これはこの世のことならず: たましくる (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 114
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101355849

作品紹介・あらすじ

青森に暮らす十九歳の美しい娘・千歳は、目が見えない。死んでしまった優しい夫に会いたい一心で死者の霊魂と接するイタコになったけれど、夫の霊にだけはまだ会えない。気ままなイタコだったはずの彼女は、世話役の幸代、姪の安子と暮らすうち、次々と怪しい事件に巻き込まれ――。ゾっとするほど怖いのに、最後はジーンと心に沁みてくる、青森発の新感覚ファンタジー!『魔所』改題。

感想・レビュー・書評

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  • もっと軽めのものかと思っていたのに、意外にグロい部分もゾクッとする部分もあって少し驚きました。対象に、明るく好感が持てる主人公のイタコの千歳。そのバランスも好みで良かったです。

  • 前作同様、今作も短編で構成されているので飽きもせずすらすら読めました。前作より千歳が活躍したり旦那さんとの過去の話が読めたりと面白かったです。

    舞台は東北。昭和初期の東北というとやはりどこか薄暗い印象ですが、その原因は昭和の歴史だったり東北独特の風土が関係してるのかなと解説を読んであらためて思いました。そういった点を踏まえて読むともっと細かい部分までイメージできるのかなと思いました。

    ミステリーであってミステリーでない。怪奇小説であって怪奇小説でない。
    幽霊が出てくるのに怖くない。
    分類不能なジャンルで不思議な話ですが、その分あれこれ考えず本の世界にどっぷり浸かれる話でした。

  • 2019/10/30~10/30

    津軽に暮らす十九歳の美しい娘・千歳は、目が見えない。死んでしまった優しい夫に会いたい一心で死者の霊魂と接するイタコになったけれど、夫の霊にだけはまだ会えない。気ままなイタコだったはずの彼女は、世話役の幸代、姪の安子と暮らすうち、次々と怪しい事件に巻き込まれ―。ゾッとするほど怖いのに、最後はジーンと心に沁みてくる、青森発の新感覚ファンタジー!『魔所』改題。

  • 既読の「魔所 イタコ千歳のあやかし事件帖」の改題・文庫化。昭和初期の青森が舞台のホラーミステリ。わー、ほとんど覚えてないので新鮮(笑)。初回の方が恐怖感が大きかったのは当たり前ですが、なんとなく、幸世さんの出番が少ない印象。もっと二人で長所を生かしつつ!な感じの続編お待ちしております!

  • この本の前に1作目があり、これは続編だということを確かめないまま読み始めましたが、特に不都合はありませんでした。
    夫を亡くした盲目のイタコ・千歳が探偵役で、年増美人のアシスタント・幸代がいる。ホームズ&ワトソンが女性同士という組み合わせ。
    あやかしが関わる事件というので、多少ファンタジックな話かと思いきや、生身の人間の愛憎が絡むわりと生々しい話でした。

    ・第一話「魔所」
    エリート七尾家には完璧な長男、プロレタリア文学に傾倒して怠惰な日々を送る次男、不良の三男がいる。
    そこへ、女性の誘拐事件と殺人事件が起こる。
    事件には『薫物さま』がいるという池のほとりに建つ小屋が関わっていた。

    ・第二話「これはこの世のことならず」
    怨念のこもった花嫁人形が、人を恐ろしい「結婚式」に引きずり込みにくるという噂があった。
    この話は千歳たちではなく、千歳のいとこで小学校教師の高雄の教え子、時彦たちの目線で進む。
    父親が唯一残した絵を追う時彦たちは、サク子という女性と京子という女性の人生と交わる事になる。
    安定した結婚生活を選び、恋人を捨てたサク子。子守りの仕事の最中に、不手際で赤子を死に至らしめてしまった京子。そして父親を見殺しにした時彦。
    三人とそれにかかわる人々は「じぶんが選ばなかった未来」について考える。

