。

    千歳の明るくあっけらかんとした性格がよい。寒さの伝わってくる青森で度々死人が出る物語は千歳という登場人物がいないとずいぶん違った印象になったかもしない。

    霊ながらに幸代に焼餅を焼く蝶子が可愛らしい。
    銘仙の着物、憧れるなぁ。

  • 昭和初期の弘前が舞台。イタコの千歳を中心に話が進んでいく。一癖も二癖もある登場人物は、読み手を飽きさせない。決して合理的でない、人間の生きざまを上手く描いていると思う。人間とは、何と罪深く滑稽な存在なのだろう。

  • 青森弁が読みづらいかな。

  • 面白かった。
    今よりも、地方と東京が距離的にも流れている時間的にも遠かった時代。
    凍てつく厳しい印象の物語だった。

  • 東京の闇を引きずり、弘前にやって来た幸代。そこにはイタコを生業とする千歳がいて…
    ふっと人の心の怖さにゾクッとする一冊。

  • 少しどろどろとしたものを感じる、でもそれだからこそ良い、と思える。

  • 時は昭和初期。
    双子の姉の忘れ形見の少女を連れ
    少女の父が住む弘前へと向かった幸子は
    美しい盲目のイタコ、千歳と知り合う

    イタコの千歳と、死者の声を聞き、姿を見てしまう幸子が
    陰鬱な事件に挑む

    「イタコ千歳のあやかし事件簿」と副題にあるけれど
    実際は、幸子のほうが主人公?
    せっかくの美少女イタコの設定をもっと生かせたんじゃないかと残念

    津軽弁の雰囲気はとてもいいかも

  • まぁ~面白かったかなぁ~
    っていう感じでした。

    よくTVでみるような
    イタコさんが頼まれた人を
    おろすようなイメージを持って
    読み勧めたのですが
    どうやら違っているようでした。

    幸代のほうがなんか
    イタコに向いているんじゃないかなぁ~
    とちょっと思ったりしましたね

  • そこそこ。
    ほのかなホラーの香りが始終漂う一冊で、少し肌寒い夜中に読んでいると、ぶるっと身を震わせたくなった。
    話の内容はなんてことない、と言えるものなのに、纏っている雰囲気が、不思議な感覚にさせる。
    150509

  • イタコの千歳と幽霊の声を聞いてしまう幸代のコンビが怪しげな事件を解決する話。この小説はオカルティック・ミステリというジャンルらしい。名前の通り怪奇小説と推理小説の二つの要素がある小説だ。ただ推理小説の要素はかなり薄い。なので謎解きを楽しみたいという人には向いていない。

    昭和の青森、かつ霊が登場するため読む前はずーんと薄暗いイメージだったが、堀川さんの才能によるものなのか、実際に読むとそういった印象はなかった。文章も堅苦しくなく、するするとライトに読める。

    千歳がもっとイタコらしく活躍する場面が見たかったがそこは続編で読めると期待。

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著者プロフィール

1964年青森県生まれ。2006年『闇鏡』で第18回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞してデビュー。『幻想郵便局』がベストセラーとなり、以降、「幻想」シリーズで人気を博す。他の著書に『ある晴れた日に、墓じまい』『うさぎ通り丸亀不動産 あの部屋、ワケアリ物件でした!』『オリンピックがやってきた 猫とカラーテレビと卵焼き』「おもてなし時空」シリーズ、「仕掛け絵本の少女」シリーズなどがある。

「2023年 『キッチン・テルちゃん なまけもの繁盛記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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