    ・第三話「白い虫」
    シエという女性が主人公。シエにはかつて、美しい同級生の友人・花枝がいた。花枝と仲良くしたかったが栄子という同級生に阻まれ、苦い思いをした経験がある。
    当時、栄子たちの間では「白い虫」を体内に入れると願いが叶うという噂があった。
    シエは虫を食べなかったが、栄子は食べた。
    そして花枝は虫を吐いて死ぬ。
    大人になったシエのもとへ栄子が訪ねてくる。栄子はすっかり昔と違っていて、上品で、まるで花枝が成長したようであった。
    こどものころは花枝に意地悪をしていた栄子だが、本当は花枝が好きで、彼女のようになりたかった。だから栄子は白い虫を食べ、願いを掛けた。ようやくそれが叶ったという。
    しかし栄子はシエの前で虫を吐いて死ぬ。
    この虫っていうのは、庚申信仰に出てくる三戸の虫がベースかな。最近調べたばかりだったんでタイムリーでした。
    短いけど、この本の中ではこれが一番好き。

    ・第四話「馬市にて」
    馬と結ばれた娘の話。
    一番ファンタジックでした。
    強いおかみさんと、浮気者の旦那。旦那の浮気相手が行方不明になる。
    実はその女は浮気相手である旦那の家の蔵で首を吊っていた。旦那はそれを隠そうと死体を解体して埋める。

    ・エピローグ「逢魔が時」
    集落の者が4人も立て続けに亡くなった。「死に神が付いている」という噂が立つ。
    幸代は熱を出して寝込んでいる千歳を残し、今日も村人の葬儀に行った。
    するとそこへ、喪主であるはずの亡くなった男の妻・リキ子が尋ねてくる。
    リキ子は問う「人はどこまで人なのか」。
    生きている人は日々細胞が生まれ変わるが、生まれた時に持っていたものがすっかり入れ替わってもそれは人か。亡くなった人はもう人ではないのか。
    話をききながら、千歳は自分の身体が自分のものではないような感覚に襲われる。そして、幸代の娘・安子に死の影が忍び寄っているのを知る。
    リキ子だと思っていたのは死に神だった。死に神に負けそうになったその時、男の一喝がその影を追い払う。
    その声は、亡くなった千歳の夫のものだった。千歳は夫がいつもすぐそばにいることを肌で感じる。

  • ますますホラー臭が強くなった。
    オシラサマなどの土俗民話の話が増えてきて、ますます面白くなってきた感じ。
    安子ちゃんもただならぬものを持っている気がするので、今後の活躍が楽しみ。

  • ほんわかする日常の中におどろおどろしい怖いものが顔を出すが、だいたいは千歳たちが解決してくれる安心感。その中で、一話目「魔所」や、三話目「白い虫」は、正体不明の怖さが残っているところが好み。特に「白い虫」はシリーズと独立して読める短編として存在感があった。今回は一作目よりもいろいろな登場人物たちにスポットがあたり、彼らのゆっくりとした日常を想像するのも楽しかった。キャラに愛着が出てきて続きがもっと読みたいです。

  • 前作は幸代視点が多かったが、今作は各人物のそれぞれの視点から物語が進んでいき、より楽しめた。ミステリー要素が濃くなった気がするが、それと同時にホラー要素も上がっているので、やっぱりこわい。。。

  • 1作目より千歳が活躍し、代わりに幸代の存在が薄くなった。朱川湊人さんの『かたみ歌』は面白く読めたので昭和初期の雰囲気や妖の話は嫌いじゃないはずなのに、この作品に限っては全体に漂う陰鬱さ・後味の悪さが苦手。事件の発端がほぼ痴情のもつれだからか。「馬市にて」と「逢魔が時」はそう嫌でもなかったが。

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著者プロフィール

堀川 アサコ(ほりかわ あさこ)
1964年生まれ、青森県出身の小説家。
2002年、『芳一――鎮西呪方絵巻』が第15回小説すばる新人賞の最終候補。2006年、『闇鏡』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、デビュー。
文庫化されている『幻想郵便局』が書店員たちの後押しもあって大ヒットし、「幻想」シリーズとして人気を誇る代表作となった。

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